無能より邪悪であれ/著者:マックス・チャフキン

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書籍情報

タイトル

無用より邪悪であれ

ピーター・ティール シリコンバレーをつくった男

発刊 2024年3月31日

ISBN 978-4-8014-8501-3

総ページ数 429p

書評サイト 読書メーターBook Bank

著者

マックス・チャフキン

ブルームバーグ、テクノロジー担当のリードライター。
テクノロジー業界やスタートアップの取材歴は15年に及ぶ。

出版

発行所 楓書店

もくじ

  • 序章
  • 孤高の天才少年
  • 逆張りの反逆者
  • 見返してやる
  • ペイパル誕生秘話
  • イーロン・マスクとの共闘
  • シリコンバレーの台頭
  • フェイスブック SNSの始まり
  • 投資家としての成功
  • 古き時代よさようなら
  • 画期的なソフトウェア
  • テック業界への貢献
  • 新世代のカリスマ
  • ティールが持つ2つの顔
  • 政治への傾倒
  • トランプ支援の真相
  • ティールの考える政府とは
  • テック業界の大物たちの思惑
  • グーグルとの対決
  • 総力戦
  • ティールの予見する未来
  • エピローグ 永遠の命を求めて

書籍紹介

 ピーター・ティールの生涯と業績を詳細に描いた、マックス・チャフキンによる伝記です。成功するためには時として「無能」よりも「邪悪」である方が良いという逆説的なメッセージを打ち出しています。チャフキンは、ビジネス世界における競争の厳しさや、時として倫理的な境界を超えることの必要性について論じています。

ティールの業績

 PayPalを共同設立し、その後、フェイスブックへの初期投資者としても知られています。彼の哲学やビジネス戦略は、シリコンバレーにおけるスタートアップ文化や技術革新に大きな影響を与えました。特に、「無能より邪悪であれ」という彼の名言は、彼の競争心と成功への執着を象徴しています。

 チャフキンは、この本の中で、ティールのビジネス手法、政治的なスタンス、そして彼がどのようにしてシリコンバレーの生態系を変えたかを深く掘り下げます。

ビジネスでの邪悪面

 現代のビジネス環境における成功と失敗の定義を再考するよう求めます。著者は、企業のリーダーシップや経営戦略がどのようにして「邪悪」な面を利用し、競争優位性を得るのかを深く掘り下げます。読者は、通常の善悪の枠組みを超えた思考を促され、成功とは何か、そしてそれを達成するためにどのような道を選ぶべきかという問いを自らに投げかけることになるでしょう。

ビジネスの違う側面探求

 チャフキンの文体は、挑発的で時に皮肉っぽいものですが、彼の洞察は鋭く、ビジネススクールや現場で働く人々にとって興味深い話題を提供します。「無能より邪悪であれ」は、単なるビジネス書を超えて、人間性や倫理、そして成功への道の哲学的な探求へと読者を引き込む一冊です。この本を読むことで、自分自身の価値観やビジネスにおける行動規範を見直すきっかけを得られるでしょう。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

イーロン・マスクとの共闘

 ペイパルが提供するサービスは無料でした。ティールは表向きには、ユーザーがシステム内に置いてる現金の利子を集めることで利益を得ると伝えていましたが、ペイパルに現金を置きっぱなしにするユーザーはほとんどいませんでした。ユーザーが100ドルの取引をすると、その3%の手数料として3ドルの費用がかかることになりますが、ユーザーには手数料無料です。つまり、利用が増えれば増えるほど、現金の回収が苦しくなっていきました。

 大学の友人である会社の副社長リード・ホフマンに、潜在的なペイパルの買い手を当たってみてほしいと依頼し、買収に乗る気の企業はかなり多かったようです。しかし、具体的な話し合いが始まる前に、イーロン・マスクが割り込んできました。マスクは、合併することでX.comが市場から押し出されてしまうことを危惧していたのです。政府が新しいデジタル決済テクノロジーの規制に乗り出したことで、状況はさらに複雑になりました。

 マスクとティールは、50対50の合意をし、ペイパルはX.comの金融サービス部門の一部となりました。マスクが会長および筆頭株主となり、2カ月後にはマスクが自分自身をCEOに任命しています。

 しかし、実のところは、ティールがマスクに罠を仕掛けていたようなものでした。X.comの幹部が除外され、マスクはティールに忠実な幹部に囲まれることとなりました。暴落が起こり、ペイパルの合併と1億ドルの追加出資を完了させ、ティールは疲れたことを理由に本格的な資金不足に陥る前に退散しています。

ティールの予見する未来

 コロナウイルスが広がりつつある頃、ティールはロサンゼルスを早々に出ました。ロックダウンを実施し、非居住者の入国を禁止したときはまだ、2020年終わりまでにコロナウイルスで死亡したのは25名でした。

 ティールが腰を落ち着けたのはマウイ島です。2011年に2700万ドルで購入したオーシャンビューの家に籠ります。人気のないエリアにあり、居住面積は400平方メートルを超えます。高い石の壁に囲まれ、7000平方メートル近い土地が広がっており、反対側はビーチに面しています。

 アメリカ合衆国だけで1日2200人の死亡者を出すまでに感染爆発は進み、アメリカは都市封鎖と経済のバランスをみて、感染者数と死亡者数が波を打ちながら減っていきました。

 テック業界の台頭はロックダウン直後に株価を落としましたが、急速に回復し、3月の暴落から半年もかからずにS&P500指数は年間最高値をつけています。ティールもまた、さらに金持ちになったのです。

 医療用品のサプライチェーン管理に使用されていたパルティアのソフトウェアですが、コロナ関連の問題解決にシフトさせ、既存ソフトウェアに追加機能を充実させました。人工呼吸器や防護用品を配布するのにうってつけの商品です。公衆衛生当局を巻き込み、ティールの会社はトランプ政権から高額な金を引き出すことに成功しています。

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