データ思考入門

※ 毎朝、5分ほどで読める書籍の紹介記事を公開します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

はじめに

 データを視覚的に表現することを「データの可視化」と呼びます。現代のデータ社会を生き抜くための強力な武器だといえるのです。

 データ可視化を効果的に行うために必要な「データ思考」を説明します。データを正しく読めるようになり、可視化のための考え方を身につけることができるでしょう。

 誇張を避け、相手に誤解を招くことなく、データから得られる知見を理解してもらえます。どのようなデータであっても、その価値を最大限に引き出すようになるのです。

書籍情報

タイトル

データ思考入門

第1刷 2023年2月20日

発行者 鈴木章一

発行 (株)講談社

装幀 中島英樹(中島デザイン)

印刷 (株)KPSプロダクツ

製本 (株)国宝社

ISBN 978-4-06-530994-0

総ページ数 234p

著者

荻原和樹

 東洋経済新報社に入社し、報道コンテンツの開発、デザイン、記事執筆を行い、グッドデザイン賞などを受賞しています。
 報道機関や大学でデータの読み方や伝え方などのトレーニングに力を入れています。

出版

講談社現代新書

2つのデータを組み合わせる

Image by Lukas from Pixabay

 データは他の情報と組み合させることで、思いがけない傾向が炙りだされたり、興味深い関係が示唆されたりすることがあります。

 一方で、2つのデータを同時に可視化すると、良くも悪くもユーザーに強く示唆してしまうことを注意しなければなりません。

 GDPのデータに人口動態や政治的なデータを結び付けて、否定的なタイトルをつけれられたものをよく見かけます。

 冷静に考えてみれば、政治的な事柄そのものがスグに経済に影響を及ぼしているわけでもないのです。

 他にも、がんの死亡率など年齢構成を加味した死亡率を載せずに、粗死亡率で比較してがんで死ぬ人が増えているかのように印象操作することも可能なのです。

 データの定義や主計範囲(年齢加味→全人口)を変更することで、嘘をつかずに巧妙な印象操作ができてしまいます。

集計よりも可視化

作者: RG8

 データ可視化をデザインするときに重要な考え方は「できるだけデータの情報量を落とさない」ことです。

 平準化する、平均値を取る、分類をまとめる、データを整理することは便利ですが、傾向や分布が見えにくくなるのです。

 新型コロナのグラフでは年齢別に感染状況データが提示されることがあります。しかし、情報を落とさないようにするためには、各年代で異なる人口も踏まえる必要があるのです。

 本来ならば、年代別の感染状況データを表示するなら、年代別の人口比較も透けて見えなければなりません。感染傾向を提示しなければならない情報でしょう。

ランキング功罪

作者: セントラルアパート

 日本人はランキングが好きです。実際に江戸時代から人気のコンテンツでした。

 ランキングはシンプルでわかりやすい反面、要素を捨てているデメリットがあります。実数の差がイメージしにくくなるのです。

 1位が僅差なのか大差なのか、それによって印象が異なります。それによって下位にはネガティブな印象がついてしまうことも副作用としてあるのです。

 実際にデメリットが悪い方向に作用した例は、「都道府県魅力度ランキング」です。トップ10よりワースト10のがアクセスを集める傾向があります。魅力度ランキングによって無用なトラブルを引き起こし、トラブルが起きたことを利用して注目を集めようと騒ぎを広げる人までいるのです。

 ランキングの利点は1位、2位といった顔ぶれがわかることです。

 ランキングの欠点を視覚的に整理して、うまく活用することが求められています。

「伝わるもの」をベースに考える

作者: みょうち麒麟

 炎上を避けるためには「データではなく、可視化によって伝わるものをベースにする」ことを考えるとよいでしょう。

 データに誤りがなかったとしても、差別やステレオタイプを助長するような伝え方・切り取り方は許されません。

 データに基づいた主張は、決して偏見や先入観と無縁ではありません。男女というカテゴリーで判断して、その人の素質をみなければ差別となります。

 特に犯罪や病気といったネガティブなトピックを組み合わせる際に、データを見せること自体がどのような印象を及ぼすかに注意する必要があります。

あとがき

 可視化デザインを綺麗に仕上げるツールを紹介する書籍は他にあります。

 本書で特に意識したのは、すぐに役だつテクニックというよりは10年後も役立つ見方や考え方です。

 調査報道やノンフィクションのウェブサービス「スローニュース」にて連載した内容を基にしています。元々は報道に携わる人を読者層のメインに据えてきましたが、新入社員、学生など、広くデータに関わる人を対象とした本に仕上げました。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 データの正しい見方を学べる書籍になっています。

 データを扱うときの注意点も確認できます。

 ツイッターの投稿でも、偏りのある否定的な内容が人気を博しています。

 嘘をつかずに巧妙な印象操作をしている者がいて、知らずに拡散してしまう人もいるのです。否定的な内容だったり、バカにするような内容だった場合には注意をした方が良いと思いました。

 どっぷりと印象操作されている人こそ、この本を読んだときハッとするでしょう。

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