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目次
書籍情報
デジタル関係法のツボとコツがゼッタイにわかる本
発刊 2023年9月25日
ISBN 978-4-7980-7030-8
総ページ数 226p
楠目聖
デジタル庁デジタル臨時行政調査会事務局企画官
亀山大樹
デジタル庁デジタル臨時行政調査会事務局参事官補佐・弁護士
秀和システム
- はじめに
- 本書で使用する用語のポイント
- 序章 デジタル化に関する法制度の全体像
- 1 デジタル化に関係する法律には、どんなものがあるの?
- デジタル化に関する法律の全体像
- デジタル化を阻害する規制を緩和する法律
- デジタル化に対応した新たなルールや基盤整備のための法律
- 2 どのようにデジタル化に対応する法律の整備が進んできたの?
- IT革命(2000年前後)の時期の法整備
- セキュリティ確保、データ活用などへの対応(2010年代)
- コロナ禍でのDXの進展を踏まえた近年の法整備(2020年前後~)
- 1 デジタル化に関係する法律には、どんなものがあるの?
- 第1章 行政手続のデジタル化に関する法制度
- 1 行政手続のデジタル化は、どんな法律の仕組みで定められているの?
- 行政手続とは?
- 個別の法律で手続きのデジタル化を定める方法
- 通則法で手続のデジタル化を定める方法
- 2 デジタル手続法で対象となる「行政手続」には、どんなものがあるの?
- 国民・事業者等から行政機関への「申請等」
- 行政機関から国民・事業者等への「処分通知等」
- 行政機関が主体となる「縦覧等」「作成等」
- 3 デジタル化、オンライン化、IT化、DXって、何が違うの?
- デジタル化とオンライン化の違い
- IT(ICT)化とDXの違い
- デジタルに関する法令用語(電子計算機、電磁的記録など)
- 4 インターネットでの申請や届出は、どんな法律の仕組みで定められているの?
- デジタル手続法第6条による申請等のオンライン化
- デジタル手続法に基づく主務省令の規定ぶり
- 個別法令でオンライン化を定める場合
- 5 オンライン手続では、どうやって本人確認をするの?
- 公的個人認証法による本人確認の方法
- マイナンバーカードの電子証明の利用
- 公的個人認証サービスの利用拡大
- 6 インターネットでの行政機関からの通知は、どんな法律の仕組みで定められているの?
- デジタル手続法第7条による処分通知等のオンライン化
- デジタル手続法に基づく主務省令の規定ぶり
- 個別法令でオンライン化を定める場合の例
- 7 コンビニで住民票が受け取れるのは、どんな法律の仕組みで定められているの?
- コンビニ交付サービスとは?
- コンビニ交付サービスの業務を行っているJ-LISとは?
- コンビニ交付サービスに関する法令等
- 8 申請や通知はデジタル化が原則と聞いたのだけど、何か決まりがあるの?
- デジタル手続法が定めるデジタル3原則
- 国の行政機関によるシステム整備の義務
- 行政手続等のデジタル化の状況の公表
- 9 文書の縦覧や作成のデジタル化に関する決まりがあるの?
- デジタル手続法第8条による縦覧等のデジタル化
- デジタル手続法第9条による作成等のデジタル化
- デジタル手続法の適用除外
- 10 手数料などの支払いのキャッシュレス化は、どんな法律の仕組みで定められているの?
- 地方自治体の手数料などのキャッシュレス化
- キャッシュレス法による国への納付金のキャッシュレス化
- 地方税統一QRコードを活用した地方税の納付(2023年~)
- 11 公金受取のキャッシュレス化は、どんな法律の仕組みで定められているの?
- 公金受取口座登録制度
- 災害時などの給付金を迅速・確実に支給するための仕組み
- マイナンバー制度による、行政機関の間での情報連携
- 12 行政機関の情報システムの整備は、どんな法律の仕組みで定められているの?
- 国の行政機関の情報システムの整備
- 国の情報システム世尊の一括計上
- 地方自治体、準公共部門等の情報システムの整備・管理
- 13 地方自治体の情報システムが標準化されると聞いたのだけど、どんな仕組みなの?
- 地方自治体の情報システム標準化の基本方針
- 標準化の対象となる基幹業務のシステム
- ガバメントクラウドへの移行
- 1 行政手続のデジタル化は、どんな法律の仕組みで定められているの?
- 第2章 民間での取引や手続に関する法制度
- 1 電子契約は、通常の契約と比べて、何が違うの?
- 電子契約の成立要件
- 高度情報通信社会を前提とした契約の成立時期に関する規定の整備
- 電子契約の特徴
- 2 電子契約において、消費者を保護するための仕組みがあるの?
- 電子消費者契約法とは?
- 取引デジタルプラットフォーム消費者保護法とは?
- 利用規約に関するルール
- 3 署名・押印がない文書は、効力があるの?
- 署名・押印の意義
- 押印に関する見直し
- 署名又は押印が必要とされる文書
- 4 電子データの作成者を証明するための法律の仕組みは?
- 電子署名法とは?
- 電子署名の仕組み
- 電子契約サービスに関するQ&A
- 5 企業間取引における本人確認や改ざん防止のための仕組みがあるの?
- 商業登記に基づく電子認証制度とは?
- 電子委任状とは?
- その他のトラストサービス
- 6 民間手続のデジタル化は、どんな法律の仕組みで定められているの?
- 民間手続とは?
- アナログ規制の全体像
- 個別規制ごとにデジタル化が図られた例
- 7 どのようにアナログ規制を緩和する法律の整備が進んできたの?
- 一括法による整備
- 具体的な条項例
- デジタル化のための改正
- 8 書面の保存・製作・交付のデジタル化に関する決まりがあるの?
- 書面による保存・作成・交付の義務
- デジタル化のための改正
- 通則法としてのe-文書法の制定
- 9 e-文書法ってどんな法律なの?
- 趣旨・目的
- 保存・作成のデジタル化
- 縦覧等・交付等のデジタル化
- 10 国税関係書類の作成・保存のデジタル化は、どんな法律の仕組みで定められているの?
- 電子帳簿保存法とは?
- 各種要件の概要
- 今後の動き
- 11 キャッシュレス決済は、どんな法律の仕組みで定められているの?
- 資金決済法とは?
- コード決済に関する法律の仕組み
- その他のキャッシュレス決済に関する法律の規制
- 1 電子契約は、通常の契約と比べて、何が違うの?
- 第3章 データの保護・利活用に関する法制度
- 1 データの保護や利活用について、どんな法律の仕組みがあるの?
- デジタル化の進展とデジタルデータの保護・利活用
- データの保護に関する主な法律
- データの利活用に関する主な法律
- 2 どのように個人情報の保護に関する法律の整備が進んできたの?
- 個人情報保護に関する制度整備の始まり
- 日本における法整備の経緯
- プライバシーの権利との関係
- 3 個人情報保護法って、どんな法律なの?
- 個人情報保護法の趣旨・目的
- 個人情報s取り扱い業者が守るべきルールの分類
- 「個人情報」とは~各種用語の定義
- 4 個人情報を守るために、どのような規制があるの?
- 個人情報に関する規制
- 個人データに関する規制
- その他の規制等
- 5 個人情報の利活用に関して、どのような仕組みがあるの?
- 第三者提供の原則と例外
- 匿名加工情報・仮名加工情報
- 情報の分析
- 6 個人情報保護法制の一元化によって、何が変わるの?
- 個人情報保護法制の一元化
- 個人情報に関わるその他の規律
- 個人情報保護委員会の役割
- 7 著作権法って、どんな法律なの?
- 著作権法とは?
- 著作物とは?
- 著作権の種類
- 8 著作権法は、どのようにデジタル化に対応しているの?
- 著作物が自由に使える場合(権利制限規定)
- デジタル化に対応した権利制限規定
- オンライン授業での著作物の利用(授業目的公衆送信補償金制度)
- 9 官民データ活用推進基本法って、どんな法律なの?
- 官民データ活用す信基本法制定の背景
- 官民データ活用推進基本法の主な内容
- 「オープンデータ」の推進
- 10 ビッグデータの利活用に関する法律があるの?
- 医療分野におけるデータの利活用(次世代医療基盤法)
- 企業が扱うビッグデータの保護(不正競争防止法)
- 統計データの血活用(統計法)
- 1 データの保護や利活用について、どんな法律の仕組みがあるの?
- 第4章 ネットワークインフラとセキュリティに関する法制度
- 1 ネットワークのインフラに関する法律規定はあるの?
- 国(電電公社)による電話回線の全国整備
- 電気通信事業者による情報通信ネットワークの整備
- 政策的に情報通信ネットワークの整備を推進する仕組み
- 2 電気通信事業には、どんなものが含まれるのだろう?
- 電気通信事業法とは?
- 電気通信義業の範囲
- ネットワークインフラに関する法令用語
- 3 インターネットに必要な電気通信回線を確保するための法律の仕組みがあるの?
- 電気通信回線は誰が持っている?
- 特殊会社の仕組みの下でのネットワークインフラの整備
- 公益事業特権制度の活用
- 4 ユニバーサルサービスとして、インターネットの利用を提供する法律の仕組みがあるの?
- ユニバーサルサービスとは?
- ユニバーサルサービスとしてインターネットの位置づけ(2023年~)
- ユニバーサルサービス制度
- 5 サイバーセキュリティに関する法律の全体像はどうなっているの?
- サイバーセキュリティとは?
- 事業者におけるサイバーセキュリティの確保
- サイバー犯罪・サイバー攻撃への対応
- 6 サイバーセキュリティ基本法ってどんな法律なの?
- サイバーセキュリティ基本法制定の背景と趣旨
- サイバーセキュリティ基本法の主な内容
- 重要インフラ事業者等の責務
- 7 電気通信事業者は、セキュリティ面で、どのような義務が定めてられているの?
- 電気通信事業法による通信の秘密の保護
- 設備等の安全・信頼性の確保
- プロバイダの責任
- 8 サイバー犯罪って、どんな行為が処罰の対象になるの?
- 不正アクセス禁止法の規定
- 特定商取引法、特定電子メール法の規定
- 刑法の規定
- 9 サイバー攻撃に備えて、一般の事業者は、何をすればいいの?
- 事業者の自主的な取り組みのためのガイドライン
- 事業者の情報セキュリティ対策の認証の仕組み
- 地方自治体向けのガイドライン
- 10 災害時や停電などへの対応は、法律で何か定められているの?
- デジタル社会形成基本法の規定
- 各省庁の情報システムの運用継続計画
- 足が維持の電力確保に関する電気事業法の改正(2020年)
- 1 ネットワークのインフラに関する法律規定はあるの?
- 第5章 デジタル化に関する政策推進の枠組み
- 1 デジタル化の政策を推進するための基本法があるの?
- IT基本法(2000年~2021年)
- デジタル社会形成基本法(2021年)
- サイバーセキュリティ基本法(2014年)、官民データ活用推進基本法(2016年)
- 2 デジタル庁って、何をするところなの?
- デジタル庁設置の背景
- デジタル大臣と勧告権
- 情報システム関係予算の調整権限
- 3 アナログ規制をデジタル化するための法律上の仕組みができたの?
- デジタル社会基本法の改正(2023年)
- デジタル手続法等の改正(2023年)
- 今後のデジタル規制改革に向けて
- 1 デジタル化の政策を推進するための基本法があるの?
はじめに
デジタル技術の進展によって、新しいビジネスやサービスが生み出されると、それに対応した新しいルールが必要になることもあります。インターネットが日常生活に浸透する一方で、セキュリティや権利侵害などの新たな課題への対策も必要です。
インターネットが日常生活に不可欠なツールになっていくと、電気・ガス・水道などと同様の社会インフラとしての認識も高まり、情報通信ネットワークのインフラやサービスを確保するための法的な仕組みを必要となっています。
様々な形でデジタル化に関わっている皆様に、そのは池にあるルールや制度を知っていただき、さらに深い理解や検討に進んでいただくための入門書として、本書を活用いただければと思います。
電子帳簿保存法
民間事業者等に義務付けられた書面の保存等のデジタル化に関する通則法として、e-文書法があります。実は、この法律が制定される前に帳簿書類の保存については、前から制定されていたのです。それが、電子帳簿保存法です。
コンピュータが普及してすぐ、帳簿書類の作成をデジタル化した事業者がいました。すでにニーズが高かったわけです。
電子帳簿保存法では3種類の保存について規定がされています。
- 国税関係帳簿書類の電磁的記録またはマイクロフィルムによる保存
- 法人税法等で義務付けられている紙の書面による保存について、一定の要件を満たすと電子データやマイクロフィルムでの保存が可能です
- スキャナ保存
- 国税関係書類(注文書や請求書等)のうち紙で受領・作成したものをスキャンして電子データで保存することが可能です
- 電子取引に関するデータの保存義務
- 契約書や注文書などがデータで授受された場合には、その電子情報をデータで保存しなければならない
税務署長の印が必要なくなり、タイムスタンプの付与も緩和されました。今後はインボイス制度に応じた適格請求書の電子データ、電子インボイスを電子データで保存する必要性でてきます。個人事業主や免税事業者に大きく影響する制度変更となっています。情報収集が欠かせません。
ビッグデータの保護
企業が扱うビッグデータの保護に関して、不正競争防止法で関係の規定が整備されています。
不正競争防止法には、営業秘密に関する不正競争行為が規定されており、秘密として管理されることが求められるので、他の企業に提供されるデータが蓄積されてビッグデータとなり、秘密管理性を失う場合があるという困難がありました。そのため、2018の法改正で限定提供データという定義が設けられたのです。
特定の者に提供する技術や営業情報を電子的に限定的に共有できるようになりました。
また、限定提供データの不正取得行為等が不正競争行為として新たに規定されています。
ビッグデータの活用する上で、重要な意義を持つ規定と思われます。
サイバーセキュリティ基本法
サイバーセキュリティ基本法は、基本法ですので、基本理念や国や地方公共団体の責務などの規定が中心になっています。
- 国、地方公共団体、重要社会基盤事業者等の多様な主体の連携により、積極的に対応すること
- 国民一人一人のサイバーセキュリティに関する認識を深め、自発的な対応を促すこと、被害を防ぎ、被害から迅速に復旧できる強靭な体制を構築すること
- インターネットなどのネットワークの整備と情報通信技術の活用による活力ある経済社会を構築するための取組を積極的に推進すること
- サイバーセキュリティに関する国際的な秩序の形成及び発展のために煽動的な役割を担うこと、国際的協調の下に実施すること
- 国民の権利を不当に侵害しないように留意すること
また、第12条の内容は、「政府はサイバーセキュリティに関する基本的な計画(サイバーセキュリティ戦略)を定めなければならない」とされており、第25条で「内閣に、サイバーセキュリティ戦略本部を置く」とあります。サイバーセキュリティ本部は、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)です。
NISCは各省庁のサイバーセキュリティ施策の総合調整などの担っている組織で、内閣官房に置かれています。サイバーセキュリティに関する施策や関連の情報などは、NISCのホームページで確認することができます。
また、重要インフラへのサイバー攻撃による支障が起きた場合の情報共有や報告などについても施策を講じるものとされています。
今後の手時たる規制改革に向けて
今回のデジタル規制改革推進一括法では、デジタル技術が規制の見直し等に効果的に活用されるよう、テクノロジーマップの公表・活用に関する、デジタル手続法の貝瀬も行われています。
規制の見直しに資する技術に関する情報について公表することや、国の行政機関等の行政機関等は当該情報を活用するよう努めなければならいと条文が設けられています。
デジタル技術をわかりやすい形で示すことで、各省庁がこの情報を効率的に検討を進めることができるように今後はなっていきます。
デジタル技術に対応した情報の活用が可能になり、社会のデジタル化に様々な法整備がより一層進展していくことが期待できるのです。
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