※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
目次
はじめに
医療が発達したばかりに、自分で人生の終わり方を考えなくてはならなくなりました。
何もわからず、しゃべることもできず、寝たきりで、オムツして、点滴して、何年も生き続けることもあるのです。高齢者医療の現場で働く者は、だれ1人として自分にそのような最期を望んでいないでしょう。
2000年には、欧米で高齢者には点滴や経管栄養を勧めないという論文が出ています。食べなくなっても、点滴を行わないのが日本以外の常識です。
書籍情報
欧米に寝たきり老人はいない 増補版
-コロナ時代の高齢者終末期医療
宮本顕二
独立行政法人労働者健康安全機構 北海道中央労災病院名誉院長。内科医師。
宮本礼子
医療法人風のすずらん会 江別すずらん病院 認知病疾患医療センター長。内科・精神科医師。
中央公論社
苦痛の緩和とQOL向上
UnsplashのHiroshi Tsubonoが撮影した写真
高齢の患者に血液検査をしても、異常が見つかるのは当たり前です。異常があれば医師は何もしないというわけにはいきません。点滴の針が通らない人や、腎臓機能が悪ければ血液透析、呼吸困難であれば人口呼吸器といった具合に、なかなか死ねません。そこまで辛い思いをしてまで延命する意味があるのでしょうか。
欧米では、高齢者には苦痛の緩和が優先されます。血液検査、血圧測定、尿量の測定などは行いません。緩和医療の次にQOLの維持・向上が図られます。
最近になって、やっと高齢者の終末期医療の考えが浸透してきました。人間には寿命があり、年と共に衰えていくことを理解するべきなのです。
安らかな死
Image by Myriams-Fotos from Pixabay
家族の顔もわからなくなり、笑顔もなくなりました。食べる量が減ったので、家族に延命を望むかどうか聞いたところ、延命はしないで自宅で看取りたいとのことです。
お嫁さんは、点滴するものだと思っていたようで、けげんな顔をされていました。結局、点滴せずに数日後に眠るように無くなりました。亡くなる前日までバナナを少し食べていた程度です。「こんな穏やかな死に方もあるのですね」と、お嫁さんから感謝されました。
重度のアルツハイマー病の方で、大動脈瘤の手術をして、破裂する可能性がありました。腎臓も悪かったのですが、本人を苦しめることになると説明をしたところ、ご家族は透析を希望しなかったのです。
亡くなる数週間前からは、好きなアイスやプリンを少し食べる程度で、最後は目をつむり発語もしなくなり、穏やかに眠りにつきました。熱や痰はありません。
点滴や経管栄養をしなくても苦しむことはありません。これが本来あるべき最期の姿なのだと思います。
死は恐れない高齢者
Image by giselaatje from Pixabay
死について話してもほとんどの高齢者は怖がりません。苦しいのが嫌なのです。「時々、死んだ友達が足元に遊びにくる」とブラックジョークを飛ばします。
認知症でも、また喋れるなら自分の希望が言えるのです。早いうちに終末期医療について話し合っておくとよいでしょう。
また、ほとんどの方は「そんなことをしてまで生きていたくない」と言うはずです。
今の制度ですと、高齢者への延命措置の希望を聞いておかないと、本人の望まない医療が行われます。患者本人と家族を恥じえて話し合うことが大切です。
アメリカの医療費
UnsplashのLuke Stackpooleが撮影した写真
新型コロナウイルス感染で生死の境をさまよい62日間入院した70歳の男性に、181ページにおよぶ110万ドルもの請求書が届いたと、シアトル・タイムズが報じました。
アメリカでは、病気になると治療費はいくらか、自分で払えるかなど、体のことよりお金の心配をしなければなりません。
無保険者からの支払いが見込めないため、経営上の負担が大きく2020年4月以降に新型コロナウイルスに感染した無保険者の治療費は、連邦政府が直接医療機関に支払うことになりました。しかし、多くの無保険者が、治療費を肩代わりする制度の存在を知らないことです。
日本では新型コロナウイルスに感染して入院しても、医療費はかかりません。(2020年12月時点)関係のない病気でも高額療養費制度により、言っての自己負担限度額を超えた部分が払い戻されます。日本に生まれて良かったと心から思っています。
あとがき
日本では特別なことを希望しない限り、医療機関を自由に選べ、専門的診療もすぐに受けられます。そのうえ、安い医療費で高度の医療が受けられるのです。
日本の医療制度が国民皆保険で、非営利、公平、平等を基本理念としています。この制度のおかげで世界屈指の長寿国なのです。
この世界に誇る国民皆保険制度を破綻させないためにも、高齢書の終末期医療の在り方について、私たちは議論する必要があります。
感想
サイト管理人
日本の全介護施設の職員全員に読んでほしい書籍です。
「デメリットしかありせんが、延命措置を希望されますか」ということをケアマネージャーと医者とで説得できる環境は必要なのではないでしょうか。
施設の点滴の頻度多すぎるし、医者だって苦しませるだけの点滴治療をしたくないと思います。確実に良くないとわかっている風習については、変えるべきです。
というか、高額の医療費について問題視をしているなら、老衰と判断される症状に延命措置を希望する場合は医者の出張費を含んで全額自己負担にするなどの政策すれば、問題のある場所の解決と、国が払う医療費の軽減ができるのではないでしょうか。
親に介護が必要な人がいる場合は、一読しておいてほしい本です。
下にリンクを貼っておきますので、本書の購入を検討してみて下さい。
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