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目次
書籍情報
民話の森叢書6
チョコレートのオマケにみる ベルギーの祭りと暦
発刊 2024年4月17日
ISBN 978-4-910603-28-5
総ページ数 243p
アンリ・リブレヒト
作家、詩人、文献学者、歴史家。
イスタンブールで生まれ、王立フランス語フランス文学アカデミー会員を生前に10年間つとめている。
国際文献社
- はじめに
- バラの花飾り
- Ⅰ パレードを見に行こう
- 1. ブリュージュの聖なる血のパレード
- 2. フルネの改悛者の行列と受難劇
- 3. ハンスウイックの聖母マリア祭 (聖霊降臨祭の二日目)
- 4. ハーケンドーフェルの救い主キリストの行進
- Ⅱ 巡礼に出かけてみよう
- 1. モンテギュのローソクパレード(十一月一日万聖節後の最初の日曜日)
- 2. ハッセルトのヴィルガ・ジェス(被昇天の祝日の最終日)
- 3. アンデルレヒトの聖ギドン祭(聖霊降臨の祭りの月曜日)
- Ⅲ サンブル=ムーズ地方の兵隊パレード
- 1. 兵隊パレードとは何か?
- 2. ジェルピーヌの聖ロランドのパレード(聖霊降臨の祭りの月曜日)
- 3. ヴァルクールの聖母マリアのパレード(三位一体の祝日・聖霊降臨後の日曜日:復活祭後第八日曜日)
- 4. フォスの聖フェイアン祭
- 5. ルネの「フィルテル」(三位一体の祝日の日曜日)
- 6. レンベークの聖ヴェロンのパレード
- 7. ジュメの踊るパレード
- 8. ブリュッセルのオメガング
- Ⅳ 受難劇のドゥドゥとの戦い
- 1. モンスのリュムソン(三位一体の祝日)
- 2. ヘラールツベルゲン(グラモン)の「クラケリンゲン」(カーニバルの最初の日曜日)
- 3. アルロンの四旬節の「ソラマメの王さま」
- 4. イーペルの猫祭り
- 5. バンシュのカーニバルとジル
- 6. マルメディのカーニバル(カーニバルのマルディ・グラ)
- 7. オイペンのローゼンモンタグ(カーニバルの月曜日)
- 8. エコシヌの菓子祭りと恋人さがし
- 9. アルロンの恋人さがし市
- 10. ナミュールの竹馬祭り
- 11. ブリュッセルの五月の木・メイブーン
- 12. ケルメスとデュカスと遊びのいろいろ
- 13. 素人芝居と受難劇
- 14. ブリュージュの聖なる血のパレード
- 15. リュソンの聖エヴェルマーの受難劇
- 16. 子どもたちの遊び
- Ⅴ 人形劇
- 1. マリオネット
- 2. リエージュの人形劇場と人気者のシャチェとナネス
- 3. トゥルネのポリジネル
- 4. ヴェルヴィエのベティエーム
- 5. モンスのベティエーム
- 6. ブリュッセルのプーシュネレン
- 7. アントワープのポジェネーレン・ケルダー
- Ⅵ 巨人たちの国への旅
- 1. ベルギーのいろいろな巨人
- 2. グーヤス夫妻の結婚
- 3. アトの巨人パレード(八月の四番目の日曜日)
- 4. ワーヴルの巨人たちの復活と誕生(四月二十三日)
- 5. トゥルネの巨人パレードの誕生(一九三三年九月二十四日)
- 6. ハッセルトのランゲマン
- 7. ナミュールの巨人ゴリアテとその家族
- 8. アントワープのドリュオン・アンティゴンとサルヴィウス・ブラボの伝説
- 9. メッヘレンの六人家族の巨人
- 10. アントワープとメッヘレンのオプ・シニョルケとフープ・サーサ
- 11. 不思議な動物たちのパレード
- 12. エイモンの四人の息子とシュヴァル・バイヤールの伝説
- 13. ジャン・ド・ニヴェルと犬
- Ⅶ おわりに
- 1. ベルギーの豊かなフォークロアと民間伝承と習俗
- 2. 夜の集い(la veillée) と民間伝承
- 3. 年中行事とアルマナック(民間の暦):ソラマメの王さまと公現祭と枝の主日と復活祭
- 4. フォークロアの多様性
- 5. 聖ニコラウスの祝日とクリスマス
- 6. ヴィエルサルムのクリスマスのパン
- 《解説》ベルギーの祭りと暦
- 1. ベルギーの歴史と地理
- 2. ベルギーの祭りと暦
- 3. 1989年のアルマナック(民間暦)に見るベルギーの祭り
- 4. ベルギーの地図と地名
書籍紹介
ベルギーの多様な祭りとその歴史を理解するための一冊です。この本は、ベルギーの祭りや伝統行事を掘り下げ、その魅力を紹介しています。
ベルギーの祭りと暦
ベルギーは、豊かな歴史と文化に彩られた国です。その中でも特に目を引くのは多様な祭りの数々です。本書では、聖ニコラウス祭、カーニバル、イースター、夏至祭、クリスマスなど、年間を通じて行われる主要な祭りが取り上げられています。それぞれの祭りには独自の歴史や意味があり、地域ごとに異なる風習や行事が存在します。
文化理解
祭りと暦にまつわるベルギーの文化を探求します。例えば、聖ニコラウス祭では、子供たちに贈られる小さなオマケがその象徴とされてきました。また、カーニバルでは華やかな衣装や仮装が重要な要素となっております。
著者の視点
アンリ・リブレヒトはベルギーの文化研究の第一人者であり、本書では彼の深い洞察が光ります。彼は、祭りの背景やその社会的・歴史的な意義を丁寧に解説し、読者に新たな視点を提供します。リブレヒトの筆致は、学術的でありながらも親しみやすく、ベルギーの文化を深く理解するためのガイドとして非常に優れています。
おすすめの読者
この本は、ベルギーの文化や歴史に興味がある方、または祭りや伝統行事に関心がある方にとって理想的な一冊です。さらに、民族学や文化人類学に興味を持つ読者にも非常に価値のある内容が詰まっています。ベルギーの多彩な祭りとその背景に触れることで、より深い文化理解が得られることでしょう。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
ヴァルクールの聖母マリアのパレード
何世紀も前のこと、教会で火事が発生しました。鐘楼はたちまち大きな松明のように燃え上がり、ヴァルクールの町の人々は為すすべもなく、天の神さまに祈るしかありませんでした。教会は再建されましたが、かつてのマリア像の前で祈ることができないのを残念に思っていました。
ティエリー・ド・ロシェフォール伯爵がたまたまこの場所の近くを通りかかった時、彼の馬が突然止まって動かなくなってしまいました。伯爵は馬から降りて、真心をこめてマリアさまに馬が動くようにと祈りました。しかし、馬は少しも動こうとしません。そこで、伯爵がマリアさまに修道院を建てると約束すると、突然、彼の腕の中に樫の木で彫られた聖なるマリア像が落ちてきました。伯爵はほどなくしてヴァルクール修道院を建立したと言われています。
この奇跡を記念して、毎年その日にマリアさまを称えるパレードが行われるようになりました。巡礼者たちはまず東方の三博士の礼拝堂で祈りを捧げ、その後「修道院の小庭」と名付けられた場所に集まります。そこでマリア像発見の奇跡を記念する劇が演じられます。
エコシヌの菓子祭りと恋人さがし
エノー地方にある美しい街、エコシヌには素敵なお城があります。この町の娘たちは結婚相手が見つからずに困っていました。しかし、年をとっても結婚できないよりは、良い方法を考え出しました。
1903年から、結婚を希望する若者を集めるためにお祭りを開き、お菓子を振る舞う行事を始めました。現在では、聖霊降臨祭の月曜日にエコシヌの町ではパレードが行われています。
当時は現在よりも結婚相手を見つけるのが難しかったため、このお菓子祭りは大変な人気を博しました。
マリオネット
リエージュでは、人形芝居が有名です。マリオネットと聞いて、何かの物語を思い浮かべる人も多いでしょう。
人形芝居の一座は、町から町へと旅し、見物客を集めていました。使う道具はいつもと違っていても、どこかが変わっているのが常でした。
主人公の名前も場所によって異なります。ナポリではポリッチネル、リヨンではギニョル、ミュンヘンではガスペル、アムステルダムではヤン・ペッケルヘリング、ロンドンではパンチと呼ばれています。
ベルギーでも町ごとに異なります。モンスやヴェルヴィエで行われるベチエームという人形芝居のクリスマスの演目は、素朴で詩的かつ感動的で、多くの人々の心をとらえ、クリスマスの季節には多くの人々が見に行きました。
ベルギーのいろいろな巨人
ベルギーの巨人たちは、ベルギーの平和を守る同盟軍を結成しています。巨人にはカップルや家族、貴族に兵士などがいて、決して危険な存在ではありません。ただし、彼らを笑いの対象にしてはいけません。
ベルギーの巨人とは、各町の祭りの日にパレードで登場する大きな人形のことを指します。この文化は驚くほど長い歴史を持ち、多くの巨人が存在しています。ベルギーの中でも特に豊かな歴史を持つ伝統であり、今後も消えることはないでしょう。
この巨人たちの設定は柔軟で、歴史の中で消えた巨人が復活したり、新たに創作された巨人が登場したりします。また、ベルギー中の巨人が集まって観客の前を練り歩く「巨人大集合」というイベントも開かれ、多くの人々を楽しませています。