※サイト管理人が興味をもった部分を紹介します。
はじめに
再生支援のプロセスや、再生の着眼点、計画の策定などを紹介します。
目次
書籍情報
タイトル
中小・小規模企業の再生事例集
著者
一般社団法人 大阪府中小企業診断協会
出版
銀行研修社
デイサービス・福祉事業
再生の着眼点
- 「訪問看護」を可能にし、介護度が高い利用者へ対応することで、顧客単価工場を図る。
- 介護、障害、医療の収益の柱を立てる。
- 「地域包括ケアシステム」の理念に沿った事業づくりでブランド化する。
介護・福祉事業は労働集約型産業であり、仕入れや人件費以外の経費は少なくこれらの削減は難しいのです。新たに訪問看護事業を行うことで、企業の再生を図るということになります。
策定ポイント
資金不足については、独立行政法人福祉医療機構の「福祉貸付における新型コロナウイルス対応支援金」の対象であったことから、新規事業のための借り入れを行うことができます。
既存の施設・人財を有効活用することによって設備投資を最小限に押せえることがポイントです。
既存の事務スペースを訪問看護に改装し、従業員を通所介護事務所の既存看護師2名を訪問看護ステーションに移動させ、人件費の増加を抑えます。
常勤者2名、パート1名雇用で9百万円を見込み、夜間雇用の人件費に3.6百万円を見込みます。
コロナ禍で赤字になったが、今期黒字化を目指して、計画2期(再来年)には純資産を造り出す予定です。
進捗
訪問看護が計画より下振れ、人件費がやや過剰となっています。営業利益が少しでていません。
しかし、訪問看護、通所介護の利用者は増えてきて、利用者の介護度も上がっています。今期の着地は目標数値を達成できるでしょう。
単月でみれば黒字の月も出てきており、事業は順調です。
新規事業で返済負担も増えます。報酬改定や業界動向に十分な注意を払っていかなければなりません。
工場用プラスチック製品加工業
再生の着眼点
- 「忙しくても儲からない」状態から脱極するため、売上高重視から収益性重視の経営に転換する
- 原価をみえるようにして、生産性を改善する。
- 地元の信用金庫と連携して早期に正常化して成長軌道に戻す。
- 長期視点の経営目標と、健全な財務状況をつくる計画を設定する。
策定ポイント
外部支払いを削減し、原材料の値下げ交渉を行い、外注加工品を社内生産に切り替える計画をしました。
借入金の借り換えを行い、収益性を高め、キャッシュフローを当初の250倍以上から10倍以下まで低減する目標を立てたのです。
新規顧客開拓の手段として、地域の商談会や点字かいの活用、ホームページの作り直しなどを計画に織り込みました。
進捗
1年目に黒字化し、2期目には当初の計画より早く債務超過から脱することができました。コロナ禍でも赤字を避けることができ、財政も健全なものになっています。
今後の課題はアフターコロナに向けた準備を経費を押さえながら進めていくことです。商談会やホームページの改訂も、中止や遅れが出ているので、先を見据えた活動が必要になります。
感想
サイト管理人
常勤の看護師さん2名が確保できるのが凄いです。3名合わせて9百万という報酬は、行っている事業を考えると低すぎる気も致します。夜勤者に3.6百万ということは月30万、日勤の1.2倍しか貰っていないというのは微妙です。
現場を経験している身からすると、看護師の多い職場で介護士として働くのはキツイと思います。現場での経験がある人が人事にいないと、プチ医者のようなヤバイ職員を雇ってしまうことになります。
現場ベースでも考えていかなければ壊れてしまう事業なので、踏ん張ってほしいとは思います。そして、もっと支援金がないと高齢者をカバーできないなとも思いました。
「ストローを木製に変えるなど、環境に配慮しました」には、どう環境によろしいのでしょう?と毎回ショッピングモールにいくたびに思わなければなりません。ポリカや塩化ビニルが燃やされても、そこまで環境に悪影響を及ぼすことは少ないと思います。場合によっては、木製のストローを作成する時点でプラスチックのストローを使うより、環境に悪いのではないでしょうか。
余計なものを造ってしまったり廃棄したりするのは問題ですが、プラスチックアレルギーにならずに素直に便利なものを消費したらよいとも思います。プラスチック事業は衰退するに惜しい事業です。
この書籍には、実際の赤字額や黒字計画の金額が載っています。コロナで凄い赤字を出しているのが数字でわかるのです。社会負担の重さを実感させられる1冊だと思います。
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