コーヒーで読み解くSDGs

※ 毎朝、5分ほどで読める書籍の紹介記事を公開します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

はじめに

 2015年に国連で採択されたSDGsは、ここ数年のうちに日本でも普及啓発が進みました。公共の場所では自治体のメッセージと共にSDGsのロゴが目に飛び込んできます。

 ところで、日本は、EU、アメリカ、ブラジルに次ぎ、世界で4番目にコーヒーを消費しています。カフェ、コンビニ、自動販売機と、日本のコーヒー文化は世界に類をみないほど、多様性に富んでいるのです。

 コーヒーの生産を担うのは開発途上国で、生産されたコーヒーのほとんどは先進国で消費されています。コーヒー農家の規模は、世界中で2500万世帯を超しているとのことです。コーヒー価格の下落は、世界の経済、環境、社会問題に直結します。

 生産者が生きていけない産地の現状を伝え、品質に見合った価格を支払う執拗があると訴えましたが、私の話に耳を傾ける人はいませんでした。

 消費国と生産国の間には大きな壁があることを思い知りました。

 コーヒーを通じてSDGsに貢献できることを気付いていただき、コーヒーの価値観を変える コーヒーのを通じてに貢献できることを、気付いていただき、コーヒーの価値観を変える一助になれば幸いです。

書籍情報

タイトル

コーヒーで読み解くSDGs

第1刷 2023年2月6日

発行者 千葉均

発行 (株)ポプラ社

ブックデザイン 鈴木成一デザイン室

印刷・製本 図書印刷(株)

デザイン 穴田淳子(a moke design Room)

編集協力 熊本りか

ISBN 978-4-591-17699-3

総ページ数 282p

著者

José.川島良彰 株式会社ミカフェート代表取締役社長。

池本幸生 東京大学名誉教授。日本サスティナブルコーヒー協会理事。

山下加夏 日本サスティナブルコーヒー協会理事。

出版

ポプラ社

コーヒーと飢餓

UnsplashTucker Tangemanが撮影した写真

 グアテマラやコロンビアなど、中南米のコーヒー生産地には山岳地帯の急斜面が多く、コーヒーの果実は一粒一粒丁寧に手摘みで収穫されています。

 これらの国々では、先住民族の人々が代々伝わってきた独自の文化と共に引き継がれてきたものです。

 経済成長から取り残され、成長期に栄養を取ることができず、発育不良で身長が十分に伸びないまま大人になっています。

 子どもを授かっても、栄養不足の習慣が当たり前になり、負のループを繰り返しているのです。

 グアテマラのサン・セバスティアン農園では、自分の農園の労働者に限らず、先住民族のすべての労働者の子どもたちのために農園内に小学校を開設しています。昼食の時間は子どもたちにとって至福の時間です。

 コーヒー農園が主体となるこの取り組みにより、子どもたちの栄養不足は大幅に改善されました。

コーヒーで教育と仕事をつなぐ

UnsplashIvan Aleksicが撮影した写真

 コーヒー生産をその地域で持続可能な産業にするには、子どもたちが勉強するだけでは不十分です。

 卒業した多くの若者が、コーヒー生産ではなく、都市に出る選択をしてしまえば、農村の未来を担う人材は確保できません。

 実際に農産地の労働力不足は深刻な問題となっています。

 教育が施されている農園では、将来子どもたちがコーヒー生産に携われるような工夫がされているようです。小学校から苗の育成や植林の体験、環境保護などを身をもって学ぶことができます。

 中学では科学的なコーヒーの知識を学ぶという本格的な動きまであります。

 また、大学で学びを得るものには、農園で働く時間と大学で学ぶ時間を調整できる制度、フレキシブルな対応がなされているのです。

 コーヒー生産地の人々が、暮らしを向上するために考えて造った機会であり、だからこそ、サン・セバスティアン農園は成功を収めることができています。

水不足

Image by Tumisu from Pixabay

 中南米のように技術が進んでいれば、遠くの水源から水をひいて、農場近くに精選工場をつくることができます。

 一方、インフラが不十分なアフリカのルワンダなどでは、精選工場を水源の近くに作らざるを得ません。そのために急峻な崖を、コーヒーチェリーを担いで下り、谷底にある精選工場でコーヒーを精選・乾燥し、再びコーヒーを担いで幹線道路まで登るような非効率的な作業を強いられています。

 アフリカでは長年にわたり干ばつが続いているため、今後他のコーヒー生産地でも、この方法を考慮せざるを得なくなるかもしれません。

 選別、ぬめり取りのために大量に水が必要になります。また、排水には酸性のメタンガスを含んでいるため、そのまま河川に流せません。環境を守るためのコストや努力も必要です。

コーヒーと生物多様性

Image by Enrique from Pixabay

 高木の日陰樹は、根を深く張るので土壌流亡を軽減します。直射日光が地面に当たらず雑草も生えにくくなり、除草作業も必要ありません。薬剤を使わなくてもよくなるのです。

 結果として、鳥類、昆虫類、コウモリを含む哺乳類の保全につながります。

 生物の多様性は、コーヒー栽培に恩恵をもたらします。蜂や蝶などの昆虫類は、密を吸う代わりに受粉媒介の役目を果たし、害虫となる昆虫も捕食するのです。

 熱帯地域で取り組まれている伝統的なシェイドグロウン農園では、上記の事を自然と守っています。

 シェイドグロウンを継続するコーヒー農園を守ることは、コーヒーと生物と経済を守る手段と言えるのです。

おわりに

 生産量が減り、交際相場が高止まりしていると、品質は低下傾向になります。少しでも輸出して外貨を稼ぐために、品質規格を甘くする生産国もあります。

 ロジスティクスが回復してない現在、倉庫で保管されているコーヒーは多雨によって湿度が上がり、品質に悪影響が出る可能性があります。

 コーヒーの価格が上がっているのに、生産者の生活は楽にならず、消費国の私たちは世界情勢に翻弄されているのです。

 コーヒー業界全体に危機的状況が訪れるのではないかと心から危惧しています。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 普段、業務スーパーで買っている、あまり美味しくないインスタントコーヒーが高級品になって飲めなくなるのは、残念に思います。

 日本中どこにいっても喫茶店があり、コーヒーで一服できる環境があります。

 嗜好品といえど、ドライブの休憩がてらにのむコーヒーが必需品となっている人が多いでしょう。

 コーヒーの世界も厳しいとわかりました。この本でコーヒーの現状を考えてみてもよいのではないでしょうか。

 下にリンクを貼っておきますので、本書の購入を検討してみて下さい。

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