※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。
目次
書籍情報
あなたの代わりに読みました
政治から文学まで、意識高めの150冊
斎藤美奈子
文芸評論家。
94年に『妊娠小説』でデビュー。
朝日新聞出版
- はじめに
- 現代社会を深掘りしたら
- ニュースの表と裏を読む
- 脱・差別への処方箋
- 職場と家庭で起きていること
- 地域の再生に秘策はある?
- 文芸作品から社会が見える
- フィクションが現実を超えるとき
- 青春はシュール、家族もシュール
- 仕事あっての人生だから
- 文学のトレンドは老後にあり
- 本当は怖い文学の舞台裏
- 文化と暮らしと芸能と
- 歴史っておもしろい
- ネット時代の読む・書く・話す
- 暮らしと人生のレシピ
- あの人の言葉が聞きたい
- あとがき
書籍紹介
この本は、斎藤さんが10年間にわたり読んできた150冊の話題作から、各々の「肝の1文」を選び出し、それらを通じて現代日本の進歩、退歩、そしてあし踏みを描き出しています。
「週刊朝日」で連載されていた「今週の名言奇言」を再編集・再構成したもので、政治から文学まで幅広いジャンルの本から、斎藤さんが特に印象的だった一文を選んでいます。
本を深掘り
ただ本を読むだけでなく、その背景や社会的な影響を深く掘り下げたものです。著者の解説は、読書を通じて社会を見つめ直すきっかけを提供してくれます。特に、「今週の名言奇言」という連載から生まれたこの書籍は、斎藤さんの鋭い洞察力とユーモアが光る一冊です。
じっくり本を読めない現代人へ
忙しい現代人に代わって斎藤美奈子さんが読み、選び抜いた150冊の本から得られる知識と洞察を提供してくれます。政治、社会、文学、文化といった幅広いテーマを通じて、読者に新たな視点を与えてくれるでしょう。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
廃棄で生活費を浮かす
いまはコンビニが生活に欠かせないインフラです。そのコンビニが過酷な経営を強いられていることはよく聞きます。
『コンビニ店長の残酷日記』の著者・三宮貞雄は現役のコンビニ店長です。一国一城の主になりたいという夢を捨てきれず、6年前40代半ばにして大手コンビニチェーンのフランチャイズ店長になりました。
コンビニオーナーは経営者ですが、実質的には労働者です。トンデモなお客、深刻なアルバイト不足、廃棄食品の問題など、コンビニの実態は想像を超えていました。
食品の廃棄量は1店舗あたり1日約15キロで、消費期限や賞味期限より早く棚から撤去しなければなりません。賞味期限が近い商品を値下げして売り切るやり方には本部が難色を示すにもかかわらず、廃棄分は加盟店の負担となります。
経営改善をスーパーバイザーという名の現場監督に相談すると「いざとなったら、廃棄で生活費を浮かすのはどうですか?」と返されました。
この実態がメディアで報じられることはめったにありません。コンビニは重要な広告主で、雑誌を売ってくれるのもコンビニなのです。
本好きであることを隠す
『ブックストア・ウォーズ』は、新婚書店員の小幡亜紀と、独身のやり手店主・西岡理子が活躍する物語です。このシリーズは、文庫書き下ろしでありながらもシリーズ化するほど人気を博しています。
『書店ガール』シリーズの舞台の中で、大手書店でバイトをしている女子大生の話が描かれています。大学の仲間たちからは「書店業界こそ斜陽産業だ」と言われる始末で、「好きな本の話をしてもみんなには通じない、引かれるから本好きであることをみんなには言う気はなかった」という心境を抱えています。
この女子大生の話は、実話に近いものがあります。本好きの若者たちは、隠れキリシタンみたいにこっそりと本を読んでいるのです。この本が人気になったのも、書店員さんの後押しがあったからではないでしょうか。