発達障害のすべて/監修:山末英典

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書籍情報

タイトル

グレーゾーンの人でも役立つヒントが満載

精神科医が語る発達障害のすべて

発刊 2023年11月10日

ISBN 978-4-315-52749-0

総ページ数 139p

監修

山末英典

浜松医科大学精神医学講座教授。医学博士。

出版

ニュートンプレス

もくじ

  • はじめに
  • 発達障害について正しく知ろう
    • 発達障害は大きく三つに分けられる
    • アメリカでは発達障害の人が増えている
    • 日本では10人に1人がADHDかもしれない
    • 大人になってから気づくケースがふえてきた
    • 発達障害の原因は脳の発達のかたよりにある?
    • 発達障害がひきこもりのきっかけになる
    • 生涯があるか、自分で判断するのはむずかしい
  • 不注意や多動が目立つ「注意欠如多動病」
    • 注意欠如多動病(ADHD)の三つの特徴とは
    • 注意欠如優勢型は忘れ物や遅刻が多い
    • 多動・衝動性優勢型は落ち着くのが苦手
    • 症状が混合しているケースもある
    • 社会に適応できず、集団から孤立してしまうことも
    • 最新脳科学でせまるADHDのしくみ
    • ADHDの脳の大きさには特徴がある
    • ”ワーキングメモリ”の機能が低下している
    • ADHDは薬で治療できるのか
    • コーヒーブレイク 断捨離できないのはどんな人?
  • 意思疎通がむずかしい「自閉スペクトラム症」
    • 自閉スペクトラム症(ASD)の二つの特徴とは
    • ASDの人は空気を読むのが苦手
    • コーヒーブレイク 学生と社会人とでは、評価が真逆になることも
    • 子供のころにごっこ遊びができないことがある
    • 同じ動作をくりかえす、とはどういうものか
    • においや音、光にとても敏感になる
    • 脳の協調や共感にかかわる部分に違いがある
    • ASDには多くの遺伝子がかかわっている
    • ASDは女の子よりも男の子のほうに多い
    • 学校現場でとられている支援策
    • ASDの特効薬はまだ存在しない
    • 飛びぬけた才能をもつ発達障害の人もいる
  • 読む・書く・計算が苦手な「学習障害」
    • 学習障害(LD)の三つの特徴とは
    • LDの人は知能が低い、はあやまり
    • LDとADHDには、密接な関係がある
    • LDで最も多いのは「読字障害」
    • 文字が正しく書けない「書字障害」
    • 読み書きが苦手な人は、書きも苦手なことが多い
    • 算数障害は四つの能力で判断する
    • 算数障害の中でも能力にかたよりがある
    • LDの原因は脳の情報ルートにある
    • LDの子供は、長所をほめてのばそう!
  • 発達障害の人におこりやすい心の病
    • 発達障害の人はほかの心の病を抱えることも
    • ほとんどのASDは合併症をともたっている
    • 発達障害の人はうつ病になることも多い
    • てんかんの症状をともなう場合がある
    • 発達障害の人は睡眠障害も抱えやすい
    • 発達障害は依存症リスクも高い
    • 「チック症」と「トゥレット症」
    • コーヒーブレイク 言語や運動に関するさまざまな発達障害
  • 発達障害と上手につきあうために
    • 発達障害は親の子育てが原因ではない
    • まずは自分の特性をよく知ろう
    • 自分の特性に合わせて環境を調整しよう
    • 自分の特性をまわりに理解してもらおう
    • 発達障害向けの「集団精神療法」
    • 時間間隔を身につけるくふう
    • 集中しやすい環境をつくろう
    • 作業をパターン化しておくのも効果的
    • スマホや手帳でケアレスミスを減らそう
    • 整理整頓をうまくこなすコツ
    • スムーズに会話をするにはどうすればよいか
    • まわりの人の気遣いで、生きづらさがやわらぐ
  • 用語集
  • おわりに

はじめに

 発達障害にはさまざまな症状がありますが、大きく注意欠如多動症(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)、学習障害(LD)に分かれています。まだまだ誤解や知られていない部分があるのが実情です。

 本書では、発達障害を抱える本人、そのまわりの人が、日常を過ごすためにヒントを載せます。

まずは自分を知ろう

 発達障害の特性はASDとADHDとLD、そしてうつ病の混合型です。人それぞれ、症状が違います。

 特性が重複している人でも、生活に支障が出ない範囲であれば、自分の特性と折り合いをつけることができるのです。

 はっきり発達障害とも言えないけれど、健常でもない「グレーゾーン」の人も増えています。そんな人たちは、社会でうまく人間関係がつくれなくて悩むことが多いです。

特性に合わせて環境を変える

 自分の特徴を理解すれば、対人関係が和らぐこともあります。コミュニケーションに関しても自分にあった学び方ができるようになるのです。

 自分の能力を底上げすることが難しい場合は、特性があらわれない手段を考えましょう。コミュニケーションが少ない仕事を選んだり、絵をかいたりすることが得意な場合はPOP広告のイラストを描く仕事に就いたり、自分のこだわりが強いゲームや遊びに関わる職業や内職をやるなどの、自分を活かせる場所を探す方法が考えられます。

集中しやすい環境

 聴覚過敏、視覚過敏など、情報の多い環境では集中できない人がいます。ノイズキャンセリング機能のイヤホンで対応したり、必要なもの以外、机の上にないような環境で仕事をする必要があります。

 BGMやまわりの人の声なども気が散ってしまうこともあります。

 聴覚過敏の人は生活に支障が出るひともいるので、耳栓などのアイテムが必需品の場合があるのです。

作業のパターン化

 SDの特性をもつ人は、自分の決めた行動パターンにこだわりすぎています。仕事全体を客観的にみて、仕事の段取りを組み立てたり優先順位をつけることができません。

 事前に優先順位を決めていても、集中力が続かないことがほとんどです。大まかなことを決めておいて、並行して仕事を進めていくこともできます。飽きたら、ほかのことに切りかえて、効率よく進めるでしょう。

 やるべき作業のファイルを開いておいて、ワードで報告書、メールのやりとり、エクセルで伝票づくりなど、気の向いた仕事からこなしていき、おおまかなスケジュールを決めておけば仕事が前に進むかもしれません。

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