日本でいちばん大切にしたい会社8

※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

はじめに

 新型コロナウイルスによるパンデミック、ロシアによるウクライナアへの軍事侵攻、そんな不安定な時代であっても正しい経営をしてほしいとの思いで執筆しました。

 紹介する企業は、私たちに希望と勇気を与えてくれるでしょう。

書籍情報

タイトル

日本でいちばん大切にしたい会社8

第1刷 2022年10月26日

発行者 田賀井弘毅

発行 (株)あさ出版

印刷・製本 (株)シナノ

ISBN 978-4-86667-409-4

総ページ数 234p

著者

坂本光司

 経営学者。現在「人を大切にする経営学会」会長。
 中小企業経営論、地域経済論、障がい者雇用論。徹底した現場派で、これまで8000社を超える企業の実地調査・アドバイス・研究をつづけてきました。

出版

あさ出版

松川電氣株式会社

松川電氣株式会社
 静岡県浜松市で活動する電気設備工事の会社です。
 こころを豊かにする入社試験、社員とその家族を幸せにする施策、社会貢献活動、人のための経営を貫いて、地域を代表する電気設備工事の総合サービス企業に成長しました。

 松川電氣の施策をみていきましょう。

 責任者申し出制を採用しています。すべて社内公募で責任者を決めているのです。職位の下の人や若い社員が工事責任者に任命されることもしばしばあります。

 なぜ公募制なのかといえば、「お客様を感動させる施工は、その工事への思いが一番強いものが担うべきだと」と考えているからです。

 責任者を募り、立候補する人は工事に対する自分の思いや方法などをレポートを書いて社長に提出します。

 そして社長は完了後に、現場を施工検査して優良施工責任者には、表彰制度にそって労をねぎらっています。

おおこうち内科クリニックで本当にあった話

おおこうち内科クリニック
 愛知県稲沢市にある内科クリニックです。
 交通の便が良くない立地でありも関わらず、患者が遠くから訪れる医療内科です。「チームおおこうち」で、「全身を診る医療」と「心を癒すサービス」を追求しています。

 おおこうち内科クリニックの診療時間は朝9時からです。しかし、9時前にはもう患者が外で待っているケースがほとんどです。早いスタッフは7時30分頃に来るので、外で待っている人にはどんどん中の待合室に入ってもらいます。暑い中、寒い中、待っている患者はホッとすることでしょう。

 それだけではなく、大河内さんの妻である事務長が、来院される患者のお出迎えサービスをしています。雪が降ろうが、大雨だろうが伺うといった気合が入ったものです。

 おおこうち内科のこうしたサービスを受けた人から感謝の手紙がたくさん寄せられます。中には高齢の女性から弱々しい文字で書かれた温かい手紙があるのです。

ATUホールディングス株式会社

ATUホールディングス株式会社
 福岡県福岡市の警備会社です。
 「私は精神障がい者手帳をもっていますが、働き続けていいのでしょうか」と相談にきた社員がいました。副社長はその後、理想の警備会社をつくるために独立、価格で闘わない強い企業を創ったのです。

 ATUホールディングスは警備業です。社員数は57名、創業したのは今から10年前の2012年という若い会社となっています。事務処理のスタッフが不足したわけでもないので、障がいのある人を面接したその日に正社員として採用することなど、なかなかできることではありません。

 けれど、「仕事は本人の特性を見極めて、後から作ればいいのです。視覚障がいのある入社希望の人が、目の前にいて、断ることなどできるはずがありません」そう考えたそうです。

 採用した後、高いパソコン知識があり努力家であることがすぐにわかりました。1日も休まず出社し、良い仕事をしてくれています。

 コロナ禍に突入し、三密対策などが実施されるようになりました。本人は出社してくれる意思があるようですが、少し不安もあるようなことを言っていたのです。

 ある日、仕事が終わって代謝し、バス停に向かう後ろをこっそりついていきました。バス停ではブロックにつまずいて転びそうになっていましたが、誰も助けてくれません。しばらくの間は在宅勤務にすることを決断したました。

静岡県セイブ自動車学校

静岡県セイブ自動車学校
 静岡県浜松市の自動車学校です。
 親と離れたさみしさ、貧しさを経験し、人を助ける温かみのある経営をめざしてきました。児童養護施設で育った子供たちへの免許取得支援制度を早くからスタートさせつつ、全国でも有数の自動車学校に成長させてきたのです。

 元経営者に疎んじられて辞めさせられた早川さんなら再建ができるのではないかと考えて、元の会社から戻ってきてほしいと頼まれていました。

 準備が進んでいた新しい自動車学校の白紙に戻し、再建しなければならない自動車学校の名前を、開校予定だった「静岡県セイブ自動車学校」としたのです。

 労働基準監督署を訪れて事情を説明し、残った社員の給料未払い分を8割国が負担してくれることになりました。社員全員を集めて話します。

 全額ではありませんが、遅配していたこれまでの給料は、なんとか出すことができるようになりました。会社はマイナスからの再出発です。今後の給料を確保できるかどうかもわかりません。

 しんと静かになりましたが。社員のひとりが「入校してくれる人がいれば、少しずつお金が入ってきます。会社が安定するまで、私たちは、時給のパート社員で大丈夫です」と答えてくれました。

 子供のいる人や、親の面倒をみなければならない人もいたのです。

 再建は容易なことではありませんでした。死に物狂いで頑張り、大半の社員は辞めることなく、21年間という年月を過ごしてきました。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 社会的に弱い部分がある人に向けたサービスや雇用、性格の良い人たちが残った企業、社会福祉にも関係した大切な日本の企業が紹介されています。

 やりすぎて、環境やLGBTQなどの問題にも首を突っ込むようになりSDGsバッチをつけるような、本当に困っていることとは違う方向に進まないことを願うばかりです。

 障がい者手帳をもっている人を受け入れたり、話を聞くこと。そして良い人たちでビジネスすると、マイナススタートでも再建できてしまうこと。感動のほかに、学ぶことも多い書籍なのではないでしょうか。

 下にリンクを貼っておきますので、本書の購入を検討してみて下さい。

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