書籍「基礎から学ぶ商法」

※サイト管理人が興味をもった部分を紹介します。

はじめに

 「世の中から商法嫌いを少しでも減らしたい」という思いで記述しました。いかに商法に興味を持ってまらえるかに配慮しています。

書籍情報

タイトル

基礎から学ぶ商法

著者

小柿徳武

原弘明

伊藤吉洋

島田志帆

出版

有斐閣

何をすれば商人か

大学生のAがひと儲けしようとして、1回だけ、古本屋に埋もれていた価値の高い本を安く買い、ネットオークションで高く売った場合、この行為は商行為だろうか?

 Aの行為は典型的な投機購買行為であり、絶対的商行為に該当します。

 商法では、商人を「自己の名をもって商行為をすることを業とする者」としています。

 「自己の名をもって」とは、そのものに法律上の権利義務が帰属することです。

 「業とする」とは、営利の意思をもって同種の行為を反復継続することです。営利の意思とは儲けようとすることで、実際に利益が上がる必要はありません。

 反復継続を行っていないのでAは商人にはならないのです。

目的物の供託・競売

商人Bは普段と同じように、売買契約の目的物を商人Aに持参しました。ところがAは、倉庫スペースに余裕がないので、今は受け取れないというのです。Bは、目的物は人気商品なので、他の買い手を探したいと考えています。

 民法の売買契約のおいて、買主が目的物の受領を拒んだ場合には、買主は受領遅滞に陥ります。目的物が特定物の場合には、売主の注意義務が軽減されるのです。また、履行の費用が増加した場合には、買主負担となります。
 しかし、売主は売買契約を解除しない限り、目的物を他に売るなどの処分をすることはできません。

 これでは売主の保護に欠けてしまいます。

 そこで商人間の売買では、買主が目的物の受領を拒むか受領できない場合、売主は目的物を供託するか、相当の期間を定めて催告後、競売に付することができます。
 また、低格のおそれがある物は、催告なしで競売ができるのです。競売の代価は供託する必要があるが、売主は代金に充当することができます。

運送営業

 商法は、運送の営業に関する規定を、物品運送・旅客運送に分けて定めています。

  • 陸上運送ー商行為法(運送営業)で規律
  • 海上運送ー海商編で規律
  • 航空運送ー国際条約で規律
  • 物品運送営業
  • 旅客運送営業

 物品運送契約は、運送人が荷送人から物品を受け取り、運送して荷受人に引き渡すことを約し、荷送人が運送賃を支払うことを約する契約です。

 旅客運送では、事故によって著客が生命・身体に損害を被るおそれがあります。運送人は旅客に対し、損害賠償責任を負うのです。物品運送と同じく、無過失を立証した場合は免責されます。

倉庫営業

 一方当事者が他方当事者に物を預かってもらう契約を、寄託契約と呼びます。

 民法の寄託契約は、有償で行うことも無償で行うこともできます。

 商法では寄託を引き受ける営業について規定するのです。帰宅の引き受けは営業的商行為に該当し、これを専門とする営業を倉庫営業と呼びます。

 倉庫営業者は、寄託者の請求により、寄託物の倉荷証券を交付しなければなりません。その証券は、寄託物を返還してもらう権利を表章しています。

 もし、預けているものを他者に引き渡す場合には、倉荷証券を譲渡すればよいのです。

感想

サイト管理人

サイト管理人

社会学部や経営学部の学生に興味を持ってもらいたいと執筆された書籍なだけあって、ありふれたケースに場合分けした例をもとに、商法を解説されています。

個人で株を売買する分には、あまり必要のない知識かもしれませんが、株式の仕組みについても説明がされています。

民法、商法を知っておくことで、商売のやり方を工夫出来たり、騙されなかったりすると思います。

簡単な本ではありませんが、辞書代わりに使ったり、興味をもった分野を読んでみるのもよいかもしれません。

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