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目次
書籍情報
快眠法の前に
今さら聞けない
睡眠の超基本
柳沢正史
筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-ⅢS)機構長・教授。
株式会社S’UIMIN代表取締役。
医学博士。
24年間ハワードヒューズ医学研究所で研究室を主宰し、2010に内閣府によるプログラムの一環として筑波大学に研究室を解説。
朝日新聞出版
- はじめに
- 世界の中にあふれる睡眠の誤解
- 睡眠負債がその後の人生の明暗を分ける
- 睡眠研究の歴史
- 私の睡眠エピソード
- 会社員Aさんの場合
- chapter1 睡眠の不思議
- 睡眠とは
- 寝ている間に何が起きているのか
- 一晩で2つの睡眠段階を繰り返す
- ノンレム睡眠が記憶を強化する
- レム睡眠が記憶を整理し鮮明な夢をみせる
- 眠気は睡眠圧と体内時計がつくり出す
- 「質のよい睡眠」ってどういうこと?
- 実は危ない睡眠不足
- 昼間の眠気は世界標準では異常なkと
- 世界一の睡眠負債を抱える日本人
- 1日1時間の睡眠負債は完済に約4日かかる
- 睡眠時間は起業の利益率にも影響
- 睡眠不足は感情も左右する
- リズム障害は若者に多い
- 年齢を重ねると長時間眠れなくなる
- 自称ショートスリーパーはほぼ睡眠不足
- 睡眠時間・就寝時刻
- 睡眠では「質より量」を重視して
- 睡眠は貯金できない
- 人間は必要以上に長く眠れない
- 朝型・夜型は遺伝子で決まっている
- クロノタイプは年齢によって変わる
- 今の自分に最適な睡眠時間を知ろう
- 睡眠の効果
- 夢は毎晩必ず見ている
- よく眠った人のほうが効率がよい
- しっかり睡眠をとると記憶力が高まる
- 運動や楽器演奏も眠ったほうがうまくなる
- 睡眠で洞察力や創造性も高まる
- 睡眠の質が心身の健康を左右する
- 私の睡眠エピソード
- 会社員Bさんの場合
- 睡眠とは
- chapter2 睡眠不足がもたらす悪影響と睡眠障害
- これだけは知っておきたい睡眠不足の悪影響
- メンタル・メタボ・認知症・免疫力に影響
- 睡眠にまつわる病気
- 眠りたいのに眠れない「不眠症」
- 自覚しにくい「睡眠時無呼吸症候群」
- 眠気をコントロールできない「ナルコレプシー」
- 「レム睡眠行動障害」は神経疾患と深く関連
- 子どもに多い「夢遊病(睡眠時遊行症)」
- 脚の不快感で眠れない「むずむず脚症候群」
- 睡眠不足によるさまざまな悪影響
- 「寝る間を惜しんで」は寿命を削る
- 睡眠不足は免疫力を弱める
- 睡眠不足はダイエットの敵!
- 睡眠負債で認知症リスクも拡大
- 一夜漬けをしても記憶は定着しない
- 不規則な睡眠は健康・美容の大敵
- 睡眠中のよくある悩み
- いびきを指摘された要注意
- 歯ぎしりは睡眠の質に影響する
- 睡眠時の姿勢は人それぞれでいい
- 金縛りの正体はレム睡眠時の脱力
- 夜中に目が覚める原因は?
- 睡眠の悩みを解消するために
- 睡眠誤認を伴う不眠と客観的な不眠
- 睡眠薬にはどんな種類があるの?
- 「自分の睡眠を知る」がよい睡眠への第一歩
- 私の睡眠エピソード
- 高校生Cさんの場合
- これだけは知っておきたい睡眠不足の悪影響
- chapter3 動物とヒトの睡眠の謎
- 動物の睡眠
- 動物の「睡眠」はどう定義されるのか
- 睡眠は脳より先に存在した
- 野生動物はなぜ危険でも眠るのか
- 多相性睡眠と単相性睡眠
- 片目で目寝る半球睡眠
- 種によって必要な睡眠時間は大きく異なる
- 不思議な眠りかたをする動物
- 動物たちのいろいろな寝姿勢
- 冬眠・夏眠する動物たち
- ヒトの睡眠
- 人間の睡眠の歴史
- 赤ちゃんはどうして夜中に起きる?
- 「寝る子は育つ」には根拠がある
- 揺れと眠気の関係
- 眠らないとヒトはどうなるのか
- 人間も冬眠できる未来がくる?
- ハエはヒトと同じ睡眠遺伝子を持つ
- 眠気の正体がわかってきた
- 覚醒のカギ「オレキシン」
- 私の睡眠エピソード
- 専業主婦Dさんの場合
- 動物の睡眠
- chapter4 睡眠の質を高める
- よりよく眠りための準備
- 減点法で自分の睡眠を見直す
- 睡眠の質を上げるには
- 働く世代まではまず普段より30分早く眠る
- よく眠れる環境のつくり方
- 「暗くて静かで朝まで適温」が重要
- 日本住宅は明るすぎる
- 室温・湿度管理が睡眠の質を左右する
- 快眠のための寝具と服装
- 寝具選びが快眠につながる
- 自分の身体に合った枕を選ぶ
- マットレスにはほどよい硬さと弾力性
- 寝やすいパジャマの選び方
- 誰かと一緒に眠る
- パートナーとは布団を分ける
- 子どもやペットの安眠の邪魔しない
- 快眠を招く食べ方
- 午後6時以降はカフェインを摂らない
- 理想の夕食時間は就寝4時間前まで
- 空腹のときは眠れない?
- 快眠を招く入浴法
- 入浴は就寝1~2時間前までに済ませる
- 快眠を招く運動法
- 寝る前の運動はほどほどに
- 快眠を招く過ごし方
- 寝酒はやめ、飲酒は夕食まで
- 就寝前のスマホはNG?
- どうしても眠れないときは
- 寝室には眠くなってから行く
- 快眠を招く寝姿勢
- いびき対策には横向き寝が効く
- リスクのある寝姿勢を知っておく
- 快眠を招く習慣
- 寝る前のルーティンをつくる
- 快眠を妨げるもの
- 寝落ちは睡眠の質を悪くする
- 日中の行動で快眠を招く
- 仮眠(パワーナップ)は3か条を守る
- 私の睡眠エピソード
- 定年退職者Eさんの場合
- よりよく眠りための準備
- chapter5 睡眠にまつわる疑問
- 夜間頻尿は原因に対処する
- 夜中トイレに起きるのがストレス
- 朝起きたら胎内時計をリセットさせる
- 毎日の早起きがつらい
- モチベーションが高まる刺激がないと眠気が起きる
- 退屈な話はつい眠くなってしまう
- 眠気をしっかりとって免疫を働かせる
- 体調が悪いときの睡眠ポイントは?
- 鼻で呼吸していびきのリスクを避ける
- 口呼吸は避けるのがベスト
- 睡眠に関する疑問
- 目を閉じれば眠ったことになる?
- 夢の内容を知ることはできる?
- 寝つきがよすぎるのも問題って本当?
- 二度寝はしないほうがいい?
- 短時間で効率よく眠れる方法はある?
- 育児中の寝不足はどうやって補う?
- 私の睡眠エピソード
- 会社員Fさんの場合
- 夜間頻尿は原因に対処する
- 巻末付録 私の睡眠記入シート
書籍紹介
この本は、睡眠の基本から、睡眠負債をどう解消するか、そしてぐっすり眠るための環境作りまで、睡眠についての最新の科学的知見を提供します。睡眠が不足すると、私たちのパフォーマンスや精神状態にどれほどの影響を与えるか、その深刻さを理解することができます。睡眠不足によるメンタル疲労やパフォーマンス低下は、多くの人が直面する問題であり、この本ではそれらの具体的な対策や改善方法が詳しく解説されています。
睡眠の不思議
睡眠の不思議さについても深掘りされており、睡眠がなぜ重要なのか、そのメカニズムを科学的な観点から理解することができます。睡眠衛生の重要性や、日常生活の中でどう睡眠と付き合っていくべきか、といった実際的なアドバイスも満載です。
睡眠についての知識を豊富に持つ柳沢先生の経験と研究から得られた知識を背景に書かれています。睡眠を科学的に理解することで、ただ眠るだけでなく、最高の質の睡眠を手に入れるための具体的な方法が示されています。
睡眠を知ろう、寝よう
睡眠に悩むすべての人、もっと質の高い睡眠を求める人にとって必読の一冊となるでしょう。明日からでも実践できる睡眠のヒントが詰まっており、生活の質を向上させるための第一歩となることでしょう。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
睡眠負債は完済に4日かかる
国立精神・神経医療研究センターの研究により、普段から7時間半ほど眠っており、十分に眠れていると自覚がある学生に好きなだけ眠ってもらいました。初日の睡眠時間は約10時間半にも及び、その後4日間の睡眠時間も同様に長かったようです。8日目以降は約8時間25分に落ち着き、普段から約1時間ほど睡眠が足りていなかったことがわかりました。その睡眠不足を補うのに4日間ほどかかったと推定されます。
休日は平日より2時間以上多く寝ている人は、慢性的な睡眠不足の可能性があります。普段から十分な睡眠を確保し、休日も平日と同じ時間に寝起きすることが重要です。同じ時間に寝るためには、寝ている時間のちょうど真ん中の時刻、睡眠中央時刻を誤差1時間以内で調整しましょう。
仕事の時間が朝早く、遅く起きることができない場合もあります。その場合には、普段の寝る時間を30分ずつ早めて寝ていくことで、自分にとって必要な睡眠時間を知ることができるでしょう。
自分の睡眠を知る
まずは、健康や日々の仕事のパフォーマンスのためにも、自分の睡眠パターンを把握することから始めましょう。
就寝時間や起床時間、睡眠の質、そして日中の眠気や疲労感などを記録することで、自分の傾向や問題点が可視化されます。睡眠外来は非常に数が少ないので通いにくいですが、最近は自宅で睡眠の質を測る方法もあります。試してみましょう。
簡単なものでスマホのアプリがあり、少し本格的なものではInSomnografデバイスといった商品があります。寝つくまでの時間や、ノンレム睡眠の時間の少なさなどに気づけると、それに基づいた効果的な対策が立てられるでしょう。
オレキシン
1988年、当時アメリカのテキサス大学に在籍していた柳沢教授の研究チームが新しい脳内物質「オレキシン」を発見しました。当初は食欲に関連した物質だとされていましたが、オレキシンが欠乏したマウスで摂取量に変化が見られないことから、オレキシンと食欲とは直接関係がないのかもしれないと判明したのです。
その代わり、オレキシンを生成できないマウスは突然眠ってしまうことがわかりました。ヒトのナレコレプシーの症状でもオレキシン不足によって引き起こされていることが分かり、オレキシンが覚醒を促すことが明らかになってきました。
オレキシンに合う受容体を用意できれば、覚醒を維持できるようになります。逆に受容体をほかの物質で塞ぎオレキシンが作用しないようにすれば、睡眠に導くことができるのです。2014年にはオレキシン受容体への結合をブロックする新しいタイプの睡眠薬が誕生しています。
空腹のときは眠れない
空腹のときは、動物は食材調達をしなければならないため、本能的に覚醒します。お腹がすくと血糖値が低下し、神経細胞が刺激されて覚醒物質オレキシンが生成されるのです。
理想は、就寝の4時間前までに適切な量を食べることです。そのときに糖質や脂質が多いと入眠までに時間がかかります。食物繊維を多くとると寝つきが良くなると報告があるので、夕食は野菜を多めにして、よく噛んで食べると良いでしょう。