遊行期/著者:五木寛之

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書籍情報

タイトル

遊行期

オレたちはどうボケるか

発刊 2025年1月30日

ISBN 978-4-02-295284-4

総ページ数 220p

書評サイト AERAdot.

出版社リンク 朝日新聞出版

著者

五木寛之

作家。
日本藝術院会員。

出版

朝日新聞出版

もくじ

  • 第1章 ボケはやってくる
    • ボケをとらえる大前提
    • 人として必ず歩いていく道
    • ボケは「意識のフォーカス」
    • 「アンチ・ボケ」の流行
    • 「ボケかた上手」を目指す
  • 第2章 よりよくボケる
    • よりよいボケを求めて
    • 親鸞に学ぶ「老い」のヒント
    • 哲学的にボケを考える
    • ボケ道
    • よりよいボケかたとは何か
    • いろんな「よりよくボケる技法」がある
    • 「軽さ」を保ったボケかたが理想
  • 第3章 ボケを遅らせる養生
    • 聴力が大事
    • 耳「会食」のすすめ
    • 視力が大事
    • 食べるときは咀嚼力が大事
    • 歩行力が大事
    • ボケの進行を遅らせる「養生」
    • ボケとリベラルアーツ
    • 精神と肉体の微妙な絡み合い
    • おもしろがって養生する
  • 第4章 知的活動を続ける
    • 「物忘れ」との向き合い方
    • 生の記憶と装飾の記憶
    • 「歴史的健忘症」を憂う
    • 記憶の不思議
    • ボケと回想
    • 「便利」がボケを早める
    • 生成AIに『長編小説』は書けるか?
    • 男と女、早くボケるのは?
    • 仕事は続けた方がいい
    • 知的活動を維持するには?
    • 親鸞、老いの情熱
    • 知的活動とはつまり「語り」である
    • 歌は生きる力
  • 第5章 「刺激」を求める
    • 好奇心を抑圧しない
    • 意識的に「変化」する
    • リカレントよりもアンラーン
    • 変化と性格
    • ボケに対する「免疫力」を高める
    • 「転」が大事
    • 「雑」が大事
    • 越境者でありたい
  • 第6章 こころを自由にする
    • 病院が嫌いな理由
    • 「信仰」という支え
    • 「自由人」はボケにくい
    • マージャンとボケ
    • 作家とボケ
    • ボケの不安から自由になる
    • 加えてボケのリベラルアーツ
  • あとがき

書籍紹介

 この作品は、人生の旅路をテーマに、深い思索と温かな眼差しが織り交ぜられたエッセイ集となっています。五木さんらしい鋭い観察力と柔らかな文体で、日常の中にある小さな気づきや、過ぎゆく時間の中で感じる喜びと哀しみが丁寧に綴られています。

自由な旅

 遊行という言葉が示すように、定住せず、常に新たな地を求め歩き続ける姿が描かれていますが、それは物理的な移動だけでなく、心の旅路でもあるようです。読んでいると、自分自身の人生を振り返りながら、これから先の道をどう歩んでいこうかと考えるきっかけを与えてくれます。

 この「遊行期」は、静かな夜にじっくりとページをめくりたくなる作品です。忙しい毎日の中で少し立ち止まり、自分と向き合いたいときに手に取ると、きっと心が軽くなるような読書体験が得られるでしょう。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

咀嚼力が大事

 年をとると、ものを飲み込む嚥下の機能が衰えて誤嚥する人が多いです。誤嚥性肺炎は年配者の死因の1番の原因となっています。

 食べるときは、左右均等にしてしっかりと咀嚼するイメージを大切にします。水を飲みこむときは、慌てずにしっかりと飲み込むイメージをもちます。「正しい飲食ができた」という思いには快感を感じることができるのです。

歩行力が大事

 食べる、見る、聞く、話す、歩くなど、何事も意識的に行うことが大切です。

 歩くことについても、どう体の重心の移し方をするか、どう足の親指を使うかなど、知らずと意識的に歩いています。

 今は杖を突いて歩いているので、どんなふうに杖を使うと体重の移動がいちばんスムーズに行われるかを研究しながら歩いています。衰えをカバーするためのどりょくではあるものの、自分の体についていろんな学びがあるので面白いものです。

 楽しんでやることが、努力として行わなくて済む方法だと思っています。こうしたフィジカル面での工夫を積み重ねることで、ボケをいい方向へ持っていけるのではないでしょうか。

「自由人」はボケにくい

 私が最終的に大事にしていることは自由人であることです。

 「自由に生きる」ということ、埒を越える「転」、埒を作らない「雑」を大事しています。

 リベラルアーツという言葉は教養と訳されますが、ローマ時代に異国の捕虜だったりして自由を持てない人々がリベラルアーツを身につけることで、市民としての権利を持ち、拘束された状態から自由になれるという意味合いが正しいです。

 要するに、自由でいるためには幅広い教養が必要になっています。一筋の道を選ぶのも本人の勝手です。しかし、多様な道のほうが、刺激も多く、悪いボケに繋がらないのではないでしょうか。

 日本は島国ゆえ、雑民化が進みにくく閉塞感さえあります。最近問題視されている多様性の大変さは良いことだとも思うのです。社会、人間はいろいろこすれ合っていたほうが良いこともあります。画一性とか純粋性とかにこだわらないほうが素敵だと思います。

 「雑」が大事です。管理された多様性は、健全ではありません。いろんな外来者がいて問題があったほうが、危機感も生まれやすく出生率もあがるかもしれません。人口の観点から考えても、移民や外国人労働者を受け入れなきゃおかしいのです。

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