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※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
目次
はじめに
経済学者はしばしば、論争の中間にいる合理的な仲裁者のような顔をします。
地球の空気は石器時代よりも汚れているが、期待寿命は延びています。海面上昇は起きて生活手段が脅かされてるが、都市を移して社会を救った過去はあるのです。人間の技術は暮らしを変えるでしょうが、それが悪くなるかどうかはわかりません。市場は想像もつかない富を与えてくれました。適切に導かれた市場の力が魔法を起こすに任せようではないか。そんなように語ります。
「適切に導かれた」とはなんでしょうか。抑えのきかない気候変動の費用とは何でしょう。何がわかっていて、何がわかっておらず、何が知りようのないことなのでしょうか。
書籍情報
気候変動クライシス
第1刷 2016年9月8日
訳者 山形浩生
発行者 山縣裕一郎
発行 東洋経済新報社
装丁 橋爪朋世
DTP アイランドコレクション
印刷・製本 図書印刷
編集担当 佐藤朋保
ISBN978-4-492-22374-1
総ページ数 257p
ゲルノット・ワグナー/マーティン・ワイツマン
東洋経済新報社
最適な炭素の値段は
グリーンランドと西南極の氷床が完全に解けたら、10.7メートル海面が上昇します。これは、明日おこるわけではないし、今世紀中ですらありません。今世紀中の世界の平均海面上昇に関するIPCCの推計は最大で1メートルです。
すでに氷解については臨界点を超えているのではないかといった幾重もの不確実性があります。正しい数字を出すのは難しいのです。ビル・ノードハウスは「最適」な世界気候政策に関する統計を導き出そうとする1人です。
ノードハウスによる1992年の最初のモデルでは二酸化炭素排出1トンあたり2ドル世界炭素税でした。今日では、「最適」な推計値が二酸化炭素1トンあたり20ドルほどです。
気候変動の費用は、小さな温度変化の場合は慣れ親しんだものを変える費用で、環境被害想定される温度上昇の場合は海面上昇などを前提として構築された産業インフラなどの費用になります。
しかし定量化できる概念はごくわずかです。オゾンや地表面温度、公害増加、海洋酸性の影響において未知数なものが多岐にわたります。統計で計算できる部分は地球平均温度のうち、数分の1℃というデータを引き延ばして観測した変化から読み取ったものにすぎないのです。
費用な無限?
カタストロフが無限にひどくなるなら、それを超える二酸化炭素公害1トンあたりの最適費用も無限大になります。
けれど、事前と文明を破壊するということだけでは、問題解決のために無限に資金を投入すべきだということにはなりません。職業の仕事で死ぬ確率が高いとあっても、別の仕事に比べて賃金が無限に高くなることはないのです。カタストロフと費用とのバランスを取ることになります。
実は影響をするのは純粋な気候変動だけではありません。小隕石の地球衝突、疫病の大流行、核テロ、バイオやロボットのテクノロジーにかかわるカタストロフもあり、限られたお金は配分しなければならないのです。
誰も正しい価値に直面していない
人類70億人が毎年飛行機に乗り、それぞれが二酸化炭素汚染を1トンずつ増やしたとしたら、40ドル×70億人の被害を起こしていることになります。
われわれみんな、集合的に郊外の費用を負担していますが、だれも自分自身の旅行が地球温暖化公害によりもたらす費用には直面しない結果として、社会にすさまじい費用をかけているのです。
だれかが飛行機に乗ったりするのを阻止しようとする同機はないし、フライトで自分が引き起こす被害について支払うよう人々に促す人もいません。自発的調整は起こらないのです。
政府がでてくるしかないし、世界的な協力はできないに等しくなっています。
ひとつのエコでは意味がない
個人行動の代替についてもわかっていることがあります。人々に自発的に「エコ電力」を買うように依頼すると、一部の人は電気消費を増やしてしまうのです。
エコ行動が、必ずしもほかのエコ活動につながらず、トレードオフから見て逆効果になっていまいます。
本当に個人から集合的行動に拡張できるのかについては、ほとんどわかっていないのです。
どれもこれも、他人事ではありません。リサイクルし、肉を食べず、車も運転せず、全般的にエコな生活をする環境保護主義者ですら、ほかのカーボン罪を冒しています。
感想
サイト管理人
環境を汚染する行動をすれば、実際問題として費用はかかり、環境にも影響します。それは他人事ではなく、自分にもかかわってくることです。そんなようなことがわかったような気がします。
気候変動に関して何もかもわかっていない状態で、いろんな指標を立てて論じているのが現状というのも訴えたいことだったのではないでしょうか。
飛行機、車に乗って、実際に地球環境をこれだけ破壊しているではないか!ドルにしたこうだぞ!という文章は、思わず笑ってしまいました。
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