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目次
書籍情報
2050年の世界ー見えない未来の考え方
発刊 2023年7月19日
ISBN 978-4-296-11841-0
総ページ数 460p
ヘイミシュ・マクレイ
英インディペンデント紙経済コメンテーター。メール・オン・サンデー紙に経済・金融に関するコラムを執筆。
遠藤真美
日本経済新聞出版
- 日本語版への序文
- 世界の現在地
- 序章 2020年からの旅
- 未来について考える
- 経済予測の核
- 環境の課題
- テクノロジーの謎
- 社会のあるべき姿についての考え方は変わる
- 政治、宗教、紛争
- よりバランスのとれた世界か、よりカオスな世界か
- 旅のつぎのステージ
- 第1章 わたしたちがいま生きている世界
- アメリカ大陸_いまも未来の鍵を握る
- ヨーロッパ_最も高齢な大陸
- アジアの新興大国_中国とインド
- 日本と韓国・北朝鮮
- 東南アジアの「虎」
- アフリカと中東_世界で最も若い地域
- オセアニア_オーストラリアは幸運な国でありつづけれるか
- 今日の世界が明日の世界を形づくる
- 序章 2020年からの旅
- 変化をもたらす五つの力
- 第2章 人口動態_老いる世界と若い世界
- 世界人口は100億人に向かう
- 老いる先進世界
- 中国は縮み、インドは膨らむ
- アフリカの人口急増
- なぜ人口動態がこれほど重要なのか
- 第3章 資源と環境_世界経済の脱炭素化
- いくつもの懸念から一つの甚大な懸念へ
- 食料と水は足りなくなる
- 世界のエネルギー供給における地殻変動
- 都市化、生物多様性、ほかの天然資源への圧力
- 気候変動_なにが起きるのか、わたしたちになにができるのか
- 進むべき道
- 第4章 貿易と金融_グローバル化は方向転換する
- 2008~09年の金融危機が残した傷跡
- 国際貿易の性質の変化_財の貿易からアイデアと資本の貿易へ
- 金融と投資_新しい課題、新しい形のマネー
- 2050年の貿易と金融
- 第5章 テクノロジーは進歩しつづける
- つぎの30年に関する大きな疑問
- 斬進型の進歩の重要性はとてつもなく大きい
- 通信革命はどこまで進むのか
- なぜAIはこれほど重要なのか
- 監視社会
- ブレイクスルーはどこからやってくるか
- 第6章 政府、そして統治はどう変わっていくのか
- 民主主義への数々の挑戦
- 代表制民主主義はなぜ支持されなくなっているのか
- 民主主義の機能を高められるのか
- このまま手探りで進むか、民主主義を後退させるか、前進させるか
- 国際機関はどうなるのか
- 市場資本主義はどうなるのか
- 統治と社会の変化
- 政治に対する考え方と2050年統治
- 第2章 人口動態_老いる世界と若い世界
- 2050年の世界はどうなっているのか
- 第7章 アメリカ大陸
- アメリカ合衆国_偉大ななグローバルリーダー
- カナダ_多様性を享受する国
- メキシコ_世界の10大経済国へのいばらの道
- 南アメリカ_果たされない約束、数々の失敗、飛躍する可能性
- 第8章 ヨーロッパ
- ヨーロッパの夢は遠のく
- イギリスとアイルランド_いばらの道の先にある揺るぎない未来
- ドイツトベネルクス三国_小欧州の中核
- フランス_憂鬱な美の国
- イタリア_強いリーダーを求める
- イベリア半島_東だけでなく西にも目を向ける
- スカンジナビアとスイス_静かな繁栄
- 中央・東ヨーロッパ_ロシアと西側の両にらみ
- ロシア_世界最大の国を待ち受けるいばらの道
- トルコ_大きな機会と不安定な統治
- ヨーロッパのまとめ
- 第9章 アジア
- アジアの世紀
- 中華圏_世界におけるあるべき地位を取り戻す
- 香港と台湾_悩ましい未来
- インドとインド亜大陸_エキサイティングだが、道は険しい
- インドの隣国_パキスタン、パングラデシュ、スリランカ
- 日本_高齢化社会のパイオニア
- 東南アジア_危ういサクセスストーリー
- 第10章 アフリカ・中東
- 世界最速の経済成長がつづく
- サハラ以南アフリカ_雇用を生み出す
- 北アフリカと中東_アラブ世界
- 中東_安定を願い求める
- 第11章 オーストラリア、ニュージーランド、太平洋
- 幸運な国は一つではなく、二つになる
- ……そして太平洋_世界最大の海
- 第7章 アメリカ大陸
- 本書の大きな考え方
- 第12章 この先の世界を形づくる大きなテーマ_不安、希望、判断
- 確かなことと不確かなことのバランスをとる
- 10の大きな(主に前向きな)考え方
- 2050年の世界のその先に
- 第12章 この先の世界を形づくる大きなテーマ_不安、希望、判断
- 謝辞
- 原注
日本語版への序文
予測できないこともありますが、未来への旅を再開して、先を行けばいくほど、予想外のことが起こる可能性が高くなります。けれど、不完全な地図であっても、ないよりはずっといいのです。
過去に訪れた世界とはちがうので、誰もがしない経験をします。それぞれ、受け止め方は違うでしょう。
世界人口は100億人に向かう
世界の人口は、2019年には77億人になりましたが、2050年には100億人になる見込みです。
2020年には75億人~80億人になるだろうと言われていて、正しく予想できてことからも、なんらかの大惨事が起こらないかぎりは、おおむね正しいのではと推測できます。
2050年に100億人になるのであれば、環境への負荷、衣食住などの疑問がわいてきます。急増しすぎたアフリカの10代の若者に十分によい教育を与えていくことができるのでしょうか。
テクノロジーが進歩すれば先進世界の高齢市民が文化生活の質を維持しやすくなるのかも疑問です。
経済力のシフトも起こるかもしれません。ヨーロッパの人口が減り、インドが中国を抜いて世界で最も人口が多い国になり、アフリカの若者が急増すると、経済力の構図が変わります。
ブレイクスルー
突然、テクノロジーが飛躍的に進歩して、私たちの社会に大きな影響を与えるケースが考えられます。
エネルギーのブレイクルーが起きることは期待されているでしょう。石油、ガス、石炭のエネルギー効率は上昇しているし、自然エネルギーを活用したものも開発途上中です。原子力にいたっては非常に進歩しているが、失望も大きくなっています。
医療では、新型コロナウイルスなどが猛威を振るったことで、ワクチンの技術が飛躍的に上がりました。未知のウイルスや細菌に人間が追いつき、今後も制御できるかどうかです。平均寿命や健康なども、降下傾向になってもおかしくはありません。
農業はどうでしょう。食料生産を変革する圧力が大きくなるのは間違いありません。農業科学産業は、収穫量を増やすこと、過酷な環境にも耐える品種を開発することに取り組んでいます。先進世界の大部分は食事を調整しはじめており、その流れは新興国にも広がっていくかもしれません。
日本_高齢化社会のパイオニア
すでに地球上で最もクレイな社会となっています。高齢化はさらに進み、2050年には人口が1億人前後まで減ります。豊かな国でありつづけるが、労働力は総人口以上に速いペースで減少するため、高齢者がより高齢な人の面倒をみる国になります。
工場は高齢者のコミュニティに置き換わり、小さな町は放棄され、田畑は森に戻ります。
理論上では、大規模な移住があれば、人口の減少を遅くできるでしょう。しかし、実際にそうはなりません。相互援助の精神が日本の社会に根付いている限り、日本は世界から見れば異質な存在になっていくのです。
経済規模が相対的に小さくなっているにもかかわらず、日本は世界4位の経済大国でありつづけます。なによりも、高齢社会に直面する他の社会の手本でありつづけるでしょう。
日本の経済の構造には、ソフトウェアよりもハードウェアに強いという特徴があります。輸出可能なサービスよりも輸出可能な財の生産を得意としています。ですが、生産の最先端だった家電や車も世界で一強ではなっているのです。世界の最先端から遠ざかっているかもしれません。
幸運な国
この先、地球の未来で太平洋が果たす役割がぐっと大きくなると思われます。太平洋についてわかっていることは少なく、つぎの30年には多くのことが明らかになるはずです。
オーストラリアは幸運な国です。国土が広く、世界の多くの人がうらやむ文化があります。意味を引き寄せる磁石でありつづけ、アングロケイトのルーツから少しずつ離れていきます、人口は4000万人に向かい、若くて活気のある国でありつづけるでしょう。
工業や農業が経済に占める比重は下がっていき、教育、情報、娯楽へのシフトがさらに進みます。世界中の有能な人材が暮らし、働き、遊ぶところとして選ぶ場所の1つとなるでしょう。
光があるところには影もあります。気候が温暖化し、今以上に乾燥化が進む環境に対処しなければならなくなっています。希少な水質源を管理していくことや、住宅に強力なエアコンをつけるといった問題ではなくなっているのです。気候変動をどう逆転させるかは、オーストラリアにとっては大切でしょう。
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