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目次
書籍情報
AI時代の都市伝説
世界をザワつかせる最新ネットロア50
発刊 2024年6月5日
ISBN 978-4-305-71014-7
総ページ数 233p
宇佐和通
商社、通信社を経て、翻訳家・ノンフィクション作家に転身。
笠間書院
- まえがき
- 最新ネットロアの章
- イギリス版『きさらぎ駅』ロンドンの地下鉄はタイムマシンなのか
- LOAB:史上初のネット由来未確認生物
- ザ・ブラインド・メイデン・ドット・コム:ユーザーにひたひたと近づいてくる恐怖
- キャンドル・コーヴ:子供たちの洗脳に使われたシュールな人形劇の謎
- ポリビアス:知名度が極めて高い”存在しなかった”アーケードゲーム
- ベビーシッター・ロアの章
- ピエロの人形:等身大の人形の正体とは
- ヒッピー・ベビーシッター:ベビーシッター・ロアの大定番
- ロッキングチェアのおばあさん:幽霊は意外な形で姿を現す
- 家の中にいるんです:サイコパスはすぐ隣に
- 来なかったベビーシッター:本当にあった?悲劇的な事故
- メディカルロアの章
- エイズの世界へようこそ:ワンナイト・スタンドは絶対にNG
- コロナパーティー:今になって初めてわかる話
- シリコン豊胸爆発:ご搭乗時、気圧にはお気をつけください
- ブラウン・ベティ:日焼けマシンで内臓がレアステーキ状態
- ホワイト・スレッド:アメリカでもバズった「ピアスの穴の白い糸」
- キャラ系ロアの章
- ブラック・アイド・キッズ:白目のない子どもたち
- クリーピー・クラウン現象:本当は怖いピエロの話
- シャドーピープル:突然死をもたらすもの
- スレンダーマン:人気No1のネットロアキャラ
- ナイトクローラー:地域限定型未確認生物
- ダークなロアの章
- This Man現象:世界中の人たちの夢の中に現れる
- この人は実在しません:ここまできたAI画像生成テクノロジー
- ザ・バックルームズ:ネット上の無限空間
- スナッフ・フィルム:殺人ライブビデオは実在する?
- トーキング・アンジェラ:無邪気なアプリは誘拐犯の御用達
- ゲームロアの章
- エレベーターゲーム:魔界への入り口はごく普通のエレベーター
- サッド・サタン:バーチャル迷路の出口に待つものは?
- シケイダ3301:オンライン・メガクイズの真実
- チャーリー・チャーリー・チャレンジ:デジタルこっくりさんがもたらす恐怖
- ブルーホエール・ゲーム:自殺を求めるオンライン・チャレンジ
- 不条理なネットロアの章
- Annie96 is Typing:リアルタイム記述で進むストーキング事犯
- Birds Aren’t Real:陰謀論を逆手に取ったオンラインキャンペーン
- ブランクルーム・スープ:殺人事件の記録ビデオがアップされた?
- ラベンダータウン症候群:日本発のメガヒットゲームに隠せれたネッロロア
- ロシアン・スリーピング・エクスペリメント:非人道的人体実験の全記録?
- 陰謀論系ロアの章
- シャドー・ネットワーク:メールも閲覧記録もすべてモニターされている
- ピザゲート:政財界を揺るがす恐怖の事実の記録
- プロジェクト・クロノス:過去に飛ぶテクノロジーは実現している?
- 人類はシミュレーション世界に生きている:バーチャルこそがリアルな時代の到来
- プロジェクト・ブルービーム:最新テクノロジーを使った全人類洗脳計画
- 進化し続けるネットロアの章
- 911その後:主流派マスコミが報道する”事実”は”真実”ではない
- ディア―・デイビッド:有名クリエイターが語る夢うつつの世界
- ノックアウト・ゲーム:主流派マスコミが生んだネットロア
- マンデラ効果の現在位置:偽記憶と刷り込み技術の境界線
- メッセージ・フロム・マーク:国際ロマンス詐欺の原型
- 古くて新しいネットロアの章
- A858:有名SNSを舞台にしたサブリミナル実験
- ファントムタイム仮説:人類が知っている歴史は真実ではない
- ウクライナのタイムトラベラー:時間旅行が可能である証拠となる事件?
- AIサブリミナル広告:今そこにあって、毎日触れざるをえない洗脳
- 『ザ・シンプソンズ』の予言:当たりすぎているエピソードが多すぎる!
- あとがき
書籍紹介
ネットロアとは何か?
本書の主題である「ネットロア」は、インターネット上で拡散される噂話や都市伝説を指します。AIの発展とともに、これらの都市伝説は一層複雑化し、信ぴょう性の判断がますます難しくなっています。宇佐は、50の具体的なネットロアを取り上げ、その背後にある文化的背景や心理的要因を詳細に分析しています。
AIと都市伝説の交錯
AI技術の進化は、都市伝説の創造と拡散に新たな次元をもたらしました。例えば、AIが人間を支配する未来像や、ディープフェイク技術を用いた偽情報の拡散など、AIそのものが都市伝説の中心に位置することが多くなっています。本書では、こうしたAI関連の都市伝説がどのように生まれ、広がっていくのかを考察しています。
50の最新ネットロア
最新のネットロアを50個厳選し、それぞれのストーリーや背景を丁寧に解説しています。これらのネットロアは、単なる噂話にとどまらず、社会的な現象や時代の反映としての側面も持っています。例えば、「AIが作成した芸術作品は本当に芸術なのか?」という議論や、「スマートフォンが私たちのプライバシーを侵害している」という不安など、現代社会における深刻な問題提起が含まれています。
どんな読者にオススメか
都市伝説やネット文化に興味がある読者だけでなく、AIや現代社会の動向に関心を持つ全ての人にとって興味深い一冊です。宇佐の鋭い洞察と緻密な分析は、読み手に新たな視点を提供し、ネットロアの裏に隠された真実や社会的背景を理解する手助けとなります。
特に、AI技術の急速な進化に伴う倫理的・社会的問題に関心がある人には必読です。単なる都市伝説の紹介にとどまらず、私たちが直面する現実的な課題にも深く踏み込んでいます。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
家の中にいるんです:サイコパスはすぐ隣に
世界中でストーキング犯罪が年々増加しており、内容も凶悪化しています。これまでの時代には、報告や通報が少なすぎたのでしょうか。
とあるベビーシッターの例をご紹介します。ベビーシッターのアルバイトをしていた女子高校生がいました。子どもを寝かしつけた後、リビングルームでテレビを見ていると、無言電話がかかってきました。それも、しつこく何度もです。無言のまま電話をとり続けていると、「お前の動きはすべて見えている。子どもたちは大丈夫か?一回見に行った方がいいんじゃないか?」と男の声がしました。
恐ろしくなった彼女は電話を切り、警察に通報して事情を説明しました。すると、次に電話がかかってきたら逆探知をするから、できるだけ話を延ばしてほしいと言われました。彼女はルームライトを消してカーテンを閉め、相手からの電話を待ちました。
再び電話がかかってきたとき、彼女はなんとか我慢して話を引き延ばしました。そして電話を切ると、すぐに警察から電話がかかってきました。
「よく聞いてください。電話は家の中からかかってきています。おそらく別回線です。すぐに逃げてください。警官がまもなく到着します」
これは80年代に広まった事例ですが、携帯電話が普及した後も同じマンションの住人から非通知で電話をかけるという同様の犯罪が報告されています。ダクトを伝って部屋をのぞき、特定の女性を気に入るというサイコパスの行動です。
この人は実在しません:AI画像生成
何らかのSNSアプリで詐欺の広告を見ない日はありません。このような身近なツールを使って、ロマンス詐欺は国際的な問題となっており、騙される人が後を絶ちません。
この手の詐欺では、以前はネット上で拾った他人の写真が多く使われていました。しかし、2020年を過ぎたあたりから、実在しない人の写真が使われることが増えました。AI画像生成技術で作られたリアルな画像は非常に完成度が高く、本物の写真にしか見えません。
また、作り話が前提のネットロアでも、AIの高度な性能をモチーフにした話があります。こうしたフィクションが身近な最新テクノロジーを盛り込んで展開されると、ユーザーが自分ごととして受け止めることも少なくありません。