この座右の銘が効きまっせ!/著者:仲野徹

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※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

書籍情報

タイトル

仲野教授の この座右の銘が効きまっせ!

発刊 2024年3月19日

ISBN 978-4-911226-01-8

総ページ数 254p

著者

仲野徹

内科医から研究の道へ。
ドイツ留学、京都大学医学部講師、大阪大学微生物病研究所教授、大阪大学大学院医学系研究科病理学教授を経て、2022年に退官し、隠居の道へ。

出版

ミシマ社

もくじ

  • はじめに
  • 第一幕 座右の銘、よりすぐり
    • 1 ついに学ばずして終わるは、学んで忘るに如かず
    • 2 何かを得れば、何かを失う。そして何ものをも失わずに次のものを手に入れることはできない
    • 3 いややなぁと思うような仕事ほど引き受けたほうがよろしいで
    • 4 Part of being a big winner is the ability to be a big loser.
    • (偉大なる勝者たるには、偉大なる敗者たれ)
    • 5 専門のことであろうが、専門外のことであろうが、要するにものごとを自分の頭で考え、自分の言葉で自分の意見を表明できるようになるため。たったそれだけのことです。そのために勉強するのです。
    • 6 確実に予見できる出来事が一つだけある。それは、自分がいずれ死ぬということである。
  • 第二幕 座右の銘すなわち人生
    • 7 Do not lie, if you don’t have to.
    • (嘘はつくな、必要がない限りは)
    • 8 世界は「使われなかった人生」であふれてる
    • 9 人みなの よしといふとも われひとり よしと思わねば よしとは云わじ われひとり よしとおもわねど 人みなが よしとし言はば よしと思はむ
    • 10 手間はミニマム vs 横着は敵
    • 11 神よ 変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。変えることのできないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えたまえ。
  • 第三幕 座右の銘がとまらない
    • 12 The sun’ll come out tomorrow. Bet your bottom dollar that tomorrow there’ll be sun.
    • 13 夢みて行い、考えて祈る
    • 14 しんどいのは君だけと違うんや
    • 15 座右の銘はない
    • コラム この本ができるまで
  • 第四幕 こんな座右の銘は好かん!
    • 16 若い時の苦労は買ってでもせよ
    • 17 努力は人を裏切らない
    • 18 石の上にも三年
    • 19 成らぬ堪忍するが堪忍
    • 20 為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の 為さぬなりけり
  • 第五幕 座右の銘をお寄せください
    • 21 急がば回れ
    • 22 山よりでっかいシシは出ん
    • 23 魚心あれば水心
    • 24 明日、世界が滅びるとしても、今日、あなたはリンゴの木を植える
    • 25 生きてるだけで丸もうけ
  • 第六幕 深遠なる座右の銘問題
    • 26 沈黙は金
    • 27 学問に王道なし
    • 28 あきらめない
    • 29 果報は寝て待て
    • 30 終わりよければすべてよし
  • おわりに

紹介

 仲野教授が長年にわたり集めた座右の銘を一つ一つ丁寧に解説し、それぞれの言葉がどのように日常生活に役立つかを語るものです。各章では異なる座右の銘が取り上げられ、その歴史的背景や、なぜそれが今の自分にとって重要なのかが綴られています。また、仲野教授自身のエピソードが交えられることで、理論だけでなく実生活での応用例も豊富に紹介されています。

 仲野教授が長年にわたり集めた座右の銘を一つ一つ丁寧に解説し、それぞれの言葉がどのように日常生活に役立つかを語るものです。各章では異なる座右の銘が取り上げられ、その歴史的背景や、なぜそれが今の自分にとって重要なのかが綴られています。また、仲野教授自身のエピソードが交えられることで、理論だけでなく実生活での応用例も豊富に紹介されています。

 人生の指針を求めている人、日常に新たな刺激を求める人、または単純に生活に彩りを加えたいと思っている人に特におすすめです。仲野教授の親しみやすい語り口と、深い洞察が融合されたこの一冊は、多くの人々にとっての良き指南書となるでしょう。

 日々の生活に根ざした実用的な知恵が詰まった書籍です。ただの教訓集ではなく、一つ一つの言葉に込められた深い意味と、それをどう生活に活かすかが明確に示されており、読むだけでなく生きるヒントを得られる一冊です。興味深い座右の銘とともに、新たな自己発見を求める読者には最適な選択肢かもしれません。

確実に予見できる出来事が一つだけある。それは、自分がいずれ死ぬということである。

 遺伝子発現調節のオペロン説でノーベル賞を受賞したフランス人生物学者、フランソワ・ジャコブがその著書『ハエ、マウス、ヒト―一生物学者による未来への証言』(みすず書房)で述べています。

 人間は死んでしまえば、最後は骨だけとなり、残るのはスカスカの状態のリン酸カルシウムの塊に過ぎません。

 この本のサブタイトル「虚無から始める人生論」にもあるように、人生に意味などは存在しないと彼は説明します。この虚無の境地に立つからこそ、私たちはやりたいことを追求しようという気にさせられます。それは素晴らしい教えです。

 人間は、長い時間軸で物事を考えるようにはできていないようです。しかし、氷河の上に立ったときに時の流れを実感することができました。山岳地帯では1年間にたった10メートルしか時間が進まないのです。人生を100年とすると、それはわずか1キロメートルです。時間をこのように視覚化すると、小さなことで悩むのがばかばかしく感じられるようになります。

「他人に左右されず、自分らしく生きる勇気を持てばよかった」
「あんなに働かなければよかった」
「自分の感情をもっと表に出す勇気を持てばよかった」
「もっと友達といっしょにいればよかった」
「もっと自分自身を幸せにすべきだった」

 周囲からどう思われていたかはわかりませんが、主観的にはうまくできていなかったように感じています。考えを改め、このような後悔をしないように心がけています。

手間はミニマムvs横着は敵

 『手間はミニマム』。人生が思っていたより短いと感じていたため、若い頃からできるだけ効率的に生きるよう心がけてきました。

 世の中には無駄なことが多く存在します。事務仕事にもその傾向が強く、迷惑をかけない程度に効率化を図り、手を抜くことを心掛けていました。

 ただ、その限界もあります。手間を省きすぎると、逆に大きな問題を引き起こすこともあります。そのため、手間を省く際には自分に問いかけることが重要です。「これはただの横着ではないか?」と。『横着は敵』でもあるのです。

 この2つの座右の銘を使用する際には注意が必要です。これらの言葉は自問自答に留めておくべきです。考えを変えない相手に向けてこれらを発するのは避けるべきで、そうしないと相手を怒らせる可能性があります。

夢みて行い、考えて祈る

 一生において大事な決断をする際には、『夢みて行い、考えて祈る』ことが重要だとされています。この順序を間違えてはならないと強調されています。

 考えすぎて何も行動せずに終わることが多いためです。全く考えずに行動するのは無理でしょうが、考えすぎずにまずは行動することが重要です。

 現在、情報が溢れているため、この順序の重要性はさらに増しています。集めた情報に圧倒されて躊躇することが多いかもしれません。行動から得た結果を基に考えることで、新たな夢が湧き出ることもあります。

 祈るだけで何かが変わるわけではありませんが、人は祈りたくなるものです。最後に「祈る」という行為が、ロマンを感じさせてくれるのです。

沈黙は金

 『沈黙は金』という言葉は、心理的安全性が低い組織において、何も言わないことを正当化するために非常に便利です。この言葉は日本でも受け入れられやすいかもしれません。

しかし、このフレーズの完全な形は『雄弁は銀、沈黙は金』で、日本独自のものではなく、輸入された表現です。日本人の中には、雄弁な者が成功しているように見えるかもしれませんが、この言葉はもともと話術を重んじる外国で生まれたものです。

このことわざを翻訳するのは困難であり、辞書によって解釈に差があります。話すことも重要ですが、沈黙すべき時を見極めることが大切だという意味合いです。『沈黙は金』だけを使うのは適切ではありません。

さらに、19世紀のヨーロッパ(英国を除く)は主に銀本位制を採用していたため、『沈黙は金』よりも『雄弁は銀』が優れていると考えられ、誤解が広まってしまった過去があります。

この言葉を座右の銘にする際は、『雄弁は銀、沈黙は金』とセットで記憶し、適切な場面で沈黙を使い分けることが重要です。

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