※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。
目次
書籍情報
発信する人のためのメディア・リテラシー
情報の森で豊かに生きる
内田朋子
共同通信社入社後、デジタル戦略本部企画開発室委員として写真事業会社の企画・立ち上げに参画。
堤信子
フリーアナウンサー。
京都芸術大学講師、法政大学講師、昭和女子大学講師。
朝の番組で長年レギュラーとして活躍。テレビ、ラジオ、司会などでも活動。
晶文社
- まえがき
- 第1章 すべての報道は偏向報道かもしれない
- 鮫島浩 (政治ジャーナリスト)
- 第2章 「大震災映像アーカイブ」から情報の力を知る
- 木戸崇之 (朝日放送テレビ)
- 番外編1 情報の「選択」とは自分のあり方そのもの
- 【特別寄稿】 草刈民代 (俳優)
- 第 3 章 声がつくる 「共感のメディア」
- 村田武之 (文化放送)
- 第 4 章 アナウンサーに学ぶ「伝え方」
- 堤信子 (フリーアナウンサー)
- 番外編2伝わるプレゼンテーションとは
- 森田謙太郎 (トレンドリサーチャー)
- 第5章「情報の卸問屋」から学ぶ、知的財産の基本
- 内田朋子 (共同通信社)
- 番外編3 「布」 という最古のメディア
- 細尾真孝(西陣織 細尾)
- 第 6 章 負け組連合の切迫感から生まれたアプリLINE
- 出澤剛 (LINE ヤフー)
- 第7章 「まだ誰もやったことがない」企画を
- 佐野香 (TBSテレビ)
- 番外編4 「5W1H」ではない伝え方
- 木村寛明 (元J-CAST)
- 第8章 「ファストフード化」するコンテンツを愛されるものに
- 長尾洋一郎 (講談社)
- 第 9 章 人を楽しませるウェブメディアの作り方
- 竹田直弘 (文春オンライン)
- 番外編5 若い世代が考える「メディア」とは? (受講生の声)
- 解説 (鮫島浩)
書籍紹介
この本は、情報があふれかえる現代社会において、どのように情報を発信し、受け取り、そしてそれを正しく利用するかを考えるためのガイドブックです。京都芸術大学での「情報リテラシー論」や「情報学」の講義を基に、中高生にもわかりやすくまとめられた内容となっています。
メディアの情報について
鮫島浩さんの章では、すべての情報が偏向されている可能性について深く考えさせられます。新聞社やメディアがどのようにニュースを扱うか、またそれがどのように私たちの認識に影響を与えるかが解説されています。情報の真偽を見極める重要性や、自主規制の問題点も触れられ、メディアと視聴者との関係性について新たな視点を与えてくれます。
アナウンサーの情報発信
堤信子さんの章では、アナウンサーとしての経験から、情報の「伝え方」に焦点を当てています。声のトーンや表情、言葉の選び方、そしてそれらがどのように聴衆に影響を与えるかを具体的に示してくれます。これは、単に情報を伝えるだけでなく、心を動かす情報発信の技術について学ぶ機会となります。
信憑性
内田朋子さんの章では、「情報の卸問屋」という視点から、情報の提供側と受け取り側のバランスについて考えさせられます。報道の正確性や信頼性を保持しつつ、誰かを傷つけないための配慮や、知的財産の扱い方についても深掘りしています。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
読者、視聴者とともにあるメディア
千利休は、戦国時代から安土桃山時代にかけての茶人でした。この時代の最高権力者は豊臣秀吉です。この秀吉のもとで活躍しながらも、利休は決して彼に屈することはありませんでした。
茶室の入り口の天井が低く、利休の茶室に招かれた武士たちは皆、彼に頭を下げて入室しなければならなかったのです。どんな権力者であっても、お茶の世界では自分と対等だということを示していました。
誰かに伝えたいことがある時、「何かおかしい」「これは疑問だ」といった、憤りが根底にあるでしょう。その気持ちをアーティストは芸術で、ジャーナリストは報道で表現します。
アーティストの場合は必ずクレジットがついているので、誰の作品かすぐに分かります。一方、マスメディアによる報道では、記者の顔がなかなか見えません。官邸の記者会見の映像を見ても、記者の背中が映っているだけです。そうでなくても、どういう人が質問をしているのか記憶に残りません。
記者はそれぞれが自分の顔や個性をもっと見せながら、記事への批評にも向き合い、読者との関係性を作っていくことが求められているのではないでしょうか。
伝え方が変わる8つのキーワード
姿勢
素の顔
アイコンタクト
うなずき
ほどよい間
滑舌
短文主義
テーマはしぼる
姿勢、素の顔のレベルを上げる、アイコンタクトを意識して、うなずくことを癖にする、ほどよい間隔で話し、テーマを絞り込む。といったことを意識すると、人に誤解なく伝わることでしょう。
こうしたテクニックを踏まえて、人に与えられた「言葉」という道具を、人をおとしめたり悲しませたりするために使うのではなく、人の心に灯を灯すために使ってほしいです。
SNSの課金
SNSが部分的な課金について、それぞれがプラットフォームを模索している途中です。
Xは、全ユーザーに対して課金するのではなく、承認バッチにたいして課金しています。YouTubeでも広告収益が直近の決算で前年割れしていることから、ネット広告の収益性については意見が分かれています。
これまでは、SNS各社はAIでユーザー分析することで広告価値を高めてきましたが、今そのトレンドが大きく変わりつつあります。ネット業界が大きくかわるタイミングなのかもしれません。SNSが進化し、細分化し、発展していくような面白い時代と言えるでしょう。