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目次
書籍情報
デジタル・テクノロジー経営入門
デジタル技術とIoTの進化が企業経営に与える影響とは何か
発刊 2024年3月30日
ISBN 978-4-496-05705-2
総ページ数 268p
松崎和久
同友館
- はじめに
- 第1章 デジタルとは何か
- 国家のデジタル競争力
- アナログとデジタルの違い
- デジタル技術の進歩
- デジタル・トランスフォーメーション
- デジタルが切り開く新たなビジネス空間
- コラム デジタル・マインドセット
- 第2章 半導体
- 半導体とは何か
- 半導体の役割
- 半導体のモノづくり
- 日の丸半導体の凋落と復活
- 半導体戦争のゆくえ
- コラム 微細化とナノメートル
- コラム TSMCとASML
- 第3章 デュアル・ユース技術
- デュアル・ユースとは何か
- DARPAによる非連続なイノベーション
- アポロ計画とムーンショット
- コラム 経済安全保障
- コラム 中国の国産化戦略
- 第4章 人工知能
- 人工知能の歴史
- 人工知能が切り開く未来
- 生成AI
- 量子コンピュータ
- 自動運転
- 人工知能の進化がもたらす恐怖
- コラム ハルシネーション
- コラム ディープフェイク
- コラム 人工知能 対 人間
- 第5章 ロボティクス
- 産業用ロボット
- 世界の産業用ロボットの主要国
- 産業用ロボットのニューウェーブ
- ヒト型ロボットの開発競争の激化
- サービスロボットの進化
- 日本の少子高齢化現象とロボティクス
- コラム ドローン技術
- 第6章 3Dプリンター
- 生産と消費の統合にフォーカスするアプローチ
- 3Dプリンターとは何か
- デジタル・ファブリケーションのインパクト
- コラム 3Dプリンターは普及するのか?
- 第7章 IoT
- IoTとは何か
- IoTによる価値創造
- 製造業の発展とIoT化
- スマート・コネクティッド製品
- IoTの残された課題
- コラム コマツのスマート・コンストラクション戦略
- コラム 「情報セキュリティ 10大脅威」と「システム障害のリスク」
- 第8章 アナリティクス
- 直観力vs分析力
- アナリティクス3.0
- アナリティクスで競争する企業への発展段階
- アナリティクスを武器に競争する日本企業
- コラム スポーツの世界で広がりを見せるアナリティクス
- 第9章 データ・ドリブン経営
- なぜデータなのか
- データに基づいた問題解決
- 企業によるデータ利活用の実際
- 求められるデータ・サイエンス人材
- 第10章 デジタル化と雇用
- 現代の雇用の変化
- 機械化を巡る日本と西洋の違い
- テクノロジーによる雇用崩壊
- テクノロジーによる雇用創造
- テクノロジーによる失業と雇用のバランス
- コラム 生成AIの普及と失業、就活、学び直し
- コラム AI人材のタイプ
書籍紹介
デジタル・トランスフォーメーションが企業の生死を分ける時代、経営者やビジネスリーダーはどのようにしてデジタル技術を駆使し、競争優位を築くべきでしょうか。そんな問いに対する包括的なガイドとなる一冊です。同友館から出版された本書は、経営とデジタル技術の交差点に立ち、現代のビジネス環境における成功の鍵を探ります。
デジタル技術の基礎から応用まで
まずデジタル技術の基本的な概念をわかりやすく解説することから始まります。IoT(Internet of Things)、AI(人工知能)、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなど、現代のビジネスで不可欠な技術がどのように機能し、どのように企業活動に応用できるのかを詳細に説明しています。
これらの技術を理解することが、デジタル時代の経営において必須であると強調します。単なる技術の知識にとどまらず、それをどのように戦略的に活用するかが重要であることを、具体例を交えながら解説しています。
実践的なアプローチ
本書の魅力の一つは、その実践的なアプローチです。単に理論を述べるだけでなく、実際の企業の成功事例や失敗事例を通じて、読者が直面するであろう現実的な課題に対する洞察を提供します。例えば、ある企業がどのようにしてデジタル技術を活用し、新たな市場を開拓したのか、またはどのような失敗を犯して教訓を得たのかなど、具体的なケーススタディが豊富に含まれています。
未来を見据えた経営戦略
デジタル技術がどのように進化し、将来的にビジネスにどのような影響を与えるかについても詳述しています。テクノロジーの急速な進化に追随するための方法や、新たなビジネスモデルの構築、変革に対応するための組織文化の育成など、未来志向の戦略が具体的に示されています。
読後感と総評
経営者やビジネスリーダー、さらにはデジタル技術に興味を持つすべての人にとって貴重な一冊です。松崎和久氏の洞察力と豊富な事例を通じて、読者はデジタル時代における経営の新たな視点を得ることができるでしょう。
戦略的な資産として捉える重要性を教えてくれます。デジタル時代の経営における「入門書」としての役割を果たしつつも、その内容は初心者から中級者、さらには上級者まで幅広い層に対応しており、多くの学びを提供してくれるでしょう。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
半導体戦争のゆくえ
中国の半導体技術が軍事転用され、軍事力の強化につながることに対し、米国は強い懸念を示しています。これを受けて、米国は対中輸出規制を強化し、中国の通信大手ファーウェイやファウンドリの中芯国際集成電路製造(SMIC)を禁輸リストに追加しました。さらに、材料や半導体製造装置の対中輸出規制も強化し、中国の技術進歩を抑えようとしています。
米国は、日本や台湾との連携を強化し、新たな半導体サプライチェーンの構築を急いでいます。中国による台湾有事を想定し、先端ロジック半導体の量産拠点を台湾だけに集中させるのではなく、米国の信頼できる複数の国に分散させることで、地政学的リスクを減少させることを目指しています。
こうした米国の動きに対し、中国は半導体の国産化を進めています。現在の5%から75%まで引き上げることを目標に、国を挙げて半導体産業の強化に取り組んでいます。
日本の少子超高齢社会とロボティクス
日本が得意とするのは、ハイテク・ロボットを活用して超高齢化社会に対応することです。
農業分野では、温室内での農作物の摘み取りや収穫を行うロボットによる効率化が進んでいます。飲食業界でも、チャーハンやパスタを調理するロボットが開発されました。
また、介助を支援するロボットの開発も進んでおり、ロボットを活用した働き方の実現が長年の課題となっています。日本が生み出してきた数々のイノベーションは将来有望であり、今後も開発を続けていく必要があります。
IoTと生産力
製造業のIoT化における事例として、自動車部品メーカー大手のデンソーの取り組みを紹介します。デンソーは2016年に、グループ全体の生産性を向上させるため、世界にある130の工場の情報を連携させました。これにより、多種多様な知識にアクセスできる環境を整え、生産力を30%向上させることを目指しています。
この計画では、世界中の人、物、設備から得られる「設備不具合の予兆」や「熟練者のノウハウ」など、多くのデータや情報を、必要とする人が必要な時に利用できるようにすることを目指しています。
日本には世界シェア60%以上を誇る商品が多くありますが、これらの産業の強みを活かすことで国際的にも有利になるでしょう。
データ・サイエンスの人材不足
顧客のWebカタログ閲覧状況に基づいて最適なタイミングでアプローチするデータ・ドリブン経営が注目されています。
コンビニ大手のローソンは2021年から「K1シリーズ」というデータ分析ソフトを導入し、機器の名称や日販数値、バッテリーの残量まで機械学習で解析しています。
データの流通量は急増し続けていますが、日本におけるデータサイエンティストの人材は国際比較で少ない状況です。アメリカや中国では年々増加しているのに対し、日本は減少傾向にあります。先進国の中で、データを扱える人材の数が最低レベルにあることは間違いありません。
データを扱う分野では、働く人が少なく、他国に比べて大きく遅れていると言わざるを得ません。