田舎で0円生活はじめました/著者:田村余一、田村ゆに

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書籍情報

タイトル

都会を出て田舎で0円生活はじめました

発刊 2022年8月15日

ISBN 978-4-8014-0100-6

総ページ数 229p

著者

田村余一

フリーターをしながら不安と失望を加速させ、20代で富士登山に失敗し、おどるような人生を選択すると心に決めた人物。おかしなくらいポジティブ思考で独自の人生をクリエイトし始めた。
電気・ガス・水道を契約しない生活を構築し、地域の「御用聞屋」開業。

著者

田村ゆに

歌手活動をしながら365日着物生活をしていた人物。自然素材に興味を持っていたため、SNSで発見した田村余一の「お嫁さん募集」にエントリーした。そのエントリーした年の秋に青森へ移住し田舎暮らしを始め、2017年に入籍。

出版

サンクチュアリ出版

もくじ

  • はじめに
  • part1 ようこそ我が家へ
    • 家族3人、総工費10万円、建築期間7年、断熱材はぬいぐるみの愛しい我が家
    • 動くソーラーパネル
    • うちのコンロは、ロケットだ!
    • カミさんとは、カミサマのことだったのか
    • 紙は買わない!我が家のキング・オブ・オシリフキ
    • 嫁日記その1 都会から、田舎で0円暮らしを始めた理由
  • part2 我が家の食う、寝る、働く
    • 嫁さんの料理が美味すぎる!
    • 田舎ルンバは、ニワのニワトリ
    • 果物も作ることになりました。商業畑と自給畑の違い
    • 御用聞屋というシゴト
    • 突然来る、知らんオッサン
    • 自然は最高の先生。自給自足的な子育て
    • 嫁日記その2 カカの奮闘記
  • part3 自然と生きる日常
    • 最強の早炊き法。ヌカ釜で米を炊く
    • 自家製ハーブと里山からの贈り物クロモジ茶の話
    • 海水から塩を作る
    • ニワトリさんの命をいただいたときの話
    • 我が家に風呂はない
    • 手前のケツを手前で拭けるトイレ
    • ゴミのラビリンス 捨てるは無罪、拾うは有罪?
    • 大切なのはサラリーよりカロリー
    • 1日1食は、なかなかいい暮らし
    • 嫁日記その3 今日、トリさんをお肉にしました
  • part4 僕らが家族になるまでの話
    • おどって生きる。僕が自給自足を始めたきっかけのようなもの
    • ジジィ、孫のために一肌脱ぐ
    • 畑で過ごす時間
    • 「お嫁さん探し」をしたときの話
    • 嫁日記その4 私が嫁にいったときの話
  • part5 家とこれからの話
    • 我が家はハイになる廃材といつも一緒
    • 大工仕事の師匠は廃材。日本伝統工法ってスゴいぞ
    • 廃材にありつくために
    • 僕が考える我が家のこれから
  • おわりに

書籍紹介

都会から田舎への一大決心

 著者が都会の生活に疑問を感じ、田舎での生活に魅力を見出すまでの過程が描かれており、その決断の背景には、自然との共生や自己持続可能な生活への強い憧れがありました。彼らがどのようにしてその一歩を踏み出したのか、その勇気と決断力は、読者にとって大きなインスピレーションとなるでしょう。

0円生活のリアルな挑戦

 この書籍の最大の魅力は、「0円生活」というユニークなテーマです。田村夫婦は、田舎での生活費を極力抑え、地元の資源を活用しながら自給自足の生活を目指しました。食材の調達方法、エネルギーの確保、住居の工夫など、具体的なエピソードを通して、現代社会の中での「0円生活」のリアルな姿が描かれています。特に、農作業やDIYのプロジェクトに関する詳細な描写は、実際に試してみたいと思わせる実用的なヒントに満ちています。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

断熱材はぬいぐるみ

 3人家族が住んでいるのは、約15坪の木造平屋建てです。この建物は私が初めて独学で建築したもので、屋根材と補強金属だけは購入しましたが、その他はすべて解体現場から集めた廃材を利用しています。一応、建築基準法を遵守しており、これまでの地震でも倒壊することなく、しっかりとした建物です。

 棟上げの際は助けてもらいましたが、その他の作業はほとんど一人で行いました。廃材は変形していることが多く、本職の大工さんでも手間がかかる作業をこなし、7年かけて我が家を完成させました。

 構造材として廃材の利用も重要でしたが、断熱材の機能性も確保する必要がありました。リサイクルしたグラスウールを使用しましたが、それだけでは足りず、いただいた大量のぬいぐるみを断熱材として使いました。空気の層を作ることが目的なので、ぬいぐるみでも役立ちます。施工中に木板からぬいぐるみが顔を出すこともあり、そのたびにちょっとしたホラー体験を味わいます。

田舎のルンバ

 ニワトリが4羽、我が家にやってきました。彼女たちはもうマダム年齢で、歳をとっているため、卵をあまり産んでくれません。

 ニワトリの寿命は平均して10年ほどで、生後5か月くらいから卵を産み始め、その後2~3か月で産卵のピークを迎えます。立派な大人に成長すると、肉食用に屠殺されることもあります。

 ある日、ニワトリ小屋を掃除していたら、1羽が脱走してしまいました。住宅地に逃げ込まれたらと思うと冷や汗が止まりませんでしたが、幸いにも家の敷地から出ようとはしません。生活テリトリーが非常に狭いようです。

 脱走したニワトリを観察すると、大きな爪で土を引っ掻き、植物の種子や土の中にいる虫を探して食べていました。土の上にいると安心するようです。

 ニワトリは草をむしり、自分で食料を探し、鶏糞を落としてくれます。鶏糞はそのままでも臭いません。ニワトリを飼うことのメリットはかなり大きいものでした。

 法的には、99羽以下のニワトリの飼育であれば養鶏事業には該当せず、届け出も簡単です。

1日1食

 我が家では夫婦共に基本的に1日1食、夜だけ食べる生活をしています。これは、お互いが出会う前から自然にそうしていました。

 食事回数を減らすことには多くのメリットがあります。食事の準備や食べる時間、片付けの手間を大幅に減らせますし、食料の調達や調理の時間も節約でき、出費も抑えられます。

 デメリットについては特に感じていません。

 とはいえ、修行のように厳格に守っているわけではなく、旬のフルーツをかじることもあれば、外出先で軽く食べることもあります。

 1日1食だと、夕食の頃にはしっかりとお腹が空いています。お腹が空いていると味覚が研ぎ澄まされ、食事の幸福感が格別に感じられます。お腹が空いていないのに時間が来たからと食事をする習慣では、この感動を味わうことはできないでしょう。

お嫁さん探し

 自然栽培の畑を試行錯誤しながらブログを綴っていました。周囲からは、ただの変わり者が面白い生活をしているとしか見られていません。しかし、私が伝えたいのは、誰もが自給自足できるということです。まだ大した成果を上げていない段階から、そんな大きな夢だけは抱いていました。

 ブログでは赤裸々に恋愛歴などを書き綴り、人生のパートナーを募集しました。ありがたいことに全国から20名ほどの応募があり、こんな効率の良い婚活があるのだろうかと驚きました。

 自給自足を共にする生活のパートナーを見つけるには、カフェで数回お茶をするような悠長なことはできません。メールでデリケートな質疑応答を繰り返す、直接的な婚活となりました。

 このやり取りの中で、具体的で詳細な質問に対し、印象的な受け答えをしてくる女性が1人だけいました。この女性に決め、他の応募者にはお断りのメールを送りました。応募からわずか1ヶ月後、この女性と会う約束をしました。

 夜行バスで東京から青森までやってきた彼女は、着物を着ていました。毎日着物を着て過ごすという、個性的な女性です。独特なデートを重ね、4か月後には彼女は青森に移住してきました。その翌年には入籍し、その次の年には子どもが生まれました。スピーディな結婚でしたが、そこには濃厚なドラマがありました。私が妻と出会えたことは、まさに奇跡としか言えません。

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