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目次
書籍情報
歩く人はボケない
町医者30年の結論
長尾和宏
医学博士。
1995年にクリニックを開業。
外来診療と在宅医療を両立させ、40年間の医者生活で2500人の最期を看取る。
2023年定年退職した。
PHP研究所
- はじめに 歩くだけで、認知症は予防できる
- 第1章 ゴルフ場にはなぜ元気な高齢者が多いのか?
- ゴルフ場で見た不思議な光景
- 歩くから元気なのか、元気だから歩くのか
- 30代の4人組から学んだこと
- 「コロナに一度もかからなかった」高齢者たち
- 第2章 歩かない人ほど、フレイルや病気になる
- 自覚がないまま、筋力が低下してフレイルに
- フレイルになって寝たきりに
- 歩かない人は、認知機能も免疫力も低下しやすい
- 自分では、ヨボヨボしていることに気づきにくい
- 「フレイル」が中年期から始まる人も
- 生活習慣病もがんも認知症も根っこは同じ
- 医療の基本は、栄養と歩行だけでいい
- 認知症の薬は効くのか?
- 認知症に効く薬、サプリメント
- 歩かない人は、便秘になりやすい
- パーキンソン病には運動療法が必須
- 第3章 認知症になる理由
- 認知機能の低下は誰にでも起こる
- 認知症は、いまや国家的課題
- なぜ認知症になるのか
- アミロイドβという脳のゴミが溜まってしまう
- 認知症の初期は気づきにくい、言い出しにくい
- 認知症は遺伝する?
- 56歳未満で発症する若年性認知症も
- 認知症は一部の認知機能が急激に低下する
- 認知症はストレスや肥満とも関係が深い
- コロナ自粛で、50、60代で認知機能が低下する人が増えた
- 定年後にやることがないと、認知症リスクが高まる
- 第4章 歩くことと肥満、美容
- お腹が空いたらコンビニに行く食生活でリスクが高まる
- 日本人は、肥満に慣れていない
- 太陽光を浴びないと、美容上も逆効果
- 太陽光に慣れていないと、まぶしく感じる
- 第5章 歩くと、自然免疫が高まる
- 「獲得免疫」と「自然免疫」がある
- 外を歩くと自然免疫が高まる
- 人間はウイルスの塊
- ワクチンよりも自然免疫
- ビタミンDを機能させるためにも、太陽の光を浴びよう
- 歩くことでがんが改善した!
- 第6章 歩行と脳は、関係している
- 筋肉は脳にメッセージを送っている
- 歩行習慣で知力が向上する
- 神経細胞は増やせることがわかってきた
- 海馬の大きさと認知機能はあまり関係がない
- 海馬が萎縮しても認知機能は改善できる
- 睡眠中に脳内のゴミが掃除される
- 睡眠薬を常用すると、認知症リスクが高まる
- 自然な眠りのために、歩行が重要
- 太陽の光を浴びて、体内時計を整える
- 第7章 歩くだけで、認知症予防になる
- 2500人を看取って気がついたこと
- 中高年以降のランニングは危険
- 過度な運動は命を縮める
- 適度な負荷がかかる運動にとどめる
- 歩行を「移動」と考えてみるといい
- 歩数や時間は気にしなくていい
- 3分でも1分でもいい「ちょこまか歩き」のすすめ
- 歩行は、習慣化が大切
- 歩行は、全身の筋肉トレーニングになる
- 1日1万歩歩かなくてもいい
- 自分が気持ちいいと思うスピードで歩けばいい
- 胸を張って歩くと、歩く効果が高まる
- 手を大きく振れば、歩幅は広くなる
- 座っている時間を減らすだけでもいい
- 第8章 歩くことを楽しむ
- 歩くことを苦行だと思っている人に
- 歌いながらリズムに乗って歩くと楽しく歩ける
- 千日回峰行を行なうと、幸福感に包まれる
- 歩くとなぜアイデアが浮かぶのか?
- 「ながら歩き」のすすめ
- 第9章 食事がダメだと歩いたことが無駄になる
- タンパク質を摂ることが大切
- 炭水化物過剰は多くの病気の原因
- 1日3食白米だと、認知症リスクが高まる
- 24時間食事を我慢すると、食欲がなくなる
- 便秘で処方される酸化マグネシウムのリスク
- 欧米食を控えて、腸内環境を整える
- 認知症予防のためには野菜も重要
- シリカ水という選択
- 松果体の働きを良好に保つために
- サプリよりも食品で体を整える
- おわりに
書籍紹介
本書では、日常の「歩く」行為が、単なる運動を超えて、脳の健康や心のバランスにどれほど大きな影響を与えるかを、わかりやすく解説しています。
医師として長年地域医療に携わり、多くの高齢者の健康問題に向き合ってきた経験を持つ方です。その豊富な知識と実践的な視点から、歩くことの効果を科学的に、かつ身近な事例を交えて伝えています。たとえば、毎日少しずつ歩く習慣が、認知症のリスクを下げるだけでなく、気分をリフレッシュさせたり、睡眠の質を向上させたりする効果があると述べています。難しい専門用語は控えめで、誰でも読みやすい文体が特徴です。
健康を維持したい方、特に認知症予防に関心がある方に、この本はおすすめします。歩くことの大切さを再発見し、日常生活に取り入れるきっかけになる一冊です。長尾さんの温かみのある語り口と、科学的根拠に基づいたアドバイスが、読む人を前向きな一歩へと導いてくれるでしょう。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
なぜ認知症になるのか

認知症は「脳の糖尿病」と言われています。脳におけるブドウ糖の利用効率が悪くなった状態です。
細胞の中にブドウ糖が入るためには、「細胞の中にブドウ糖を取り込め」というメッセージを出すインスリンというホルモンが必要です。しかし、インスリンがうまく働かない状態が認知症となっています。
認知症の人の特徴は、「空腹をがまんできない」ことです。脳細胞が少しでもブドウ糖切れになると、ブドウ糖を欲しがります。夕食前にパンなど間食してしまったり、朝食まで我慢できずに夜食におにぎりを食べてしまうといった、炭水化物など常に食べてしまうのです。
糖尿病は認知症になる最大のリスク要因です。糖尿病予防は認知症予防と同じと言えます。
太陽光を浴びないと、美容場も逆効果

太陽の光を浴びると紫外線でシミや皮膚がんになるリスクがあると言われています。ある程度は事実ですが、日光浴で皮膚がんになった人を今まで見たことがありません。
日光浴をしない健康リスクのほうが高く、ビタミンDが不足します。ビタミンDは、カルシウムの吸収や免疫細胞の働きに作用し、不足すると著しくQOLを下げる病気にかかるリスク高くなるのです。
また、太陽光は脳内の「幸せホルモン」であるセロトニンの分泌を増やします。セロトニンを分泌している人は、多少のシミやシワがあったとしても、生き生きとしていて、若々しい印象をあたえます。
もちろん紫外線の強い季節には適度な紫外線対策は必要ですが、美容のためには外に出たほうがよいでしょう。
自分が気持ちいいと思うスピードで歩けばいい

早歩きを進められることがありますが、歩くスピードはあまり気にする必要がありません。気持ちいいと思うスピードで歩こうとすれば、自然にある程度のスピードになっているはずです。なぜなら、人間にとって遅く歩くことはけっこう難しいからです。
心拍数が上がりすぎるほど一生懸命になる必要はありません。140を超えると不整脈などの可能性が高まります。疲れてきたら、ペースを落とすか、休みを入れて、辛くなったらやめましょう。