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目次
書籍情報
加速経済ベトナム
日本企業が続々と躍進する最高のフロンティア
蕪木優典
I-GLOCALグループ代表
1999年にアーサーアンダーセンベトナムに出向し、ベトナムでのビジネスに携わる。
2000年にベトナム公認会計士を取得して、2003年にベトナム初の日経資本会計事務所を創設。
東洋経済新報社
- はじめに
- 堅実に加速するベトナム経済
- ベトナムとともに成長してきたIIGLO CALグループ
- 「情熱」に満ちたベトナム経済
- 【巻頭インタビュー】入山章栄 早稲田大学ビジネススクール教授に聞く
- 中間層の拡大と国民性が成長エンジンに
- 「リープ・フロッグ現象」による 急成長
- 先進国入りに向けてIT産業とスタートアップが急伸
- 第1章 加速するベトナムの経済とビジネス
- コロナ禍を経て活気と勢いが復調
- ライドシェアアプリ「Crab」の台
- 新興国ならではの「リープ・フロッグ現象」
- 2050年には日本経済 と同レベルに!?
- ベトナムが急伸した背景
- 第1~第3次投資ブームの変遷
- FDIを取り込む巧みな外交戦略
- FDIを下支えする日本
- 3000~4000社の日系企業が活躍中
- 中間層の拡大による市場性の成長
- 「中所得国の罠」をいかに回避するか
- ベトナムが誇る豊富で優秀な労働力
- 多くの人を惹きつける魅力的な住環境
- 地政学的リスクの少なさにも注目
- ベトナム進出時の注意点
- <付録> ベトナムのことを5分で大摑み!!
- 第2章 中間層とともに急拡大するアミューズメント・レジャー市場
- ベトナム人の心を掴む日本のアニメやゲーム
- 中間層の拡大とともに観光
- 産業も順調に成長
- アニメキャラクターを通して子どもたちに笑顔を届ける_TAGGER(タガー)
- ベトナムにおける『ドラえもん』ブームの火付け役
- 空港で見た子どもたちの笑顔に惹かれて
- テレビCMや映画で『ドラえもん』の魅力を届ける
- ぬいぐるみやグッズのクオリティアップに尽力
- 『ドラえもん』がベトナム史上もっともヒットしたアニメ映画に
- 自身の生い立ちや家庭がビジネスの原動力に
- ベトナムの地域性に寄り添ったアミューズメント施設を展開_Dream Games (ドリームゲームズ)
- イオンモールなどとともに店舗を拡大
- ベトナムにおけるアミューズメント市場の可能性
- 「ジャパン・クオリティ」が成功のカギ
- 「ジャパン・ク オリティ」を超えるさらなる差別化が必要
- コロナ禍を乗り越えて未来を 見据える
- 社運を賭けた投資で日系ならではのリゾート開発を展開_ホテル三日月グループ
- ベトナムを代表するリゾート地、ダナン市に進出
- 創業者の直感とダナン 市のポテンシャルを信じて
- 初の海外進出にあたってスピード感を重視
- 創業者の逝去を乗り越えてM&Aを断行
- 従来の5つ星ホテルの概念をくつがえす施設
- 最大の障壁として立ちはだかったコロナ禍
- 金融機関の支援と施設売却で窮地から脱却
- コロナ禍のロックダウンにより建築工事ストップの危機
- コロナ禍の収束とともに来場者数が急増
- 日越外交関係樹立50周年事業として歩道橋を寄贈
- 第3章 グルメ大国の人々を魅了する日系の飲食店と食品
- 世界中の人たちを魅了するベトナムの食文化
- 即席麺市場でナンバーワンのシェアを誇る「Hao Hao」
- 2度目の進出で成功をおさめた亀田製菓
- ハイレベルな日本食レストラン
- ビザで世界に幸せと笑顔、そして平和を届ける_4P’s Holdings (フォービーズホールディングス)
- 「日本食」ではなく、ピザで外食産業に挑戦
- フレッシュチーズを自前でつくる
- 食材へのこだわりがストーリーに
- 店舗のひとつひとつにもストーリーを込める
- コロナ禍を機にデリバリーや冷凍食品にも注力
- 日本やインドでの新たな店舗展開
- ジュエリーメーカーが安心・安全な水産物の養殖にチャレンジ_エステールホールディングス
- 製販一貫を強みとするジュエリーメーカー
- ニャチャン市近郊のダムモン村に産業をつくる
- ものづくり精神の浸透と新規事業の創出を目指して
- デザインの現地化などを進めて多店舗展開を実現
- ベトナムの食卓に安心・ 安全な水産物を届ける
- ドライバーたちを独自にネットワークして物流網 を構築
- 地域との強固なパートナーシップが強みに
- 第4章 超加速するDXを下支えする日系IT企業の活躍
- 利便性バツグンのスマホアプリが普及
- フィンテックを牽引する決済アプ リ「MoMo」
- 日本資本が入った中堅銀行もフィンテックに注力
- 「まずははじめてみる」というスタンスがDXにマッチ
- ベトナムの食材流通システムにイノベーションを起こす_KAMEREO INTERNATIONAL (カメレオインターナショナル)
- 飲食店に良質で安心・安全な食材を届ける
- 飲食店経営の夢の先に見えてきたベトナムビジネス
- ジャストインタイム方式の盤石なコールドチェー ンを構築
- 日々の改善の積み重ねと食材へのこだわり
- ソフトとハードの 両面の整備が圧倒的な強みに
- BtoCや海外展開の可能性を模索
- 中高級の飲食店に特化したフードデリバリーサービスで飲食店DXを推進_Capichi(キャビチー)
- Grab と差別化をはかりながら奮闘中
- オフショア開発に携わった経験を生かして起業
- 泥臭い営業スタイルでビジネスチャンスを掴む
- コロナ禍のピンチをチャンスに転換
- アフターコロナを見据えたサービス開発
- Capichiの海外展開とブラッシュアップ
- 「距離を感じさせないコミュニケーション」で日系企業のITを支える_VIETRY(ベトライ)
- ベトナム人のIT人材を最大限に活用する
- ベトナムのIT人材の現状と 付き合い方
- ベトナムの採用市場を見据えた動きも検討中
- 「DX×コンプライアンス」というテーマで企業が抱える課題に向き合う_VINA PAYROLL OUTSOURCING (ビナペイロールアウトソーシング)
- 人事労務系SaaS「terra」を軸にしたサービスを展開
- 第5章 復調した不動産業界で課題解決型のビジネスを展開
- まだまだ成長の余地があるベトナムの不動産ビジネス
- 不動産ビジネスに 関する規制などをチェック
- アフターコロナで盛り上がる不動産開発
- アフターコロナの需要を想定してサービスオフィスを開設
- 不動産価格の高 騰にいかに向き合うか
- 不動産に関する規制維持や緩和の動向をチェック
- 「住環境の改善」を目指したカフェで若者たちの心を掴む_Chidori Hospitality (チドリホスピタリティ)
- 若者たちの住環境を目にしたときの衝撃が原動力に
- 若者たちを惹きつけ る仕掛けが満載のカフェ
- マルチブランドの展開を構想
- 先進国である日本で暮らしてきた経験を生かす
- 「日本」×「新しさ」でビンズン新都市を世界屈指のスマートシティに_東急
- 東急のノウハウを生かしてゼロからまちをつくる
- 美しく機能的な住宅が 立ち並ぶ「TOKYU Garden City」
- 多彩な施設とイベントで「Always NEW!」 を実践
- バス路線がホーチミン市とつながることで新たな可能性が広がる
- 日本での経験を生かしたまちづくりを進める
- 第6章 拡大するインフラや電力需要に先進技術で応える
- 都市鉄道が徐々に開業
- 脱炭素の潮流のなかで求められる新たな電源
- DAの再活性化の動きにも注目
- 脱炭素と未利用資源の活用、雇用拡大を目指してバイオマス発電を推進_イーレックス
- バイオマス発電を軸に多様なビジネスを展開
- バイオマス発電の利点を最大限に生かせる地域性
- JCMにもとづいて3基のバイオマス発電所を建設・稼働
- 石炭火力発電所のトランジションが秘めた可能性
- 大規模な国家プロジェクトゆえの困難
- 長期的な視点でベトナム投資を継続
- 【巻末座談会】
- 「ダナン三日月」の進出プロジェクトを振り返りながら
- 「遅々としながらも着実に前進するベトナム」を語る 33
- 進出企業の増加とともに金融機関の役割も拡大
- 苦難を乗り越えた末のダ ナン三日月の快進撃
- ベトナムは「人」を成長させる
- 〝潮目〟の見極めが ベトナムビジネスのカギ
- 着実な前進にマッチしたビジネスを創出
- おわりに
書籍紹介
ベトナムの急速な経済発展を詳細に描写しています。この書籍は、ベトナムがどのようにして近年国際的な注目を集める経済大国へと成長したのか、その背景と未来への展望を探るものです。
ベトナム公認会計となった著者
著者の蕪木優典氏は、ベトナムの現地に足を運び、さまざまな企業や政府関係者と対話することで、生きた情報を収集しています。特に、この本では経済の加速化を象徴する要因として、製造業の発展、インフラ整備、教育改革、そして外国からの投資の増加に焦点を当てています。読者はベトナムの経済政策がどのように機能し、国全体の繁栄に寄与しているのかを理解することができます。
ベトナム文化
単に経済統計や政策だけではなく、ベトナムの文化や社会の変化も描いており、これが経済成長とどう結びついているのかを考察しています。例えば、若い労働力の豊富さや、起業家の精神がどのように新しいビジネスチャンスを生んでいるかを具体的な事例と共に紹介しています。
ベトナムと技術革新
続可能な発展に向けた課題や、技術革新、さらにはASEAN地域内でのベトナムの役割など、多角的にベトナムの未来を予測しつつ、投資家やビジネスパーソンにとっての機会とリスクについても言及しています。
ビジネスマン、経済学者、あるいは単にこの国のアジアにおける新しい位置付けを知りたい人々にとって非常に有益です。蕪木優典氏の視点と分析は、ベトナムの経済動向を理解するための重要な指針となります。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
地政学的リスクの少なさにも注目
ベトナムは中国だけでなく、他のASEAN諸国と比べても地政学的に安定しています。フィリピンのように政治情勢が揺らぐこともありません。共産党の一党独裁政権でありながらも、国民感情のガス抜きがうまく、中国のようにSNSをむやみに規制するようなこともしません。
カントリーリスクに不安は残るものの、他国との協調を重んじていて、何より日越関係が良好です。日本政府ならびに日本人が適切な対応をすることが大前提になりますが、多くのベトナム人が日本で暮らしていることは、日越関係において大きな礎になっていきます。
2度目の進出で成功をおさめた亀田製菓
※イメージ
菓子分野では亀田製菓が奮闘中です。ベトナム人向けの「ICHI」というライスクラッカーが定番商品となっています。
亀田製菓は1996年に4社合弁でベトナムに進出したものの、その2年後に撤退しました。その後、2011年にティエン・ハ・コーポレーションのグループ企業の米菓会社から合弁事業の誘いを受け、2013年にTHIEN HA KAMEDAを設立し、ICHIという蜂蜜ライスの揚げ菓子が誕生しました。
食感をやわらかくしたり、揚げる技術を活かしたりと、現地にあったお菓子作りを亀田製菓が担いました。一方で、ティエン・ハ・コーポレーションが「販売」の役割を担うことで、販売網を拡張できた形となりました。
都市鉄道が徐々に開業
ベトナムの街中を歩くと、慣れない人はバイクの数に驚愕し、道路を渡るだけでも緊張してしまうかもしれません。混雑具合は尋常なものではありません。
この状況もあり、長年にわたって注目されているのが都市鉄道の整備です。2012年からODAを活用し、大手ゼネコンとローカル企業による合弁会社が工事を進めています。
観光地として有名なベンタイン市場と、テーマパークがあることで知られるスイティエン公園を結び、中央区とタオディエン高級住宅街を通過します。
かなり地元民と観光客にとって待望のインフラ開発ではありますが、膨らみ続ける事業費や未払い問題、安全性の検証などにより、工事が遅れに遅れています。