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目次
2022年3月18日講演録
本稿は、2022年3月18日にケ・ブランリ=ジャックシラク美術館で行われた講演の原稿を加筆訂正したものです。公園は民族学会の招きで行われました。
書籍情報
自然、文化、そして不平等
―国際比較と歴史の視点から
第1刷 2023年7月10日
訳者 村井章子
発行者 大沼貴之
発行 (株)文藝春秋
編集 衣川理花
装丁 関口聖司
DTP 言語者
印刷 理想社
製本 加藤製本
ISBN 978-4-16-391725-2
総ページ数 96p
トマ・ピケティ
パリ経済学校経済学教授。社会科学高等研究院(EHESS)経済学教授。マサチューセッツ工科大学(MIT)で教えています。
文藝春秋
- 自然の不平等というものは存在するか?平等への長い歩み
- 不平等および不平等を生む体制の歴史的変遷
- 所得格差
- 資産格差
- ジェンダー格差
- ヨーロッパにみられる平等への歩みのちがい
- スウェーデンの例
- 福祉国家の出現―教育への公的支出
- 権利の平等の深化に向けて
- 累進課税
- 債務をどうするのか?
- 自然と不平等
- 結論
- 参考文献
資産格差
作者: poosan
不動産、金融資産、事業用資産など資産分布はつねに所得よりずっと偏っています。
所得の場合、上位10%の所得が全体に占める比率は25%~70%の間です。それが資産となると、上位10%の資産が全体に占める比率は60%~90%となります。
下位50%の人々は全然資産をもっていないか、ほとんど持っていません。ヨーロッパ(特にフランス)では、下位50%の資産が全体に占める比率はわずか4%です。人口の半分が持っている資産がきわめて少ないことに変わりはありません。
ヨーロッパの平等をめざす動きは単独で起きたわけでなく政治的・社会的な闘争の中で生まれました。所得は一世紀をかけていくらか平等になったのです。
しかし、富の再分配は中位40%くらいにしか影響を与えなかったことがわかっています。
福祉国家
Image by Sabine van Erp from Pixabay
20世紀における平等への歩みを理解するには、福祉国家の出現は重要な要素です。
イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデンに関する限り、全体的な傾向はかなり似通っています。税収はGDP比10%を下回っていました。税収は基本的に、国内秩序の維持、財産権の保全、警察・司法の運用、植民地拡大に伴う国外への戦力展開の財源に充当され、国力維持と直接関係のない支出は最小限に抑えられていました。
医療や年金の支出が増えれば、他の支出を減らさなくてはなりません。その憂き目に遭ってきたのは、教育支出といえるでしょう。国内でも国際的にも新しく措置が必要とされています。
累進課税
Image by Steve Buissinne from Pixabay
累進課税制度は、フランス革命戦争の戦費調達の目的で1792年末から導入されました。すぐに打ち切られており、完全な比例課税だったのです。
所得税が累進課税制度に大幅に近づいたと言えるのは第一次世界大戦が勃発してからです。特にアメリカでは顕著でした。
アメリカは累進課税によって格差を大幅に縮めましたが、経済成長を阻害せずに、イノベーションを窒息させることもなかったのです。
レーガン大統領のときに税制改革で税率を引き下げられることがありました。経済が拡大することを期待されましたが、成長率は上がらずに成果をもたらさなかったことはたしかです。
自然
Image by ElasticComputeFarm from Pixabay
二酸化炭素排出量の世界分布はきわめて偏っています。気候変動が現在より一段と深刻化した場合、一部の国が他国に対して説明責任を果たすように求め、最終的にはそうした国との取引を見直すことになると考えられます。
世界の資産上位10%以上と中位、下位とを分けて、1人あたりの二酸化炭素の排出量をみてみると、上位東南アジアの10トン~上位北米の73トンと結果が出ています。下位は9.7以下、東南アジアでは1トンです。
この状況で、全ての人に同じ比率で排出削減を求めたら、不満が噴出することはあきらかです。したがって、排出量が多い人に排出削減をしてもらうという提案以外に二酸化炭素問題を解決する方法はないと思います。
結論
専門家は往々にして保守的です。歴史に学ぶことや比較に視野を広げることを怠り、狭い視野で問題を見ます。
問題を他人に丸投げしてはなりません。経済や歴史の知識と知恵を共有することによって、より民主的な社会と権力のよりよい配分をめざす運動の重要な一翼を担うことができると思います。
感想
サイト管理人
平等とか言う、ふわっとしたよくわからないテーマで項目ごとに論じています。
どん底に落ちた時の社会保障は国が補償を約束していますし、この本で語られる歴史をたどって累進課税などの帳尻合わせも現在に至っているわけです。
完全に平等な世界だったら個人の自由もないし、書籍によって「平等」の中身やバランスが変わります。定まっているものがなく、平等というところから考えるのは歪んでいて、理解ができない部分も多かったというのが正直な感想です。
この書籍がそこそこ売れているということは、まるで平等が自分の味方をしてくれているように考える人も多いのでしょう。
変わった資本主義の見方をみるなら、本書を読んでみてはいかがでしょうか。
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