地図で見る中国ハンドブック/著者:ティエリ・サンジュアン

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書籍情報

タイトル

地図で見る中国ハンドブック<第3版>

発刊 2024年6月5日 第1刷

ISBN 978-4-562-07416-7

総ページ数 162p

著者

ティエリ・サンジュアン

地理学博士。パリ第1パンテオン=ソルボンヌ大学教授。中国の都市・社会問題のスペシャリスト

出版

原書房

もくじ

  • はじめに
    • 新たな課題
    • 中国の拡大さ
  • 遺産
    • 中華帝国から…
    • …中華人民共和国へ
    • 治水
    • 壁、われわれと他者
    • 文化的価値観
    • 管理下にある宗教
    • 遺産としての毛沢東思想
  • 先進社会
    • 高齢化という課題
    • 日常生活の激変
    • デジタル化した日常生活
    • 未来に向けての教育
    • 余暇時間
    • 健康、格差と公衆衛生リスク
    • 社会管理の強化
  • グローバル化した領土
    • 毛沢東以後の過渡期
    • 現代の再編成
    • 国土の整備
    • グローバル化経済
    • 食料安全保障と農村の新たな道筋
    • 環境政策
  • 中国の都市
    • 達成されつつある都市化
    • 都市、大きく変化する場所
    • 北京、皇帝の都
    • 上海、近代都市
    • 香港、大陸の領土
  • 周辺地域
    • 少数民族
    • チベット自治区、アジアの高地をその手に
    • 新疆ウイグル自治区、同化の過程にある辺境
    • 台湾、中国大陸からの脅威
  • グローバル化の主役
    • アジアの経済大国
    • 新たな地政学的中心
    • 加速する軍事力の近代化
    • 大国としてアメリカと対峙する中国
    • 一帯一路とソフトワパー
    • 海外の中国人
  • 付録

書籍紹介

「地図で見る中国ハンドブック<第3版>」 – 中国の全貌を一望する一冊

 現代の中国を理解するには、地理的な視点が欠かせません。「地図で見る中国ハンドブック<第3版>」は、そんなニーズに応えるためにティエリ・サンジュアン氏が執筆した、視覚的にも情報的にも充実した一冊です。このハンドブックは、中国の広大な地理的多様性、歴史的背景、そして現在の社会経済的状況を地図を通じて俯瞰することができる貴重なリソースです。

視覚的アプローチで中国を解剖

 このハンドブックの最大の魅力は、やはりその豊富な地図です。中国全土の詳細な地図はもちろん、各地域の特徴を鮮やかに描き出したものや、都市の発展状況、産業分布、環境問題など、様々なテーマに基づいた地図が収録されています。地図を見ながら読むことで、テキストだけでは捉えにくい情報も一目で理解することができ、地理的な感覚が一層深まります。

豊富なデータと分析

 ティエリ・サンジュアン氏は、地理学の専門家として、中国の多様な側面をデータに基づいて分析しています。人口動態、経済発展、インフラ整備、環境問題など、現代中国が直面する課題や進展を客観的に示しています。このようなデータに基づく分析は、単なる地理的情報にとどまらず、中国の未来を見据える上で重要な示唆を与えてくれます。

教育的な価値と実用性

 「地図で見る中国ハンドブック<第3版>」は、教育的なリソースとしても非常に価値があります。学生や研究者はもちろん、中国に興味を持つ一般の読者にとっても、知識を深めるための優れた参考書となるでしょう。また、ビジネスマンや政策立案者にとっても、中国の複雑な状況を理解し、適切な戦略を立てるための貴重なツールとなることは間違いありません。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

人口の減少

 中国では2021年に死亡数が出生数を上回る自然減少が発生しました。出生数が956万人、死亡数が1041万人です。

 この現象は世代間のバランスに大きな影響を及ぼしています。15歳から64歳までの人口は全体の68%を占め、65歳以上の人口は14%です。平均寿命も伸びており、男性は75歳、女性は81歳となっています。

 労働力人口の割合は時間の経過とともに減少し、中国は競争力を失う可能性があります。人口の高齢化や若い世代が一人っ子政策の影響を受けていることが社会問題となっています。GDPに占める年金の比重も増加するでしょう。

食料安全保障

 食料主権と政治的・地政学的独立を保障するための食料自給は、中国にとって重要な課題となっています。穀物の生産は厳しく管理され、高い水準で維持されていますが、これは中国の生産を保護するために非常に低く設定された輸入関税割当のおかげです。

 中国は穀物、綿花、果物、野菜、鶏肉、卵、水産物の最大の生産国です。しかし、就業者は労働力人口の24%にとどまっており、2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟して以来、中国は最大の農産物輸入国となっています。輸出量を上回る純輸入量の増加は、生活水準の向上やタンパク質が豊富な食品、野菜、果物の消費増加によるものです。

 耕作地が限られており、人件費の上昇にも悩まされる中国の農業は、自由貿易における競争力が低下しています。さらに、毎年夏には水不足や干ばつが多発しており、地球環境の悪化に対して、中国の立地は非常に脆弱です。これらの問題は、食料安全保障における大きな課題となっています。

公共スペースとショッピングセンター

 中国では歴史的に公共広場が非常に少なく、これらの広場は主に権力の誇示や演出、行使の場として使われてきました。しかし、現在地方当局が公共広場を作っているのは、体制を称賛するためではなく、人々が自由に散歩したり、出会ったり、話し合ったりするためです。

 ショッピングセンターは必ずしも総合スーパーを含むわけではありません。多くの場合、小売店が巨大なモールや遊歩道沿いに並び、エスカレーターやガラス張りのエレベーターが随所に配置されています。夏にはエアコンの効いたショッピングセンターが都会人にとって散策や社交の場となっています。

 人々はウィンドウショッピングをしたり、流行をチェックしたり、飲食を楽しんだりしています。

アジアの給水塔

 中国当局は、宗教的理由による要求や、新疆ウイグル自治区やチベット自治区の自治独立運動、分離独立運動に対して、弾圧、入植、都市開発、天然資源開発といった暴力的な政策で対応しています。

 標高4000~5000メートルのチベット高原はさらに高い山々に囲まれています。南のヒマラヤ山脈にはエヴェレストがそびえ立ち、トランス・ヒマラヤ山脈がヒマラヤ山脈の北側に並行して走っています。標高3000~4000メートルのブラマプトラ渓谷がふたつの山脈を隔てています。チベット高原の北には、黄河や長江の源流があり、7000メートル級のクンルン山脈に縁取られています。

 1949年から新疆ウイグル自治区は、中国の辺境開拓の優先課題となっています。この自治区の開拓は、沿海の経済的中心地と連携し、天然資源(石油、天然ガス、鉱物)の採掘や、重工業コンビナートや拠点都市の発展を基盤にしています。

 新疆ウイグル自治区の中国化は、ウルムチやカマライなどの都市があるジュンガル盆地で特に強固に進められています。これらの都市は、カザフスタンの資源をはじめとする中央アジアとの取引の窓口としての役割を果たしています。

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