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目次
書籍情報
「老害の人」にならないコツ
発刊 2024年5月21日
ISBN 978-4-7762-1340-6
総ページ数 319p
平松類
医師、医学博士。二本松眼科病院副院長。
アスコム
- はじめに
- 第1章 こうして人は「老害」になっていく
- 90代の人が自分を年寄りと思っていない現実
- 老化は誰にも起こる変化=つまり悪ではない
- 高齢者が同じ話を何度も繰り返してしまう本当の理由
- 同世代の仲間の変化が教えてくれる怖い可能性
- 若いころの行いによって老害レベルが見える!
- 男性よりも女性の「老害」が少ないのにはワケがあった!
- 現役時代の職種から導き出される「老害」の意外な共通点
- このような兆候が見られはじめたら老害注意報発令!
- 第2章 「老害」の何が悪いのか
- 老害激増の裏にひそむ広範囲にわたる理由
- こんな世の中にした責任は個人ではなく社会にある⁉
- 現実に即したオリジナルの「老害」の定義とは
- モテる高齢者たちに隠された秘密
- 高齢者の「やる気」をめぐるやむなき実状
- 「やる気の前に立ちはだかる幾多のハードル
- 老害のほったらかしがまねく悲しき未来
- 幸福を呼ぶためのコツは「変化への適応」の積み重ね
- 第3章 「老害」にならないために必要なこととは
- その買い物パターンは老害の前兆かもしれない⁉
- 老害化対策の第一歩は自身の変化に「気づく」こと
- 「若くありたい」と「実際に若い」の大きな違い
- どうやったら加齢変化に気づくことができるのか
- 有効視野が狭くなると思考の柔軟性までが落ちる
- 有効視野を広げるトレーニングで老害思考からの脱却を
- 記憶を引き出す力を鍛えてコミュ力をアップ!
- 非老害の”お手本”に寄せていく努力と工夫がカギ
- 自分をよくみせる演出は偽りでも騙しでもない
- 基本のコツを押さえたら次なるステップへ
- 第4章 家族の壁 こういう人が家庭内で問題を起こす
- 無意識のうちに家族に甘えすぎていないか
- 長年連れ添った伴侶を困らせる身勝手系の「老害」
- 味付けが薄く感じるのは料理のせいではない
- 「家族の壁」を解消に向かわせる3つのポイント
- 実態と前提を知れば妥協点が見えてくる⁉
- 塩分量を変えずに塩気を感じさせる奥の手
- デリケートな臭い問題は家族でも指摘しづらい
- 臭いにまで配慮が及ばない面倒くさがりの「老害」
- 染みついた習慣と肌の変化が壁をつくる”原料”に
- 体臭だけをケアすれば万事OKではない!
- 老害家族問題解決の最善策はメリットをやさしく伝えること
- なんでも他人任せにするのは悪手中の悪手
- 手間や努力を自分の領域から排除している「老害」
- 年をとると加速度が増す家族への依存度合い
- 人生の重要な場面で騙されないようにするためには
- 「自分で調べるといいことがある」の波状攻撃が有効
- 今一度「親しきなかにも礼儀あり」の意識喚起を
- 無意識のうちに家族に甘えすぎていないか
- 第5章 仲間の壁 何が友人や知人との距離を遠くするのか
- 古い記憶は美化されやすいことを肝に銘じる
- 「人のふり見て我がふり直せ」が模範解答
- 否定をするなら相手の意見を聞いてから
- 聴力と短期記憶力を過信すべからず
- 親しさは距離感を詰める理由にはならない
- この世には相手に嫌がられる親切も存在する
- 自信を持つのは悪くないが出しすぎには注意
- 変えられない価値観の押しつけはご法度
- 第6章 社会の壁 あなたの生きづらさを加速させるもの
- 店員さんにイラっとしたときこそ冷静に
- 焦っているときほど「視野を広く」を意識
- 若い人たちとは「教えられてきた常識」が違う
- 移り変わる一般常識を知るために老害レベルが下がる
- あとがき
書籍紹介
1. 老害とは何か?
まず、平松類は「老害」という言葉の意味を丁寧に解説します。この言葉は時に誤解を招きやすいですが、著者はこれを単なる年齢差別的な用語としてではなく、シニア世代が陥りやすい思考や行動パターンの問題として捉えています。これにより、読者は自己反省のきっかけを得られるでしょう。
2. 共感とコミュニケーションの重要性
著者は、他の世代との共感を深めることの重要性を強調します。具体的な例を交えながら、どのようにして若い世代と建設的な対話を行うかについてのヒントを提供しています。例えば、最新のテクノロジーやトレンドに興味を持つこと、相手の意見を尊重することなどが挙げられます。
3. 柔軟な思考と適応力
年齢を重ねるとともに固定観念に囚われがちになることを指摘しています。これに対抗するためには、常に新しいことに挑戦し、学び続ける姿勢が重要です。本書では、具体的なエクササイズや実践的なアドバイスを通じて、読者が自らの思考を柔軟に保つ方法を学べるよう工夫されています。
4. 健康と生活の質
健康面でのアドバイスも充実しています。体力維持や栄養管理、ストレスの対処法など、老後を健康に過ごすための具体的なコツが紹介されています。これにより、読者は自分の健康を守りつつ、積極的に生活を楽しむことができます。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
何度も同じ話をする理由
同じ武勇伝を繰り返し話す高齢者は多いです。
人間は加齢に伴い記憶力が低下していきますが、50代から70代で記憶のピークを迎えると言われています。しかし、低下する記憶力と低下しない記憶力は別々に分かれています。
特に20代前後の記憶は残りやすく、昔の話はなかなか忘れません。長期的な記憶は、短期的な記憶よりも色褪せにくいと言われています。
そのため、嫌な記憶は忘れ去られ、結果的に覚えている話をすることが多くなり、周囲には「お決まりの自慢話」に聞こえてしまうことがあります。
「やる気」の前に立ちはだかる幾多のハードル
新しいことに挑戦するのが、年齢を重ねるごとに億劫になります。身体の変化が意欲に追いつかないからです。
例えば、歩行速度が遅くなり、以前のようにスムーズに体を動かせなくなります。移動を考えただけで、思い通りに体が動かないことに対する精神的なダメージを感じます。
また、時間の進み方が速く感じるようになります。60秒を数えてストップウォッチを止めると、70代になると30秒前後で止めてしまうことが多いです。行動に時間がかかるため、待てなかったり焦ったりして、物事をうまく進められなくなります。意識が散漫になるのも無理はありません。
さらに、体力の低下により病気にかかりやすくなり、アクティブに体を動かす気力を保てなくなることもあります。
どうしたら加齢変化に気づくことができるか
テレビの音量を上げることが多くなったら、聴力が低下している可能性があります。
新聞やスマートフォンの文字を読むときに、すぐに疲れたり読むのが辛くなったりするなら、視力が低下している可能性があります。
料理の味が薄く感じたり、調味料を多く使うようになったら、味覚が変わってきているかもしれません。
日常には加齢による変化を示すサインが散らばっており、これらは同時に老害になる可能性を警告してくれています。加齢の変化に気づくことなくして、老害化を防ぐことはできません。
記憶喚起スイッチ
自慢話ばかりする人に対して、直接「良いことばかりじゃないでしょ」と言うと、気分を害してしまうかもしれません。
思い出話をするときには、昔の思い出の品を手に取ると記憶が鮮明に蘇ります。動画があればより良いですが、写真も十分効果的です。
「回想法」は、記憶を辿りながら思い出を鮮明にする方法で、認知症の予防にもなります。親子で思い出を語り合うと良いでしょう。