※サイト管理人が興味をもった部分を紹介します。
謝辞
GEの人々は、現役社員も元社員も情報源です。トップが何をして成功しようと失敗しようと、会社の本質は社員にあるとしんじています。
彼らは、会社の復活を切望していて、愛する会社の辛い出来事を話してくれました。感謝の言葉が見つかりません。
目次
書籍情報
タイトル
GE帝国盛衰史
ー「最強企業」だった組織はどこで間違えたのか
著者
トーマス・グリタ
ウォール・ストリート・ジャーナル、ニューヨーク支局記者。
報道記者として働き、ダウ・「ジョーンズでバイオテクノジーや製薬業界を担当しました。その後ウォール・ストリート・ジャーナルに移っています。
テッド・マン
ウォール・ストリート・ジャーナル、ワシントンDC支局記者。
企業、政府担当チームに所属しています。ザ・デイでの政治記者として経験を積みました。
訳:御立英史
出版
ダイヤモンド社
GEをみる目の変化
元CFOダマーマンは、GEの不低迷な構造と不思議なほど堅実な利益を、傲慢とも思える自信に満ちた態度で擁護しました。
GEが利益を上げている理由を理解できるのはGEだけであり、投資家は黙って配当だけうけとっていればいい、と言わんばかりだったのです。
そんなとき、パイプライン企業大手エンロンは、大規模な不正会計の発覚により一瞬で崩壊しました。
投資家にとって気がかりだったのは、エンロンが完全な詐欺集団ではなかったという点にあります。私腹を肥やそうとしたCFOが複雑な関係を構築しせいで破綻したのです。
取り巻く世界が、ひっくり返っていきます。景気後退と同時多発テロに伴う不透明感が、GEの基盤である世界経済の成長を鈍らせたのです。
エンロンのような会計処理をGEが行っていたとしたら、そんな不安が投資家にでてきました。今までは株式のパフォーマンスに文句のつけようがなく、株主は満足していたでしょう。GEは円エンロンではないと説得する必要があったのです。
イメルトは、「投資家に実績をオープンにするために、年次報告書がニューヨークの電話帳みたいになっても、受け入れるしかない」と、ウォール・ストリート・ジャーナルに語っています。
リーマンショック
マンハッタンに金融の伝染病が蔓延していました。GEは厳密には銀行ではなく、中核は工業系事業だというメッセージを送っていたので、こんな状況でも優良企業だと疑わなかったのです。
低利で短期債務を行うコマーシャルペーパー(CP)市場はGEの生命線です。CPにアクセスできなければ、巨額の債務を返済できなくなります。このことが投資家や一般消費者には伝えていなかったのです。
この現実とのギャップは隠し通せるものではありませんでした。
想像を超えた実態
サラソタでの失態の後、多くの投資家にとって、GEは魅力を失っていました。
2017年に次期CEOになったのはGEヘルスケアのCEOになっていたジョン・フラナリーです。カリスマ性と愛想を振りまくイメルトとは対照的な人物でした。
CEOに就いたフラナリーは全力で仕事に取り組みます。コスト削減として、コーポレートジェットを売りに出し、ジェットではなく、チャーター便か商業路線を利用するように通達しました。トップ800人に提供していた車も召し上げます。
約束した配当を支払う資金も無ければ、研究開発や会社発展のための投資ができる状況ではありませんでした。現金を生み出すGEの能力は地に落ちていたのです。
伝説のCEOの最後
ジェフ・イメルトは講壇でこう問いかけました。「前からそんなに弱気だったのか?お前の部下は本気取り組み気があるのか?」
インスピレーショナル・リーダーシップと呼ばれるものは、もう通用しません。現実は体育会系のスポーツではないのです。想像力だけではうまくいかないこともあります。
伝説のCEOジャック・ウェルチは2020年3月1日の日曜日、マンハッタンの豪華なアパートで亡くなりました。84歳です。最後まで矜持を失わなかったといいます。
晩年の彼は、かつて自分の率いた会社の苦難に、特に会社自ら招いてしまった苦難に、心を痛めていました。
セント・パトリック大聖堂で行われた葬儀にはGEの過去と現在の幹部、家族、友人などが参列しました。ジョン・フラナリーもジェフ・イメルトもいました。
そして、アメリカンフットボールの名将が棺を担いだのです。
感想
サイト管理人
カリスマ性、不透明性、体育会系の体制を斬るような文章が印象的でした。
成功、転落、救済、企業の内部が書かれています。
物語のように書かれていて、小説のようにビジネス書を読めます。
どんなことが崩壊につながるのか、読んで考察してみてはいかがでしょうか?
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