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目次
書籍情報
日常の見え方がちょっと変わる
ゆる数学思考
池田洋介
大手予備校の数学講師。
パフォーマー、演出家としても活躍。
朝日新聞出版
- はじめに
- テーマ 01
- 逆さ文字と鏡文字
- 頭の中で回転させる
- 逆さ文字とメンタルローテーション
- 文字や地図を正しい向きに補正する
- 鏡の国のローテーション
- 高機能な脳が起こす誤作動
- 体と記憶の対称性
- 左手と右手の記憶は対称になる?
- COLUMN ゆるい用語事典1
- 余白がないので書けない
- 逆さ文字と鏡文字
- テーマ 02
- やわらかい幾何学
- 異なるものを同じとみなす
- 逆さ文字と同一視
- 数学的に同じということ
- 何を同じとみなすか
- 同一視で世界の見え方が変わる
- COLUMN ゆるい用語事典2
- 有理数
- COLUMN ゆるい用語事典3
- 四色定理
- やわらかい幾何学
- テーマ 03
- 思考の階層構造
- 枠の外側から考える
- 客観とメタ
- 問題を抱える自分を外から眺めてみる
- メタ情報の処理
- 言葉には表と裏の意味がある
- フィクション世界とメタ構造
- 現実と虚構を隔てる「第4の壁」
- メタと数学
- 数学について考える数学
- 論理パズルに挑戦しよう
- COLUMN ゆるい用語事典 4
- これは読者への宿題としておく
- 思考の階層構造
- テーマ 04
- 認知と方向
- 動いているのはどちらか
- 上下の認知
- それぞれの頭の中でかしているもの
- 時間と空間
- なぜ「前」「後」の捉え方がわるのか
- 順操作と逆操作
- ゲームの世界で起こるカメラ操作問題
- COLUMN ゆるい用語事典 5
- 悪魔の証明
- 認知と方向
- テーマ 05
- 不変量
- 変わらない量に注目する
- 悪魔の証明と不変量
- 「できない」 の証明はできない?
- 幾何の不変量
- ファンタジー世界に不可能はあるか?
- COLUMN ゆるい用語事典 6/7
- エレガント/エレファント
- 不変量
- テーマ 06
- パリティと偶奇
- 世界を2つに分けてみる
- 等価な 2択
- 人生にはさまざまな2択がある
- 「順列」 と 「互換」
- 隠れたところに潜む偶奇性
- パリティの壁
- パズル王サム・ロイドが仕掛けた罠
- COLUMN ゆるい用語事典 8/9
- 限りなく/収束
- パリティと偶奇
- テーマ 07
- 指数と刺激量
- 違いの大きさを決めるのはなにか
- 等質化される時代
- 遠い出来事ほどざっくりまとめられる
- ウェーバーフェヒナーの法則
- 刺激の量は「比」によって決まる
- 指数と感情
- 格闘漫画で 「強さインフレ」 はなぜ起こるのか
- COLUMN ゆるい用語事典10
- イデア
- COLUMN ゆるい用語事典 11/12
- 素数/合成数
- 指数と刺激量
- テーマ 08
- 自然科学と帰納法
- 世界のルールを推測する
- 帰納と経験則
- 具体例からパターンをつかむ
- 科学界におけるパラダイムシフト
- 帰納は実証することができない
- COLUMN ゆるい用語事典 13
- 予想
- COLUMN ゆるい用語事典 14
- 仮定
- 自然科学と帰納法
- テーマ 09
- 公理と演繹
- 数学における「正しさ」とは
- 数学の信頼性
- 2000年前の数学はオワコン!?
- 数学者と帰納法
- ワインに泥水を一滴垂らせば、それは泥水になる
- COLUMN ゆるい用語事典 15
- 公理
- COLUMN ゆるい用語事典 16/17
- アルキメデスの公理/平行線の公理
- 公理と演繹
- テーマ 10
- 価値と相対
- 価値とは相対的なものである
- 価値判断の基準
- 基準が変われば見え方が変わる
- どちらを信頼するか
- 脳は見慣れているものを選択する
- パントマイムと錯覚
- パントマイムは人の価値基準を動かすことで成り立つ
- COLUMN ゆるい用語事典 12
- 小さくないほう
- 価値と相対
- テーマ11
- 情報の非対称性
- 「知っている」ことを知っている
- 情報の格差
- 人のもっている情報には差がある
- 戦争と情報
- 情報の非対称性は一方にとって有利に働く
- コモンナレッジ
- 情報の対称性が生み出す無限の入れ子構造
- COLUMN ゆるい用語事典物 19/20
- ユニーク/トリビアル
- 情報の非対称性
- テーマ 12
- 数学的帰納法と入れ子構造
- 問題の中に同型の問題を見つける
- 「増やす」 と 「入れる」
- 単純な構造を複雑にする方法
- 数学的帰納法
- ある問題はそれより小さい問題に帰着できる
- COLUMN ゆるい用語事典 21
- 一般化
- 数学的帰納法と入れ子構造
- テーマ 13
- 合理と不合理
- 合理から不合理が生み出される
- 合理な不合理
- 理性的に深く処理すると理不尽が生まれてしまう
- 不合理な不合理
- AIは刑事ドラマの夢を見るのか
- COLUMN ゆるい用語事典 22/23
- 背理法/もっと抽象的に話してください
- 合理と不合理
書籍紹介
この本は、日常生活の中に潜む数学の要素を見つけ出し、それを活用することで生活をより効率的かつ心地よくする方法を提案しています。
日常と数学
数学の力を少し借りることで、日常生活がどのように変化するのかを解説しています。数学とモノゴトの関係性をポップなイラストと共に易しく説明し、読者が数学を「親戚のおじさん」くらいの距離感で感じられるよう工夫されています。これにより、数学が難解なものではなく、生活に役立つツールとして認識されるよう促しています。具体的な内容としては、日常の様々なシチュエーションで数学がどのように役立つかを示し、数学的思考を日常生活に取り入れることで、問題解決や新しい視点の獲得を促しています。
ユーモアで数学に興味を持とう
この本を読むことで、数学が単なる学問から、生活の一部として楽しむことができるようになるでしょう。池田洋介先生のユーモアと独特の視点が、読者に数学への興味を引き立て、日常の見方を少しだけ変えてくれることでしょう。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
帰納と経験則
0→1→2→? ?に入る数字は3か4をイメージするのではないでしょうか。過去の具体例から、その法則を導くような考え方を「帰納」と呼びます。自分なりにいろんな操作を試して、なんらかの規則を見つけ出して、世界のルールを帰納的理解していきます。
常識として理解した帰納が正しいとも限りません。16世紀、ティコ・ブラーエという天文学者が天体観測から「ケプラーの3法則」を導き出します。それを17世紀の天才ニュートンが発展させて「運動の3法則」を帰納的に導き出したのです。運動の3法則は、力学現象を正確かつ統一的に説明できました。
20世紀に入ると、ニュートン力学では説明がつかない物理現象が次々に観察されました。これを弱冠26歳のアインシュタインが「光量子仮説」についての論文を発表したのです。科学界にインパクトを与えたことでしょう。
見慣れているものを選択する
私たちがある角度から立体的な造形物を見たとき、得られるのはその造形物が持つ情報の一部です。正面から見ると円柱にしか見えない造形物が、側面から見ると手前と奥に傾いていることもあるでしょう。
私たちの脳は、不足している情報を勝手に補完しようとします。そのとき、無数の可能性の中から「最も見慣れているもの」、つまり「地面に垂直に立っている円柱」を選択するのです。