サムライ心得帖/著者:スティーブン・ターンブル

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書籍情報

タイトル

サムライ心得帖

戦術・武具から教養・礼節まで

発刊 2024年8月8日

ISBN 978-4-562-07427-3

総ページ数 230p

著者

スティーブン・ターンブル

リーズ大学名誉講師。
国際教養大学名誉教授。

日本の宗教に関する研究で博士号を取得した。

出版

原書房

もくじ

  • 『サムライ心得帖』および著者の馬渡防牛について
  • 本書に寄せて _将軍徳川秀忠公による序文
  • はじめに 常陸国藩主および第二代将軍徳川秀忠側近馬渡防牛による序文
  • 日本のいま_侍として知っておくべき知識
  • 侍から真の侍へ
  • 侍を彩る甲冑、刀、着物
  • 武道_そなたの腕前はいかほどか?
  • 和をもって平穏なる世を保つための侍の役割
  • 日本_神々の国
  • 教養豊かなる侍
  • 軍を指揮するにふさわしき侍となるために
  • 侍、いざ出陣
  • 城と攻城戦_戦場とは非なる闘い
  • 合戦のあと
  • 老いと死
  • 訳者あとがき

書籍紹介

 侍の生活と哲学を深く掘り下げた作品です。この本は、徳川秀忠の治世下で側近が編纂したとされる架空の指南書という形式をとり、侍が知るべき歴史、戦術、武具から教養、礼節までを網羅しています。

歴史的背景

 ターンブルは、豊富な歴史的知識を背景に、侍が実際にどのように生き、何を考えていたかをリアルに描き出します。読者はまるでタイムスリップしたかのような感覚で、江戸時代の侍の日常に触れることができます。

実用的な指南

 戦術や武具の使い方だけでなく、精神修養や礼節といった、侍にとっての「心得」を現代の視点から再解釈したものです。自己啓発などの思想と重ね合わせても面白い読み物だと思います。

文化的洞察

 日本文化における侍の位置付けや、彼らの生活から見える日本人の価値観、美意識を探求。外国人著者ならではの視点で、日本の文化を客観的に分析しています。

サムライの生活様式を知れる

 少し変わった歴史書としての読み物はいかがでしょうか。現代の生活様式とサムライの共通点を刺激されると同時に、細かい歴史の知識に触れられます。日本人の昔を学んでみたい人にオススメとなっています。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

幸福になるいまの世にいたるまで

 吉兆な恵まれた状況は、そなたがいま志している侍の血の犠牲の上に成り立っています。徳川家の侍たちがいかにして敵を討ち、いまの日本を築き上げたかを紹介するところから、この本を始めましょう。

 710年に日本の都として築かれた平城京は、反乱勢力や不平分子の標的となりました。また、壱岐、対馬、筑紫などの辺境は、海の向こうから蛮族の襲来に脅かされることとなりました。

 この時代、日本には労働に汗水を流し、不毛と思われた土地に稲田を切り開き、ささやかな領地内で商いにいそしむ家系がありました。彼らは安定した生活を送っていたため、近隣から妬みを買い、領土を守るべく武力行使を余儀なくされました。

 こうして武徳が磨かれ、土地を持つ者は、天皇への比類なき忠誠と高潔の証として、「さぶらう(従う)者」、すなわち「侍」と呼ばれる猛々しい武士軍を天皇家に差し出しました。天皇に従う身となった侍は、反乱軍を打ち負かし、国境を守り、武士の誇りを身にまとったのです。

礼服とそれを着て転ばぬ方法

 武具を装備していないときも、侍は立派な身なりをしています。家紋を除けば、他の大名と見分けがつきません。しっかりと、自身で時間をかけて身なりを整えていたのです。

 将軍に拝謁するときは、根衣として長袴を着用します。これは非常に長い下半身の衣装で、「暗殺はできない」という意思表示を示すものです。

 この長袴を着て歩くことは極めて困難です。少なくとも半月前には長袴を手に入れ、自宅でこっそりと練習を重ねるようです。そうすることで、少しずつ歩けるようになります。

侍の必読書

 真の芸術的感性は、長きにわたる熱心な鍛錬によってのみ実現されます。芸事と侍の行動は、軍事物語から得ることができます。

 『平家物語』では、傲慢な平氏が源平合戦にて源氏に滅ぼされるまでを物語っています。立派な侍たちの合戦が美しく描かれています。また、『太平記』も、奮起させる手本として振る舞いの礎となるでしょう。

 『平家物語』のような読み物は、ご先祖の行いを見習いたいと願う若き侍たちに是非とも薦めたい作品です。先祖たちの栄光が細かく記されており、14世紀の壮大な戦いを学ぶことができます。

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