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※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
目次
書籍情報
原価計算なるほど用語図鑑
発刊 2024年2月5日
ISBN 978-4-502-48571-8
総ページ数 131p
稲垣啓
上場企業のメーカー経理部門に勤務しながら税理士・中小企業診断士としても活動
「稲垣経営研究所」の名で更新しているnoteが難解な税金・経営分野を下手かわいいイラストでわかりやすく伝え、人気を集める
中央経済社
- はじめに
- 第0章 原価計算はなぜ大事?
- 価格転嫁
- 成行価格
- 価格交渉
- コンサルティングのツボは原価計算にあり
- 第1章 原価計算のキホン用語
- 原価計算
- 原価計算基準
- 非原価項目
- 原単位
- 実際原価計算
- 製造原価報告書
- 直接原価計算
- 総原価
- 制度会計と管理会計
- 第2章 費目別計算のキホン用語
- 材料費
- 先入先出法
- 後入先出法
- 平均法
- 継続記録法
- たな卸計算法
- 労務費
- 直接工
- 原価計算期間
- 経費
- 設備費
- 設備費は価格交渉との相関もある
- 第3章 部門別計算のキホン用語
- 原価部門
- 部門費(製造間接費)
- 直接配賦法
- 階梯式配賦法
- 相互配賦法
- ミスを起こさない仕組みづくり
- 第4章 製品別計算のキホン用語
- 個別原価計算
- 製造指図書
- 原価計算表
- 総合原価計算
- 完成品換算量
- 等級別総合原価計算
- 組別総合原価計算
- 工程別総合原価計算
- 仕損
- 減損
- リモートワーク下の製品別計算
- 第5章 標準原価計算のキホン用語
- 標準原価計算
- 標準原価
- 原価差異(標準直接材料費)
- 原価差異(標準直接労務費)
- 原価差異(製造間接費)
- 伝統的原価計算にこだわりすぎると
- 最新原価計算のキホン用語
- CVP分析
- ABC(活動基準原価計算)
- ABM(活動基準コストマネジメント)
- 部品表積上原価計算
- 原価企画
- 原価維持・原価改善
- 炭素会計(カーボンアカウンティング)
- 工場と研究所では、コスト管理を変えるべき…?
- おわりに
はじめに
新卒から製造業の経理部に20年余り在籍し、決算業務や原価計算など、幅広く担当してきました。強く思うのは、「原価計算は会社経営の要だ」ということです。原価計算がアバウトだと、経理のすべての数字が信頼おけないものになってしまいます。
原価計算に対する苦手意識を払しょくできるコンテンツをつくりたいと思い、noteで発信してきました。多くの方に評価していただいたため、出版する運びになりました
原価項目
4つの本質から判断
1.経済価値の消費
2.一定の給付に転化
3.経営目的に関連
4.正常なもの
経営過程で消費された経済的価値
経営過程とは、材料の購入、加工、物流、販売代金回収するまでの一連の価値を生み出すビジネスプロセスです。
このプロセスにおいて、消費された価値を貨幣価値に置き換えたものが原価となっています。
一定の給付にかかわらせて把握されたもの
給付とは、企業活動によって作り出される財貨やサービスのことです。
製造活動でもたらされる生産物「製品」「半製品」「仕掛品」が給付となっています。このとき消費される材料費、労務費、経費は原価です。
経営目的に関連したもの
経営の目的に関連しない財務活動や利益剰余金に関する支出は原価ではありません。
借入金利息などの財務費用や、営業外費用である固定資産の減価償却費などは原価ではないのです。法人税や配当金などの原価ではありません。
正常的なもの
正常な状態における経営活動を前提として把握された価値の消費でなければ、原価ではありません。
経費
経費=製造原価ー材料費ー労務費
経費は、消費額の計算方法の違いから、4つに分類することができます。
1.支払経費
外注加工費、修繕費
2.月割経費
減価償却費、賃借料
3.測定経費
電力・ガス・水道代
4.発生経費
たな卸、消耗費
支払経費
1か月間における支払額を消費額とする経費をいいます。
外注加工費、特許権使用料、旅費交通費などです。
月割経費
一定期間の発生額を月割りして計算した金額をその月の消費額とする経費をいいます。
減価償却費、賃借料、保険料などです。
測定経費
測定経費とは、メーターで測定した消費量をもとに計算した金額をその月の消費額とする経費をいいます。
電気代や水道代です。
発生経費
発生経費とは、その月の発生額を消費額とする経費をいいます。
発生経費、たな卸減耗費などです。
標準原価
実際原価との原価差異を管理する
あらかじめ目標となる原価を決めます。この標準原価は無駄や非効率を省いた場合の原価です。その標準原価と実際原価を比べて差異を知ることができます。無駄や非効率を改善する指標です。
①原価標準の設定
原価標準とは、製品1個当たりの目標原価のことをいいます。
通常、直接材料費、直接労務費、製造間接費に分けて設定し「標準原価カード」にまとめられます。
②標準原価の計算
原価標準に基づいて、完成品原価や月末仕掛品原価を計算します。
月末仕掛品および月初仕掛品の加工費を計算するときは、数量を完成品換算量を用いて算出してください。
③実際原価の計算
当月において実際にかかった直接材料費、直接労務費、製造間接費を計算します。
④原価差異の計算、分析
当月の実際原価と標準原価を比べて、原価差異を計算します。その原因を分析しましょう。
⑤原価報告
原価差異の内容を経営管理者に報告し、必要に応じて原価の改善を行います。
原価企画
サプライチェーンは、製品の原材料・部品の調達から販売に至るまでの一連の流れを指す用語です。このサプライチェーンにおける原価管理活動を「原価企画」といいます。
製品製造の企画段階で、あらかじめ原価を管理して見積もる仕組みです。
商品企画や設計、試作などの開発初期段階の決定によって、大きく見積もりが左右されます。適切に原価を管理するためには、初期段階が大事なのです。
原価企画で設計が決まると、決められた設計上で原価維持や原価改善を頑張っても限界があります。
原価管理は1963年にトヨタがはじめて採用し、利益を向上させました。今では多くの企業が導入しています。