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目次
書籍情報
ビッグバンからあなたまで
若い読者に贈る138億年全史
発刊 2024年4月6日
ISBN 978-4-7505-1834-3
総ページ数 397p
シンシア・ストークス・ブラウン
ドミニカン大学名誉教授。
高校教師として世界史を教えた後、ドミニカン大学でビッグヒストリーの講座を担当した。
亜紀書房
- デイヴィッド・クリスチャンによる序文
- はじめに
- 謝辞
- 第1章………私たちは宇宙をどのくらい知っているか
- ビッグヒストリーとは何か?
- デイヴィッド・クリスチャン:ビッグヒストリーの生みの親
- 経験的知識とは何か
- ビッグヒストリーの物語の構成
- エリック・J・チェイソン:宇宙進化の設計者
- ビッグヒストリーの簡潔な予告編
- フレッド・スピール:ビッグヒストリーの理論家
- 第2章………ビッグバン スレッショルド1(138.2億年前)
- ビッグバン理論の物語
- 5つの基本的な言葉
- 最初の1秒
- 次の20分間
- 最初の38万年
- 2つの初期宇宙望遠鏡
- 宇宙物理学のいま
- 知のフロンティアにおける問い
- 宇宙とあなた
- 第3章………銀河と恒星 スレッショルド2(恒星については137億年前から現在まで)
- 銀河の生成
- 天の川銀河
- 恒星の生成
- 天文学のいま
- エドウィン・パウエル・ハッブル:遠くにある星のパイオニア
- ニール・ドグラース・タイソン:宇宙に呼ばれて
- 知のフロンティアにおける問い
- 恒星とあなた
- 第4章………複雑な原子──恒星がどのように元素を作るのか スレッショルド3(137億年前から現在まで)
- 化学元素の性質
- 同位体:ほぼ同じ双子
- 恒星の一生
- 超新星
- ラス・ジェネット:ロボットの天文観察者
- 宇宙科学のいま
- 知のフロンティアにおける問い
- 死にゆく星とあなた
- 化学元素の性質
- 第5章………太陽と地球 スレッショルド4(46~35億年前)
- 私たちの星・太陽の生成
- 惑星の生成
- 地球の初期の歴史
- 地球が元素を加工する
- レアアース
- 月の地質学のいま
- 知のフロンティアにおける問い
- 太陽と地球とあなた
- 第6章………生命の進化(a)──細菌とウイルス スレッショルド5(35億年前から現在まで)
- 2つの言葉
- 生命の出現
- 細菌の数十億年
- リン・マーギュリス:ミクロコスモスの異端者
- 地球システム
- 微生物学のいま
- 知のフロンティにおける問い
- プレストン・クラウド:初期のビッグヒストリアン
- 細菌とあなた
- 第7章………生命の進化(b)──多細胞生物 スレッショルド5続き(20憶年前から20万年前まで)
- カンブリア大爆発(5億4200万円前~5億5000万年前)
- 陸地へ(5億年前から4億年前)
- 私たちの種である哺乳類
- ウォルター・アルバレス:運命のクレーターを追った探偵
- 進化生物学のいま
- 知のフロンティアにおける問い
- E・O・ウィルソン:アリ研究の大御所
- あなたの中の魚
- 第8章………人間の出現 スレッショルド6(約20万年前)
- ホミニンの進化
- 現生人類(ホモサピエンス)の出現
- 旧石器時代の生活
- 人類学のいま
- 知のフロンティアにおける問い
- ジェーン・グドール:チンパンジーの友人
- 旧石器時代とあなた
- 第9章………農業から帝国へ スレッショルド7(紀元前9500年から紀元後1500年)
- 農業の出現(紀元前9500年~紀元前3500年)
- 初期の都市、国家、文明と帝国(紀元前3000年~紀元前1000年)
- 帝国の拡大(紀元前1000年~紀元後1500年)
- ジャレド・ダイアモンド:地理学の重要性
- 中国文明の概観
- 知のフロンティアにおける問い
- 文明とあなた
- 第10章……グローバリゼーション スレッショルド8(1500年から2000年)
- 世界システム(グローバリゼーション・ステップ1)
- 産業革命(グローバリゼーション・ステップ2)
- 近代の国民国家
- 20世紀(グローバリゼーション・ステップ3)
- 人類史における暴力
- ある世界史家のいま
- 知のフロンティアにおける問い
- 近代とあなた
- 第11章……未来
- 現在
- 人新世:人間の時代
- 可能性の高い短期的シナリオ
- 中長期的シナリオ
- 未来学のいま
- 知のフロンティアにおける問い
- ドレイクの方程式
- 未来とあなた
- 現在
- 第12章……ビッグヒストリーの意味
- 方法としてのビッグヒストリー
- ビッグヒストリーと超自然的なもの
- 宇宙の旅
- ビッグヒストリーと自然
- 意味のフロンティにおける問い
- 意味とあなた
- ある一人のビッグヒストリアンがどのように意味を構築していったのか
- 訳者あとがき
- 用語集
- 日本語版で読めるビッグヒストリーの本
書籍紹介
時間を超える壮大な旅
宇宙の始まり、地球の誕生、生命の進化、そして人類の歴史。まさに時間を超えた冒険の記録です。この本は、138億年もの長い時間を、ページをめくるごとに体験できるように設計されています。
宇宙の始まりからの旅
著者はビッグバンという宇宙の誕生から始まり、星や銀河がどのように形成され、地球がどのようにして生命を宿す星となったのかを語ります。この壮大なスケールの話を若い読者でも理解しやすい言葉で説明しており、科学的な知識が少ない人でも楽しめる内容となっています。
地球上の生命とその進化
地球上の生命の起源について掘り下げる章では、単細胞生物から多細胞生物への進化、そして最終的には人類の出現へとつながる進化の過程が描かれています。子どもたちにとって、恐竜や古代の生物たちについて学ぶことは特に魅力的です。
人類の歴史と文化の発展
人類の歴史に焦点を当てた部分では、狩猟採集から始まり、農業革命、文明の形成、技術革新といった重要なターニングポイントが解説されます。読者は人類がどのようにして今日の地球に至ったのかを学ぶことができます。
若い読者へのメッセージ
シンシア・ストークス・ブラウンは、若い読者たちが自分たちが生きる宇宙と地球、そして人類社会について深く理解することの重要性を強調しています。彼女は、過去を理解することが未来を形作るための鍵であると説いており、この本を通じて子どもたちに科学への関心と好奇心を育てることを願っています。
紹介まとめ
『ビッグバンからあなたまで 若い読者に贈る138億年全史』は、その圧倒的な情報量と分かりやすい語り口で、すべての年齢層の読者に推薦できる一冊です。特に若い読者にとっては、自分たちのルーツを知るための貴重な一歩となるでしょう。教育的でありながらも読みやすいこの本は、家庭の本棚に加えるべき価値ある作品です。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
宇宙とあなた
人間は、宇宙のスケールにおいて中間の大きさに位置していると言えるでしょう。宇宙に存在するものの約半分は私たちより大きく、残りの半分は私たちより小さいです。このイメージは、YouTubeの「Powers of Ten」で視覚的に確認できます。
もし宇宙の膨張速度がわずかに速かったなら、物質は形成されず、膨張が速すぎたでしょう。逆に、膨張速度が少し遅かった場合は、宇宙は自己崩壊を起こしていたかもしれません。私たち人間は、この宇宙の振る舞いの結果として生まれました。
あなたの体を構成する原子には、宇宙誕生の瞬間に形成された亜原子粒子が含まれています。あなたの体内の陽子、中性子、電子は宇宙の最初の1秒間に生成されました。
地球・太陽の生成
私たちは、太陽と呼ばれる恒星の周りを回る地球という惑星に住んでいます。太陽は、私たちの銀河に少なくとも1000億個以上ある恒星の一つです。
私たちの銀河は、平らで丸い円盤の形をしており、中央にはおそらくブラックホールを含むバルジがあります。この標準的な構造の円盤は、宇宙空間にらせん状に伸びる恒星、ガス、ちりからなる腕を持っています。私たちの恒星は、銀河のらせんの腕の一つで、銀河の円盤の平面から20光年ほど上に位置しています。
天文学者は、生命が存在可能な銀河の領域をハビタブルゾーンと呼んでいます。これは、中心部に近すぎず遠すぎない場所です。近すぎると超新星が頻繁に発生し惑星を破壊する可能性がありますが、遠すぎると超新星爆発が少なすぎて生命の出現に必要な重い元素が形成されません。
地球には最も重い自然の元素であるウランが含まれています。太陽系を形成した初期の原子雲は、ウランのような重い原子を形成できるほどの超新星が近くで爆発したことによってもたらされたのでしょう。
現生人類の出現
ホモ・エレクトゥスが約200万年間続いた後、新しい種である私たち自身が、約20万年前にアフリカのどこかで進化しました。その進化がどのように起こったのかははっきりしていません。
現生人類の出現は、地球の表面をこれほど短期間で変えた初めての種です。人間は、惑星の歴史において、それ以前のどの時代よりも大きなエネルギーの流れを利用しながら、自然環境に急速に影響を与えました。
専門家たちは現生人類の特徴について長らく議論しています。多くの意見が一致しているのは、道具の使用が私たち人類とそれ以外を区別する点であるということです。火の使用が人類だけの特徴だと考える専門家もいれば、道具を作る道具の使用を挙げる専門家もいます。今日の多くの専門家は、人類の最大の特徴はシンボルを用いた文法に従う言語の使用であり、これにより私たちは正確な意味を伝えることができると考えています。
人間は過去、現在、未来について、また架空の話も語ることができますが、これは他の動物には不可能です。歴史学者と人類学者はこの特徴を「コレクティブ・ラーニング」という用語を使用して説明しています。
中長期的シナリオ
数千年先の中期的な出来事は、予測するのが最も困難です。この範囲について未来を考えると、私たちの思考が停止してしまいます。
残された多数の推測とサイエンス・フィクションの物語は、非常に暗いものから非常に希望に満ちたものまで、幅広いです。
物語の中では、数億年から数十億年後の遠い未来、つまり人類が存在しなくなった後のことを考える時、私たちはより自信を持って予測できるようです。気候が温暖化と寒冷化の間を変動し、大陸が動き、海洋が拡大・縮小し、小惑星が衝突し、火山が噴火し、絶滅が生じ、新しい種が現れるというのが全般的なパターンです。
50億年後には、太陽はヘリウムを使い果たし、そのコアは炭素分子を作るのに十分な温度に達して爆発し、崩壊します。そして、太陽は次の恒星の生成材料として宇宙に散らばるでしょう。
広く受け入れられているシナリオは、ダークエネルギーによって宇宙が永遠に拡大し続けるというものですが、ダークエネルギーの特性を完全に理解しない限り、宇宙の究極的な運命について確かなことは言えません。