発売日 2023年9月26日
ページ数 144p
ISSN 0286-0651
もくじ
- FOCUS
- 垂直な壁から離着陸できる飛行ロボット
- リチウムの「形」が電池の性能を上げる
- 過去の大地震の前兆現象発見か
- 火星の巨大火山は火山島だった可能性
- 電流で遺伝子を活性化
- 絶滅人類がえがいた洞窟壁画
- 北海道で新種のアンモナイトを発見
- 乳がんを引き起こす思春期の遺伝子異変
- 大人のほうが滑り台を速く滑るわけ
- ハダカデバネズミの長生きのひけつ
- 毎日入力する高齢者はうつになりにくい
- 植物が重力の方向を感知するメカニズム
- FOCUS Plus
- 生物学 日が長くなると排卵周期が安定する
- Super Vision
- NASAと東北大、「火星ヘリ」の翼を共同開発
- Newton Special
- 科学が好きになる 元素図鑑
- 記憶は脳のどこにあるのか
- 南天をいろどる美しき天体たち
- 素粒子物理学はここまできた
- 激変する地球
- Newton Special
- 大きな転換点をむかえる、空のテクノロジー 航空機の未来
- 連載 数式いらずの数学入門 確率論
- 動物解剖 イラストレイテッド
- 星ごよみ 10月の星ごよみ
- Newton Information
- 協力者略歴
- LETTERS
- 次号予告
- 編集後記
目次
Focus
話題の最新研究やニュースをコンパクトに紹介するコーナーです。
毎月いくつかの情報を紹介されています。ここでは個人的におもしろかった記事を、さらにコンパクトにしてピックアップします。
過去の大地震の前兆現象を発見か
ジャンル:地学
出典 The precursory phase of large earhquakes, Science
2023年7月20日
近年、地表付近で断層がゆっくり滑る「スロースリップ」という現象が、巨大地震の前兆現象なのではないかと注目されています。
今回、フランス、コートダジュール大学のブリトリー博士らは、過去におきたマグニチュード7以上の巨大地震90回と、その直前の48時間に観測されたスロースリップの解析しました。
GPSデータを用いて解析した結果、2時間前から震源の周辺で、スロースリップが急激に増加していることがわかったのです。また、スロースリップにおける断層運動の向きは、巨大地震を引き起こした断層のずれの方向と同じでした。
今回観測された断層運動は、数ミリメートルというわずかな大きさですが、将来、GPSによる観測地点をふやし、観測データの制度を上げることで、巨大地震の前兆を発見できる可能性があります。
大人の方が滑り台を速く滑るわけ
ジャンル:物理学
出典 立教大学プラスリリース
2023年6月6日
重力による加速度が質量によらず一定であることを示す実験で、「自由落下の一様性」と呼ばれるものがあります。これを応用すると、斜面の上をすべる物体も、質量によらず一定の加速度で滑ると考えれるのです。
立教大学の村田次郎教授と塩田将基氏が行った実験によると、回転するローラーがつらなった「ローラー式滑り台」を滑る物体では、質量によって加速度が異なるといいます。
滑り台に滑らせるおもりの量を変化させながらその運動を観測しました。結果は、物体の質量が大きいほど速く滑ったのです。よって、大人の方が子供よりも速く滑ることが説明できます。
今回の結果から、動摩擦係数は滑る物体の質量や速度によって変化する可能性があることがわかりました。しかし、一般的な金属板式の滑り台ではこの現象はみられなかったので、さらなる実験が必要だと田村教授は述べています。
毎日入浴する高齢者はうつになりにくい
ジャンル:医学
出典 東京都市大学プレスリリース
2023年7月24日
東京都市大学の早坂信哉教授らの研究チームは、毎日浴槽で入浴する高齢者はそうでない高齢者よりも、うつ病発症のリスクが低いことを発見しました。
浴槽に入浴する回数が週0~6回のグループと週7回以上のグループに分け、2016年時点でのうつ病の発症率を比較しています。
夏に毎日入浴する人は約20分の17、冬に毎日入浴する人は約4分3になることがわかり、入浴により自律神経のバランスが調整されたり、睡眠が改善したりすることが、予防につながっていると考えられるようです。
Super Vision
話題のニュースを紹介するコーナーです。
NASAと東北大、「火星ヘリ」の翼を共同開発
監修:野々村拓 東北大学大学院 工学研究科航空宇宙工学専攻 准教授
監修:浅井圭介 東北大学名誉教授
執筆者:編集部 板倉龍
NASAの火星探査車「パーサヴィアランス」は、2021年2月に火星に着陸しました。火星ヘリコプターの飛行は2023年4月までに50回を超えています。
NASAエイムズ研究センターの「ROAMX」チームは、次世代の火星ヘリコプターの開発も行っているチームです。そのチームが、宮城県仙台市に、東北大学での共同実験を行うためにやってきました。2023年8月に共同実験を開始しました。
開発するのは、火星で採取した土壌サンプルを輸送するヘリコプターが検討されています。
火星の大気は非常に薄く、密度は地球の約100分の1しかありません。その特殊な環境を再現し、火星の空を飛ぶ翼の翼断面性能を確かめることのできる装置が、東北大学が開発した「火星大気風洞」です。
NASAがめざす史上初の火星サンプルリターン計画において、重要な役割をになうことでしょう。
動物解剖
監修:大塚欲忠 日本獣医生命科学大学 獣医解剖学教室 准教授
執筆者:薬袋摩耶
ひづめは第二の心臓 ウマ
ウマはひづめが第二の心臓といわれています。ひずまは地面につけられると広がり、浮かせると元に戻ります。この伸縮によって静脈血の流れをうながしているのです。そのため、ウマは立てる状態であることが、生命維持にとってとても大切なことになっています。
ウマの心臓はとても大きく、競走馬であるサラブレッドでは体重の約1%もあります。(ヒトは約0.4%)。1回の収縮で心臓が送り出す血液量は800~900ミリリットルで、運動するときには血液が約1.5倍排出され、心拍数は250回まで増加します。
ウマは迷走神経が優位な動物で、安静時に不整脈が発生しやすい動物だと知られています。心拍に乱れが生じる疾患であり、運動で交感神経が優位になると、心拍数がふえるので正常に戻ります。
あばら骨のような甲羅をもつ カメ
カメの甲羅は、骨で作られた構造体です。甲羅はあばら骨と背骨がくっついて板の肩甲骨や骨盤をおおうように発達し、骨甲板と呼ばれています。骨甲板の表面は、角質甲板という薄いうろこでおおわれて2重構造になっているのです。骨甲板と角質甲板ではつなぎ目がことなり、甲羅が割れないように強度を高めています。
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