※サイト管理人が興味をもった部分を紹介します。
はじめに
本書は、講義形式で2012年体制を説明し、現在にまで引き続いている「体制」について論じていきます。
多くは、「他に良さそうなのもいないから」という程度の認識によって、2012年体制が肯定されているのだと思うのです。
目次
書籍情報
タイトル
長期腐敗体制
著者
白井聡
思想史家、政治学者、京都精華大学教員。社会学の博士。
出版
角川新書
安倍政権時代に日本は後進国化した
首相就任後に成長戦略として発言していた内容は、「日本を世界で一番企業が活躍しやすい国にする」というものです。
これを実現するなら、解雇規制を取っ払い非人道的な働き方を規制している法律を無効し、最低賃金をも取っ払って、搾取し放題にするなどの方法が考えられます。
企業が外国へ出ていく動機としてよくあるのが、安い労賃と環境規制の緩さがあるからです。汚染物質を流しながら、人件費を抑えられます。
成長戦略としての規制緩和はどうでしょうか。企業の活動余地を自由にしていくべきだという考えからきています、しかし、資本の活動をどうやって規制、統制していくのかが世界的な課題になっている時代で、うまくいくはずがないのです。
対中戦略をめぐる動揺
安倍政権の前半期には、TPPを軸にした中国封じ込め政策がとられました。中国の「一帯一路」構想への対抗策でもあり、価値観外交も含めたものです。ようするに民主主義、法律、人権を享有する諸国とは仲良くできますというアピールになります。
この間に米中摩擦が本格化しました、特に安全保障の問題に緊張が走ったのです。
アメリカがファーウェイなどの中国企業を追っ払い、中国も国家保安を優先しgoogleなどの締め出しました。
中国はgoogleを締め出したからといって、国が破滅に向かうことはありません。類似した中国独自のサービスが開発され、そちらが使われるようになったのです。
そして安全保障へ飛び火し、ウイグル族問題、香港問題、人権の問題へと波及していきます。
日本は中国包囲網はどこへ行ったかという対応で、中国を手厚く丁重に扱いました。経済面で中国依存が深いからでしょう。日本の資本主義を続けるために、米国と一緒になって敵視をする必要はないという考えです。
中国人観光客が日本に来てお金を落としてくれれば儲かるとういうことで、インバウンド政策も追及されました。
シニシズムが駆動していた
若者をターゲットに自民党がキャンペーンをしていました。
「#自民党2019」と銘打って、KODANSHAのファッション雑誌『ViVi』において、女性モデルが英語のキャッチフレーズが書き込まれたTシャツを着てポーズをとるというものもあったのです。
キャッチフレーズは権利平等、動物保護、文化共生、リベラルなと謳うフレーズが提示されています。
自民党の政治家と支持者たちに排外主義、女性嫌悪、人権蔑視、個性否定といった存在を鑑みれば、このキャンペーンはおぞましいと感じます。
ダンスなど様々な特技を持った子供たちと安倍元首相のコラボレーション広告も作成されました。「子どもたちに慕われ、こどもたちを愛する指導者」という図像は、独裁政権力を好む古典的な構図です。ヒトラーやスターリンは、盛んにこの手法を用いました。
この絵柄は、日本の公的な教育支出の少なさや少子化対策の貧しさと矛盾するものです。
感想
サイト管理人
長く続いた政権が終わった後で、これでもかと不満をぶちまけた書籍になっていました。否定することで、もっと自分で考えて知識をつけましょうといいたいのだと思います。
酷い長期政権だったという主旨で書かれた本なので、かなり偏った内容です。そのことを頭に入れたうえで、政治学者がいう悪口を堪能してもよいのではないでしょうか。
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