※サイト管理人が興味をもった部分を紹介します。
はじめに
SDGs経営とは、「企業の目的である長期の維持発展を実現するため、すべてのステークホルダーとの関係を維持強化させる責任ある取り組み」のことです。
目次
書籍情報
タイトル
小売業の実践SDGs経営
著者
渡辺林治 リンジーアドバイス株式会社代表取締役、博士(商学)慶應義塾大学
篠原欣貴 立命館アジア太平洋大学国際経営学部准教授
薩佐恭平 金融機関勤務、経営学や経営分析を専門
出版
慶応義塾大学出版会
社会性を高めると業績は上がるか
社会性を高めることは企業業績に悪影響を及ぼしません。企業業績を劇的に高めることはできないかもしれませんが、だからといって不利益を被ることはないのです。
マーゴリスらの研究では、社会性は企業業績の分散の2.23%しか説明していません。これは約97.77%は社会性以外の要因によって説明されることを意味しています。社会性が直接的に企業業績へ与える影響は極めて小さいのです。
社会性が高いと受けられる恩恵は以下の通りになります。
- 質の高い従業員を確保しやすくなる
- 顧客ロイヤルティが高まり、顧客からの信頼が得られる
- 消費者がより製品を購入するようになる
- 企業のイノベーションが促進される
- 資金調達が容易になる
さまざまなステークホルダーという経路を通じて間接的に企業にももたらされるため、どの程度の恩恵をうけられるかはステークホルダーとの関係を業績に結び付ける個々の企業の能力に依存すると考えられます。
売上の視点で見た環境活動
2021年の売り上げ動向は環境経営への姿勢と関係がとれます。環境経営に取り組んでいる企業は翌年に増収になりやすく、取り組んでいない企業は減収になる傾向があるのです。
前年に環境CSR報告書を作成し、当年には環境配慮型の商品を導入しているようです。環境経営を積極的に取り組んでいる様子が窺えます。
今日、地域密着型のスーパーにもグローバルな気候温暖化への対応が求められる時代です。小規模企業と中・大規模企業では、小規模企業の方が売上あたりの排出量は多いようで、二酸化炭素排出量の対売上比率は、売り上げ規模が小さいと非常に高いが、売上規模の拡大とともに急速に低下するようです。
セブン&アイ SDGs戦略
サブン&アイは、サステナブル経営の取り組みを「中期経営計画2021-2025」の基盤に入れています。
- 高齢化、人口減少時代の社会インフラの提供
- 商品や店舗を通じた安全・安心の提供
- 商品、原材料、エネルギーのムダのない利用
- 社内外の女性、若者、高齢者の活躍支援
- お客様、お取引先を巻き込んだエシカルな社会づくりと資源の持続可能性向上
井阪隆一社長を委員長とするCSR統括員会で重点課題としてあがった項目です。この項目をSDGsの17の目標と関連付けながら以下のような指針をつくりました。
- お客様とのあらゆる接点を通じて、地域・コミュニティとともに住みやすい社会を実現する
- 安全・安心で健康に配慮した商品・サービスを提供する
- 地球環境に配慮し、脱炭素・循環経済・自然と共生する社会を実現する
- 多様な人々が活躍できる社会を実現する
- グループ事業を担う人々の働きがい・働きやすさを向上する
- お客様との対話と共同を通じてエシカルな社会を実現する
- パートナーシップを通じて持続可能な社会を実現する
SDGs経営の維持
SDGs経営によって、セブン&アイは世界トップクラスのグローバル流通グループを目指すようになり、高島屋は190年の発展と社会的信用を、丸井グループは高い評価と業績を、アークスとアイシクルは業界をリードする発展を実現しました。
共通することは、すべてのステークホルダーとの関係を維持・強化させようとする責任ある取り組みです。
社会性の高い日本小売業は国債社会で評価を高めやすくなりました。国際社会は、社会的に良いことをしていても伝えなければ理解してくれません。外部機関から高い評価を得ているセブン&アイと丸いグループは、非財務情報を積極的・先着的に開示しています。上場企業はSDGs経営のアピールが必要になりました。
社会変化に対応する競争力の強化なくして、企業の維持発展はあり得ません。すべてのステークホルダー、消費者、従業員にとってもSDGs経営は重要です。
小売業の繁栄とより良い社会を実現しましょう。
感想
サイト管理人
環境改善の取り組みと業績がどう関わっているのかが、わかりやすく説明されている書籍でした。
実際に掲げられた指針がどこまで影響しているかが、現場レベルでわかるわけではないので、疑問に思うところはあるものの、更なる環境改善に努めていることがわかります。
SDGsの経営関連の本で、すごく理解しやすい本だと思います。気になった方はチェックしてみて下さい。
購入リンク
紙
amazonは↓
電子
amazonは↓