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目次
書籍情報
アマゾン、ヨドバシ、アスクル……
最先端の物流戦略
発刊 2024年2月29日
ISBN 978-4-569-85655-1
総ページ数 205p
角井亮一
株式会社イー・ロジット 取締役会長
物流全般のコンサルティング・セミナー活動などを行う
PHP研究所
- 序章 なぜ今、他社の物流戦略を学ぶのか?
- 物流戦略とは、ビジネスモデルの構築と同義
- 御社の経営者は、物流の重要性を理解していますか?
- 先手を打つ優良企業たち
- 物流で開いた「企業格差」
- 物流戦略が定まらないと何が起きるのか?
- 意思統一に役立つ「物流戦略の4C」
- ここを意識して読んでほしい
- 第1章 送料有料時代に負けない「ヨドバシカメラ」のビジネスモデル
- 「送料無料神話」の崩壊
- 業界3位、ヨドバシカメラの成長ポテンシャル
- 業界2位に肉薄するヨドバシカメラの「出店戦略」
- ヨドバシカメラのここがすごい!①リアル店舗とECの一体化
- ヨドバシカメラのここがすごい!②顧客との接点を継続してつくる
- ヨドバシカメラのここがすごい!③「エクストリーム便」
- ヨドバシvs.アマゾン すごいサービスはどっち?
- 売上高「1兆4000億円」を目指す、今後の展望
- 第2章 「ファーストリテイリング」は、なぜ物流会社を目指すのか?
- 「われわれは物流会社になる」_柳井氏による発言の真意
- ムダな商品を「つくらない・運ばない・売らない」
- 世界の有名アパレル企業と渡り合うファーストリテイリング
- アパレルの定説を覆した「ECへの道」
- ファーストリテイリングにおける「店舗とECの融合」の歩み
- 実店舗と役割は、「買い物の場」から「情報発信の場へ」
- 転換点となった「有明プロジェクト」
- アパレル業界が避けられないサステナブルへの対応
- 第3章 買い物の変化に翻弄される「アメリカ企業」
- 予想外の成長阻害要因に悩まされた「アマゾン」
- D2Cだけでは立ち行かない?
- アマゾンキラー「ショッピファイ」の誤算
- 投資リスクの少ない「物流の協業」を選ぶギャップ
- アマゾンの猛追に迫る「ウォルマート」の戦略
- どのようにして、「シーイン」は3兆円企業に急成長したのか?
- 第4章 人口減少時代の成長戦略「コープさっぽろ」と「セイコーマート」
- 「物流難」の環境が生んだ独自の進化
- 北海道のインフラ基盤「コープさっぽろ」の実力
- 「アマゾンにも負けない」コープさっぽろの強さ
- コープさっぽろの「少子高齢化」生き残り戦略
- 地域密着型コンビニ「セイコーマート」が熱烈に支持される理由
- セコマのここがすごい!①都市部と遠隔地で配送を使い分け
- セコマのここがすごい!②驚異の「積載率8割以上」を維持
- セコマのここがすごい!③自社グループ食品工場の運営
- 第5章 物流危機でも攻めの経営「アスクル」の勝算
- 市場拡大を狙う「アスクルが描く未来予想図」
- 20年で売上を4倍にしたアスクルの「ビジネスモデル」
- 創業者、岩田氏が考えた「物流ファースト」の原点
- 「オフィス用品のイメージ」から脱却する真の狙い
- 全顧客に送料負担を求めず、「送料無料の閾値」を設けよ
- 顧客が求めるのは、必ずしも「明日来る」ではない
- 「B2B」「B2C」物流統合への挑戦
- 第6章 コロナ禍を乗り越え、進化し続ける「アマゾン」の物流
- 3000億円の赤字でも、すぐに回復する「収益力」
- コロナ禍で、EC王者の勝ちパターンが変わった
- オンライン進出の失敗とテクノロジーの進化
- アマゾンの行動原理がわかる「3つの理念」
- アマゾンの物流を支える「3つの戦略」
- 「最短距離の動線」で低コスト化を実現
- 「即配達」を実現する4ポイント
- 終章 実践「物流の4C分析」
- 企業によって、最適な物流戦略は異なる
- 御社の物流戦略を考えてみよう
序章
物価高や人手不足でも、高収益を生む企業の強さの秘密は、ビジネスモデルにあります。
そしてビジネスモデルには物流戦略が深く関係するのです。
ロジスティックス(物流体制)強化し、サプライチェーン(製品や部品の調達から販売までの流れ)を整備して新しいビジネスを確立している企業を学ぶことは、物流を考えるヒントとなるでしょう。
ヨドバシvsアマゾン
アマゾンの場合、プライム会員(年間ライセンス)は配送料、配送オプションが無料です。
ヨドバシ・ドット・コムの場合は、基本的に非会員でも配送料、配送オプションが無料です。
アマゾンプライム会員には、プライムビデオ、プライムミュージックなどの付帯サービスが利用できるメリットがあります。
しかし、ヨドバシ・ドット・コムの配送無料サービスも小さいものではありません。
ヨドバシは、EC戦略を推し進めるためにクラウドやオープンソース、アーキテクチャを活用する必要があると説明しています。さらに、リアル店舗でのサービスを高めていくためのシステム開発もしたいと考えているようです。EC売り上げを、現在の3倍以上、EC比率50%を目指していると言われています。
アマゾンの成長阻害要因
アマゾンは、2022年決算での北米売上は前期比約13%増の3159億ドルでしたが、28億ドルの営業赤字に陥りました。大きな要因となったのは、コロナ禍におけるECの成長に対する見込み違いです。
コロナ禍で、それまでECサイトを利用したことがなかった人が、熱心なアマゾンリピーターになることはありませんでした。
ネット利用から実店舗での買い物に大勢が戻り、アマゾンは予期せぬ成長のブレーキがかかったのです。
もっとも2023年の決算では北米市場の営業赤字も黒字に転換しており、以前の成長軌道に戻っています。
セイコーマートが支持されている
北海道は人口10万人あたりのCVS店舗数が全国の都道府県でもっとも多いところです。それだけコンビニに頼りたい地域となっています。
北海道は広大な面積の中で、コンビニも人も点在しているので、コンビニもないと生活に支障がでます。
セイコーマートの場合、採算がとれなさそうな立地でも、自治体や地域からの要望に応じ出店することがあります。
コミュニティバスの待合所の併設とその清掃業務を受託するという条件で出店します。出店用地を地域住民が買い上げ、住民が用地を市に寄附したところに、無償でセイコーマートに提供することもあります。
コンビニが競争して店舗を確保しているのに対し、セイコーマートは直轄店を増やしていきます。
遠隔地などの配送を分け、行き帰りのトラックには荷物をなるべく載せています。自社で工場と物流センターを持っているので、定期的な配送ルートを確保しやすいのです。
アスクルの配送
アスクルは、B2BとB2Cの物流統治を諦めませんでした。いまでは宅配と企業配のどちらも対応できるというドライバーが増えているそうです。
LOHACOで、置き配をデフォルトにしたことで、一番ネックとなっている再配達の手間が無くなりました。
また、ドライバー支援アプリ「とらっくる」で、B2BとB2Cを交えた最適の配送ルートを構築できるようになっています。
しかし、まだ宅配の物流との統合がすんなり進んでいるとは言えない状態のようです。