※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。
目次
書籍情報
投資信託業界歴30年の父親が娘とその夫に伝える
資産形成の本音の話
今福啓之
日興さセットマネジメント シニアマネージングディレクター
日本証券アナリスト協会検定会員
衣食住の言葉の中に投信が入るのを夢見て活動を行っている。
発行所 星海社
発売元 講談社
- 1 最初に結論、言っておく
- 「以上、終わり!」な本質は?
- ぜひ手取りの25%、共働きなら35%を
- 2 夫婦2人で「本気の積立」をオープンに
- 「本気の積立」を夫婦同額でオープンに
- 「今」のためのお金の分担と「将来」のための平等な取り組み
- 2人の将来のためなら口座名義は?
- NISA?|別に大した話じゃありません
- 3 預金でもいいけど、僕の20年は参考になるはず(前編)
- 投資はマストじゃないけど、誰しも欲はあるからね
- 実は運用って、しょせんは「運」の話
- 父の20年。 見せとこ!
- 父の20年。最悪のスタートでした
- 4 預金でもいいけど、僕の20年は参考になるはず(後編)
- 父の20年。実は結構シビアでした
- 「意志ある楽観主義」、というか仕事に集中しとこう!
- 父の20年。でもやめなくて良かった
- 不思議すぎるこの結果はなぜに?
- スゴくない? いやホントに
- 5 預金でもいいけど、僕の20年は参考になるはず(完結編)
- すべては結果論だけど
- 経済は右肩上がり
- 6 告白:僕の積立20年で実は後悔していること
- 日本株ファンドでなければ……
- リターンを決めたのは「インデックスかアクティブか」などではない
- 7 アセットアロケーション? ―うーん。知らなくていいかな
- 君たちなら「株100%」がデフォルトで結構
- 元本割れするからね!
- 株は確かに怖いけど、とにかく他のものと混ぜればOKって話でもない
- 8 「途中のリスク」と「最後のリスク」
- 「直線をあきらめて、曲線を受け入れる」のが資産運用
- 君たちにとっての「真のリスク」は何だろう?
- 「途中のリスク」と「最後のリスク」
- ところで君たち、会社の確定拠出年金はどうしてる?
- 僕の確定拠出年金を公開しよう
- 9 基準価額って何? ?
- 基準価額の計算式は理解しとこう
- もし中身に海外株式が入ってたら?
- 今日明日の違いなど、どうでもいいくらいなリターンを考えよう
- 10 信託報酬というコストの意味
- 「コスト」のことを話しとこう
- コスパは「パ」があってこそ
- コストの低下は主に「インデックファンド界」で進んできた
- コストによる「乗り換え」?
- 11 基準価額は単なるモノサシですから
- 基準価額の見方を教えておこう
- 基準価額の変化は「額」でなく「率」で見ないとダメ
- 「率」のチェックもほどほどに
- 12 「口数」だから難しいんだよね。
- 投信は「口数」で買う
- 変わらない口数と、日々変わる基準価額
- 積立における口数
- 13 ずっと使える株式の知識(前編)
- 物事はシンプルに
- 何千本あっても「3×3」のマスで整理可能
- 国に投資しているのではない。「企業に」だ
- 14 ずっと使える株式の知識(中編)
- どういう理屈で動くわけ?
- もうひとつの株価
- 株価は「利益×ムード(PER)」
- 15 ずっと使える株式の知識 (後編)
- 「連想ゲーム」に付き合う必要はないけど・・・・・・
- 「残念ながらマーケットはひとつ」―僕らはどうすべきか?
- 16 企業を応援? いやいや、そうではなく
- 大事なのは「角度」です
- 「応援したい会社か」どうかは実は重要でない
- 17 悪いけど投資に「複利効果」なんてないから
- 自分で理解できることだけでOK
- まずはずっと使えるリターンの計算式を教えよう
- ついでに「年率」のお作法の話をしておく
- 計算の前提のない数値が並ぶようなサイトは要注意
- 分配金を再投資するかどうかは、投資における複利効果とは別次元の話
- 株式の配当金や債券の利子は投資信託の中で再投資されている
- 18 長期投資は「複利効果」のためでなく・・・・・・
- 短期で達成されるならそれが一番では?
- 長期投資は何のため?
- 人はいつもタイミングをミスるから
- 長期投資はリスクを減らさない?
- 「多少の間違い」でなく「大きな間違い」からだと、長期投資でもムリ
- 19 将来いくらあれば正解なんだろう?
- やっぱりお金は大事
- とはいえ、普通の勤め人がお金をつくるには?
- その前に必要なのは「いくらあったら?」を知ること
- 20 年金は大丈夫? はい、大丈夫
- 年金は元々「社会全体の保険制度」でしかない
- 常識として知っておきたい公的年金の構造
- 公的年金が潰れる心配は?
- 「年金悲観」で始めるのはまったくイケてない
- 21 じゃあ、どう増やしたらいいわけ?
- お金を増やす方程式
- 問題は「利回り」部分
- とはいえ「固定利回り」なんてないんだけどね
- 22 納得ずく? 怖いんですけど
- 必要な「利回り」=納得ずくのリスクテイク
- 「合わせ技」もある
- 考える順番
- 23「もし5%で運用できたら」―そんな無責任な?
- そもそも「利回り」という言葉は馴染まない
- 「曲線」を無理やり「直線」に直しただけのこと
- 10年で5割、20年で2倍って無謀?
- 24 皆が株式インデックスファンドでなくていい?
- 「ロボアド」 っていいの?
- 年3%ならバランスファンドがよさそうだ
- バランスファンドの良さは基準価額がひとつなこと
- 25 株式ファンドの選び方(インデックスファンド・前編)
- インデックスファンドは「儲からない」(指数以上には)
- インデックスファンドの運用は簡単じゃない
- インデックスファンド間のコスト差をどう見ればいいか
- 26 株式ファンドの選び方(インデックスファンド・後編)
- インデックスファンドはあなたの資産の増加をめざしてはいない
- S&P500一択論
- オールなカントリー?
- 27 アクティブファンドを擁護しようと思う
- インデックス アンド以外は認めない?
- アクティブファンドは2つに分かれる
- コンセプトファンド
- 陳腐な「テーマ株ファンド」じゃないの?
- 28 NISAをどう考えるか
- NISAは単なる口座の名前でしかない
- NISAで買える商品は制限付き
- NISAで買える金額の上限が決まっている
- 29 じゃあどうする? 投資信託選びの具体策
- インデックスファンドの盲点
- オール・カントリーへの「万能感」も気になる
- S&P500かオール・ エントリーをベースに「チューニング」
- ケーススタディ インデックスファンドをベースとした「チューニング」
- 30 どんな投資信託が〝積立最強ファンド”なのか?
- 「ドルコスト」は魔法の杖じゃない
- 優秀なファンドって?
- 積立にとって「いい軌跡」
- 積立にとって「ダメな軌跡」
- 31 父から(ようやく)最後のお話
- 「必ず元本割れするもの」をなぜやるのか
- 相場観でなく「投資観」を
- 「しょせんは運」というクールさを
- 右肩上がりの市場に居続けろ― Stay Invested
- 図太く─Think Big c
- 人の行く裏に道あり――Think different
- 資産運用には2人で取り組み、2人で忘れて人生を楽しむべし
- おわりに
書籍紹介
長年投資信託業界でキャリアを積んだ父親が、自分の大切な家族である娘とその夫たちに、資産形成についてのリアルなアドバイスを提供する内容となっています。物語は、柔らかい語り口で進み、読者も家族の一員になったかのように感じることができるでしょう。
投資リテラシー
この書籍は、投資信託と資産形成のリテラシーを根本から学ぶためのガイドであり、業界の内側からの視点から見た本音が詰まっています。今福氏は、投資信託の仕組みや、資産形成における重要な考え方を、日常会話の中で自然に伝えます。特に、NISA(少額投資非課税制度)の利用についても触れており、焦って始める必要はないと強調しています。これは、NISAが無期限の制度であるため、自分のペースで始めることが重要だと説いています。
本書の大きな魅力の一つは、業界のプロフェッショナルが家族に語りかける形式を取っている点です。このスタイルにより、難解になりがちな投資の話が、親しみやすく、また身近なものとして感じられるでしょう。例えば、20年間の積立投資で後悔していることや、資産形成における本当の“教え”が、親から子への直接的なアドバイスとして描かれています。
人生設計とお金
読者が得られる最大のメッセージは、資産形成は焦らずに、自分自身の納得の上で行うべきということです。人生の長期的な視点からお金を考える重要性を示しています。
投資信託業界の現実的な知識と、人生設計におけるお金の役割を理解するための、貴重な一冊となるでしょう。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
父の20年。やめなくて良かった
2000年から日経平均株価が暴落し、2006年に株価が戻りましたが、2008年のリーマン・ショックにより2013年まで株価が低下しました。
アベノミクス効果と呼ばれてブームにもなりましたが、2013年から日本株は大きく上昇し、2000年から投資した元本が累積1500万円だったのに対し、2023年12月末の評価額は3399万円になりました。
簡単に言えば、2回の下落時に積立をやめなかったおかげで、「口数」を多く保有することができました。その後に成長した株価のおかげで、評価額は2倍以上になりました。日経平均は2000年から約7割しか上がっていませんが、投資をやめなかったおかげで、資産を2.36倍ほどに増やすことができたのです。
普通の勤め人がお金をつくるには?
普通の勤め人である僕らでは、そう簡単にFinancial Independenceを達成できません。一念発起して数々の起業を経験し、1つの大成功を収めるでもしない限りは難しいでしょう。
できることと言えば、コツコツと積立を行うことであり、手取りの25~35%の「本気の積立」を、夫婦一緒に、長期戦で取り組むことぐらいです。
経済的自立を早く達成するためには、「入金力」のアップは必然です。すぐにできるのは、見栄を捨てて積み立てる金額を確保するなどの節約でしょう。
インデックスファンドの運用
インデックスファンドは、上がるときも下がるときも指数通りに動くのが優秀なインデックスファンドです。
インデックスファンドは、指数以上に儲かっちゃいけないという縛りがあるため、それを運用する方は意外と足かせになります。集めたお金と出ていくお金を計算して、決まった割合で株式を買わなければなりません。これにはかなりの技術と経験が求められます。
インデックスファンドは、皆優秀です。各々の信託報酬率は違うけれど、結果はちゃんと値動きにトレースできています。
インデックスファンドの基準価格は「信託報酬控除後」です。連動対象の指数と一緒に動くのがインデックスファンドの目標であり、そのコストの多寡ではないことを頭に入れておきましょう。
「コストが安い」というのは、強い言葉なので浸透しやすいと思います。しかし、運用会社にとって指数を忠実にトラックするためには、コストが低い方が計算しやすいという側面があります。これを「お客様のお得」のためですよと置き換えて説明しているにすぎません。