ヒトラーとプロパガンダ/著者:エマニュエル・ティエボ

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書籍情報

タイトル

ヴィジュアル版

ヒトラーとプロパガンダ

ナチスと連合国のイメージ戦争

発刊 2024年12月25日

ISBN 978-4-562-07489-1

総ページ数 301p

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出版社リンク 原書房

著者

エマニュエル・ティエボ

30年間カーン記念博物館の歴史学者として勤務後、ファレーズの民間戦争記念館を担当。

出版

原書房

もくじ

  • 序文
  • はじめに
  • 第1部 ナチスのプロパガンダ
    • 第1章 ヒトラーのイメージの構築
    • 第2章 党首から国家元首へ
    • 第3章 ヒトラーの肖像写真
    • 第4章 「禁止事項」―禁止および検閲された画像
    • 第5章 民衆のなかの民衆の一人
    • 第6章 総統の私生活
    • 第7章 『彼の闘争』
    • 第8章 生存圏
    • 第9章 戦争の指導者
  • 第2部 盟友たち
    • 第10章 ヒトラーとムッソリーニ
    • 第11章 ヒトラーとフランコ
    • 第12章 ヒトラーとスターリン―恐るべき恋人たち
  • 第3部 他者の視線
    • 第13章 ヒトラー、落ち着きのない男
    • 第14章 吊るし人形(あやつり人形)
    • 第15章 格好の標的
    • 第16章 「ジークフリートを演じるシャルロ」
    • 第17章 ヒトラーは嘘つき
    • 第18章 ヒトラーは暗殺者
  • 第4部 ヒトラーの時代のヨーロッパ
    • 第19章 フランス敗戦後の「ヒトラーの狂乱」
    • 第20章 1940年、フランスのヒトラー
    • 第21章 フランスのプロパガンダ
    • 第22章 切手のヒトラー
    • 第23章 総統の誕生日
  • 第5部 風刺画になるとき
    • 第24章 「偉大な人物」
    • 第25章 尻を蹴とばす
    • 第26章 動物化されたヒトラー
    • 第27章 ソ連から見たヒトラー
    • 第28章 連合国から見たヒトラー
    • 第29章 独裁者トリオ
    • 第30章 レジスタンスと自由なフランス
    • 第31章 臆病者のヒトラー
    • 第32章 「ヒトラー、ヨップ・ラ・ブーム!」
    • 第33章 「さらば、アドルフ!」
    • 第34章 そっくりな人物?

書籍紹介

未発見の資料が見れる

 未発表の資料を含む350点以上の図像を通じて、ナチスドイツのプロパガンダのメカニズムを再構築し、理解することを目指しています。ティエボは、単に資料を提示するだけでなく、それらの背後にある意図や影響を分析し、ナチスと連合国の間での「イメージ戦争」の複雑さを明らかにします。これにより、読者はプロパガンダがどのように使用され、社会を操作したかを視覚的に、そして理論的に把握することが可能になります。

過去を知ることで今を考える

 歴史やメディア研究、心理学に興味を持つ人々にとって必読の内容となっています。ティエボの研究は、現代のメディア環境や情報操作の理解にも通じる点が多く、過去の事例から学び、現在の問題を考えるための重要なリソースとなっています。

ナチからプロパガンダを学んでみては?

 単に過去の出来事を回顧するだけでなく、私たちが今後どのように情報と向き合い、批判的に思考すべきかについての示唆も提供してくれることでしょう。原書房から発売されるこのヴィジュアル版は、手に取る価値のある一冊であり、ナチスプロパガンダの知識を深めたい方には特に推薦されます。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

嘘つき

 1939年1月31日、『ル・ジュルナル』紙は、1918年に失ったドイツの植民地の変換を要求したヒトラーの演説を報じています。ヒトラーは演説のなかで「ユダヤ人は戦争を望んでいるが、私は長い平和を信じている」と宣言したからです。

 記事には、「イタリアが攻撃されれば、ドイツは自動的に武器を取り、イタリアを助けに行くでしょう。イタリアが意図的に戦争を引き起こしたら、ファシズムの死は国家社会主義の死をもたらします。その反する証拠が得られるまではドイツ帝国が外交交渉によってフランスとイタリアの関係がより正常な状態に戻ることを強く望んでおり、祈ってさえると考えています。でなければ『私は長い平和を信じている』などと叫ぶことができるでしょうか。」このような奇妙な分析が書かれています。これ書くジョルジュ・ブランは、フランスのために、ソ連のためにも、ドイツをスパイしていた諜報員です。

 しかし、多くの記事では、ベルサイユ条約などが破かれる絵だったり、殺傷された民間人の写真とともにヒトラーが「女性や子どもに対する戦争はしない」と宣言している写真を掲載してヒトラーを嘘つきとしています。

臆病者のヒトラー

 ヒトラーを嘲笑し、超人として描くのをやめさせるために、連合国のプロパガンダはヒトラーを臆病者として描くこともありました。

 悪天候のため、飛行機ではなく列車でベルリンに戻らざるを得なかったので、演説を1時間短縮したときに、ビアホールを出たあと、爆弾が爆発したテロ事件がありました。その運の良さをテロを警戒していたかのように揶揄した挿絵が1939年11月16日付けのカトリック系週刊誌『ア・ラ・パージュ』に掲載されています。

 1943年のヒトラーの演説のなかで、正午15分まで戦う準備ができていると宣言していました。これに対し、正午を前に逃げ伏せるヒトラーの姿が描かれていたり、12時5分を告げる目覚まし時計に怯えるヒトラーとゲーリングが描かれたりしています。

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