引き裂かれるアメリカ

※読んだ本の一部を紹介します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

はじめに

 ドナルド・トランプ氏の遊説を追いかけて回りました。

 中東やアフリカ国民を入国禁止にしたり、警官による黒人殺害に抗議するデモを軍隊で鎮圧しようとさえしたのです。

 2022年、未曽有のインフレなどの影響で、バイデン政権の支持率が低迷しています。共和党が多数を占める議会は、今後もバイデン政権が行う景気対策を全部ブロックしようとするでしょう。アメリカの経済が悪化すれば、2024年の大統領選挙で共和党が勝利する可能性があるからです。

 分断を深めたアメリカですが、国民の投票率は約66%という高さを誇っています。当たり前のように政治に関心がある限り、アメリカの民主主義は大丈夫だと思っているのです。

書籍情報

タイトル

引き裂かれるアメリカ

銃、中絶、選挙、政教分離、最高裁の暴走

編者 小倉碧(SBクリエイティブ)

発行者 小川淳

発行 SBクリエイティブ(株)

ブックデザイン (株)ローヤル企画

装丁 杉山健太郎

印刷・製本 大日本印刷(株)

協力 BS朝日、テレビ朝日、JCTV

企画 藤川克平(BS朝日)

著者

町山智浩

映画評論家、コラムニスト。

 カルフォルニア州に住み、週刊文春などのコラム連載記事を書いています。

BS朝日「町山智浩のアメリカの今を知るTV」制作チーム

出版

SB新書

大量虐殺兵器がその辺で売っている

UnsplashBexar Armsが撮影した写真

 バイデン大統領や民主党が求めている銃規制案に、アサルト・ライフルの購入制限があります。

 「突撃銃」など呼ばれ、戦争のために開発された銃になります。連射性が高く、大量の強力な弾丸を瞬時に発射できるのです。

 テキサスの小学校の銃乱射事件もそうですが、大量射殺事件にはAR型ライフルが使われています。

 なんでアサルト・ライフルが不通に売られているのか?鹿が大群で攻めてくるのか?

 バイデン大統領はこのように、訴えています。

 カリフォルニア州では厳しく規制されていて、グリップに三角の板が取り付けられ、うまく握れないしくみになっていたり、弾倉に5発以上の玉を込められないようになっているようです。

 テキサスを含め、その他の州では野放し状態が続いています。

 1994年に攻撃用銃器禁止法を実現させたのは、上院議員だったバイデンです。おかげで、しばらく銃乱射事件が減ったことがあります。2004年にブッシュ大統領が失効させてしまいました。

AIが招く社会の大分断

UnsplashDuoNguyenが撮影した写真

 インターネットにはデマや陰謀論が人気を集めるため、ネット上で使用されるAIはそれらのデマを自動的に拡大させます。

 トランプ支持者による連邦議会議事堂への乱入事件でのことです。乱入した暴徒たちは「大統領選挙で本当に勝ったのはトランプだ」と信じていました。

 アメリカでワクチン接種が広まらなかったのも、ネットで反ワクチンの陰謀論が広がったせいです。

 自分でも気がつかないうちに、AIが出すオススメ機能に自分の思想を作り変えられていく危険があるのです。

難民問題

Peggy und Marco Lachmann-AnkeによるPixabayからの画像

 難民申請をした大人は、全員GPSをつけます。自殺防止のために靴ひもは取られ、取り付けられたGPSは毎日充電する必要があるのです。

 難民が中米からアメリカにたどり着くまでにかかるお金は、1人あたり約30万~40万円と言われています。国境を超えるたびに難民ブローカーにお金を払い、バス代を支払わなければなりません。

 たいていの場合、妻と子どもだけ、子どもだけを先に行かせたりするようです。それほどまでに現金が足りません。子どもを人身売買される可能性もあるにです。

 トランプ氏は難民を「ギャング」と言っていましたが、ほとんどが純粋無垢な子どもや赤ちゃん、それを支援する母親や母親の代わりをしている女性になります。犯罪目的のギャングとは異なるのです。

 これは人道的な問題であり、政治的な問題に利用されてしまっています。彼らを追い返すよりも、国を捨てなければならなかった理由を考えて、その根本を解決しないと難民は減ることはありません。

 バイデン政権に変わり、難民問題はお金ばかりがかかるイメージがついています。トランプ政権下の難民受け入れ数は年間1万5000人でした。バイデン政権は年間6万2500人まで引き受けると発表します。その結果、17万2000人の難民が流れ込んでしまったのです。

 難民の状況を鑑みて、難民問題のもとを断つ政策を打ち出しています。4年間で40億ドル程度を投じる考えです。政治腐敗の排除、軍事独裁の改善、農業改革、自給自足の普及、電気回線などの生活インフラ普及、クレジットカードなどの金融インフラ流通など、具体的な支援をあげています。

 ビジネスをスタートアップしやすいように、中米3か国が経済的に自立できるようにすることで、難民問題を解決しようとしているのです。

 これは本当に遠い道のりになります。

問題の元は貧困

Foundry CoによるPixabayからの画像

 日本軍が真珠湾を奇襲した過去があります。日本人を祖先に持つものはすべて敵性移民として強制収容されたのです。およそ12万人が犠牲になりました。

 「日本人は何を考えているかわからない」1人が言い出すと、恐怖が伝染し差別が生まれたのです。世論も同調し、強制収容はアメリカの司法制度を無視して過激になりました。

 若い世代に、この事実を伝えていく必要があると思うのです。

 差別は貧困がある限り続きます。アメリカには十分な教育を受けていない低所得層がいて、彼らは生活の不満や怒りを常に他の少数派にぶつけるからです。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 現地取材での生の声は、かなり情報量があります。聞いたような話をコピペしたような文章ではないはずです。

 貧困がなくなり、反乱や争いが少なくなるには、壁を作ることなのでしょうか。

 生の状況を踏まえた上で時事の情報を読めば、内容が深まること間違いないと思います。

 ただ、本書には極端な伝え方をしている文章もあるので注意です。取り上げた例でいえばAIがわかりやすいでしょうか。もの凄い精度で批判的な内容が拡大するように書かれていますが、人間が作ったオススメ機能のアルゴリズムに、そこまでの能力はありません。あり得ません。

 事実を膨らませて伝えているのも本当ですが、生の声や状況があることも事実です。

 そういうこともあるだろう。と適当に飲み込むには、かなりオススメの書籍です。

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