※ニートが興味をもった部分を紹介します。
はじめに
金融緩和の政策は、実体経済からかけ離れた虚構です。マネー第一でやってきたが、一部の人たちの金融所得を肥大化させただけではありませんか。
金融バブルが崩壊しようと、インフレが到来しようと、人々の生活はなくなりません。実体経済をベースとした、落ち着いた社会に戻っていくのです。
それを、われわれ長期投資家は望みます。
目次
書籍情報
タイトル
インフレ不可避の世界
今すぐ大事な資産を守りなさい
著者
澤上篤人
さわかみホールディングス代表取締役、さわかみ投信創業者。
販売会社を介さない直販にこだわり、長期投資の志を共にできる顧客を対象に、長期補油型の投資ファンドを1999年に設定しました。同社の投信はこの1本のみで、純資産は約3300億円、顧客数は11万7000人を超え、日本における長期投資のパイオニアとして熱い指示を集めています。
出版
明日香出版
コストプッシュ・インフレ
日本だけでなく、世界的に物価上昇の波が押し寄せてきています。
国民の需要など、お構いなしで上がっていきます。
エネルギーをはじめ物価沸騰に対して、消費者の購買力が追いついていないのです。
企業も急激な原料コスト増加で、従業員への賃金を引き上げる余裕はありません。
世界で行われてきた金融緩和は異常です。市中に投入されてきた資金供給の量は、半端ではありません。これらの資金はコロナで苦しむ人の経済活動を支えてもいます。
しかし、それだけではなく、株式や債券などの金融マーケットや不動産市場にも大量のマネーが流れていきます。そして、カネ余りバブル現象を引き起こしているのです。
コツコツと、世界中のあちこちでインフレの足音が聞こえだしてきました。
金融緩和バブル崩壊?
GAFAMをはじめとした米企業の成長は凄まじいのです。1987年末から約20倍の価値に上昇しています。米国株の独り勝ちです。この米国株上位5銘柄だけで、米株式の時価総額の23.9%を占めています。
現在の金融緩和バブルでは、中央銀行が胴元になっており、これほど安心買いできる上昇相場なんてそうそうにないでしょう。
しかし、歴史が語るところですが、いつのバブルも必ず崩壊を迎えるのです。マーケットが大暴落せずに軟着陸するなんてことは、あり得ません。
米国をはじめ、世界の株式市場はインフレよりも、利上げに強く反応しています。ですが、この反応が一時的なものではなくなると、株式市場は本格的に崩れていくでしょう。
世界的な金融緩和
米国、EU、日本は過去に例をみない大胆な金融緩和をしてきました。
当初はリーマン・ショックに対処するためのものだったはずです。ですが、その後も想定外の危機が続いたため、ずっと金融政策を行ってきたのです。
果たしてその成果はあったのでしょうか?
欧米、日本とも、期待したほどには経済成長率は高まっていません。貧富の差が激しくなり、低所得者はさらに低所得になっているのです。
この成果のでていない政策を、日本は30年間ずっと進めてきています。
日本の政策は超低金利政策と大量の資金供給、銀行や企業が破産を回避できるように協力してきた結果は、ゾンビ企業を大量に生産することになりました。
金融機関や企業内内部に、とんでもないモラルハザードを許しているのです。
国の財政運営が、ゾンビ企業を救う余裕はないように思います。大量の失業者が発生するのは、覚悟しておきましょう。
アクティブ運用はパッシブ運用に勝てない?
学者が過去の統計データをみて、パッシブ運用に軍配を上げています。
運用の現場で50年あまり生き残ってきた著者からすると、笑止千万です。パッシブ運用では平均株価を追いかけるだけだから、中身についてはダメ企業も混じっています。
著者は、アクティブ運用で成績を残してきました。
年金改革をせよ
年金は税ベースに一本化しようと主張します。
現行の消費税を「年金税」に切り替えて、年金給付にあてるのです。
年金積立などの制度を全て廃止し、年金がらみの人件費を削減しましょう。
そして、日本在住のすべての国民は65歳から自動的に月20万ほどの定額年金を受け取れれば、老後生活の最低ラインは充分に補償できます。
徹底すれば、国民すべてが不公平なく、安心して老後を迎えられるといったものです。
バブル崩壊とインフレ襲来、どう乗り切る
金融バブル崩壊は、時間の問題です。打てる手は打っておきましょう。
対策
●ほとんどの金融商品は一刻も早く売っておく
●残しておいていい株式は、長期投資家がいつも狙いを定めている企業群
●みんなが売り急ぐ株価をバーゲンハンティングする(本来の価値より安く買える)
●自分の好きなことに、お金を使うことを覚える
●お金をまわす意識を、養う
ヨーロッパ各国の人がお金を使うことを意識して、お金を使うようになったお話です。
同じ国にいて、困っている人を助けようと考える人たちが、お金を落とすようになりました。そういった意識の中では自然発生的に教会への寄付が増えていき、毎日の炊き出し代になったのです。
経済や社会を守り発展させていくためにも、お金を出せる人がどんどんお金を出していきましょう。
感想
さわかみファンド、実際の成績をみてしまうと、いってることが違うような気がしてきます。(※成績が悪いとは言っていません)
割合の数字ばかりで、腑に落ちないところは本書にはあります。
米株が暴落するようなイメージを与える根拠も、もう少し欲しかったです。反対派論を楽しみにしていました…
長期投資、アクティブ投資という選択肢があるということと、年金額の一律化の考えが面白かったです。
日本でファンドを設定される方が、どんなことを考えているのかをのぞける一冊です。こういう考え方もあるのかと、違う思想に触れてみるのもいいかもしれません。
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