目次
中東秩序の分水嶺
監修
イランとサウジの和解
2023年3月6日、イランとサウジアラビアの交渉者がべ金で話し合い、その4日後、両国は関係の正常化に合意したと発表しました。
中国のグローバルな野望に中東地域が取り込まれていくことになるかもしれません。北京にとっては大躍進になったと考えられるでしょう。
今回の合意では、イランとGCC諸国との経済・外交関係を強化し、イランとアラブ諸国が新たな地域安全保障枠組みの構築に向けた協議を開始することを求めています。中国はこれらのステップを見届けるとのことです。
ワシントンがこの地域の関係と対峙する必要ななくなり、イランとアラブの関係を安定化へ向かわせるかもしれません。サウジのアルジャダーン財務相は、計画通りに進めばイラン経済に投資する用意があると発言しています。
サウジの立場
リヤドとワシントンの関係は冷え込んでいます。2003年のイラク侵攻以降、アメリカの地域政策に対するサウジの満足度は低下の一途をたどってきました。
イラン核合意に頭を抱え、シリアやイエメンでのサウジの利益を支援しないことに苛立っていたようです。2019年に石油施設がイランによって攻撃されたときに、反撃を控えたアメリカに強い懸念を抱くようになりました。
リヤドは「安価な原油価格と引き換えにアメリカが安全保障を提供する」という古い取引はもはや存在しないと考えています。アメリカだけでなく、ロシアや中国、エジプト、イラン、イスラエル、トルコとのバランスをとりながら、自国の安全を守り、地域的影響力を行使するような、この地域における重要な役割を担うことができると楽観的なビジョンを持っているようです。
シルクロードの安全保障
北京における合意によって、イランの核・地域政策が引き起こす脅威が低下するわけではありません。
しかし、短期的には、ワシントンの中東の緊張緩和を歓迎すべきです。
中東地域へのコミットメントを維持しているフリをせずに、ほかのグローバルな優先事項に集中できます。
サウジとGCCにもっと広範な地域安全保障構造の形成を模索するように促すこともできます。そのためには、地域紛争のリスクを低下させ、海洋安全保障を提供し、戦争の終結に協力できる構造でなければなりません。
イギリスは統一を維持できるのか
監修
連合国家の迷走
2022年9月、エリザベス女王の棺は、彼女が息を引き取ったスコットランドのバルモラル城から、エディンバラのホリールード宮殿へ運ばれました。
スコットランド王旗がかけられた棺を、タータンチェックのキルトを着用したロイヤル・スコットランド連隊が運びます。最初の6日間はスコットランド的なイベントに思えました。その後、棺は飛行機でロンドンに運ばれ、スコットランド以外の地域の人々も情報を弔問できるようになったのです。
エリザベスが長年にわたって体現してきた安定は葬られたかのように、エネルギー価格の高騰、ストライキ、この数十年で最悪の不況に直面しています。
スコットランドや北アイルランドとの溝も深くなっており、タブロイド紙の格好のネタを与え続けています。
ブレグジット
イングランドの政治家と有権者によって推進されたブレグジットは、北アイルランドとスコットランドでイギリスに対する不満を増大させました。
ブレグジット前は、アイルランドに加わりたいという人は滅多にいなかったが、今は30%にも達しており、イギリス残留を支持する人は49%に落ち込んでいます。
現在のイギリスの海外領土は十数か所で、ほとんどがタックスヘイブン(租税回避地)です。そして、イングランドとスコットランド間の政治・経済・貿易関係は、EUの構造やプロセスとともに参加していることで緩和されていました。
ブレグジットで、北アイルランドはEUの間で結ばれた離脱協定の北アイルランド議定書によって、EU単一市場と関税同盟にとどまりましたが、ノースエセックスは、イギリスの他の地域とともにEUの単一市場と管財同盟から離脱しています。
独立をめぐる再投票を実施する仕組みにも弊害があり、アイルランド統一に向けた動きも鈍いものになりそうです。人口動態の変化によって、アイルランドと統一する可能性は高くなっていますが、それは10年以上先の話になります。
革命か死か
現時点では、労働党のキア・スターマー党首が次期イギリス首相になる可能性が高いです。
これmでの最大の変革はEUへの加盟でした。それが覆された今、イギリスはラディカルに自らを見直すか、それとも、チャーチルのKBO(=keep buggering on)に固執するかという、存続を左右しかねない選択を迫られています。
戦争発言の真意
監修
戦争に備えよ
中国の習近平国家主席は「戦争の準備を進めている」と発言しました。
3月に開催された中国の全国人民代表大会と人民政治協商会議で、戦争準備というテーマを4回に分けて語った彼が、将軍たちに「あえて戦え」と鼓舞する一幕もありました。
強軍思想
避けられない戦争に直面しているかもしれい以上、私たちは、敵が理解する言葉で話し、勝利を通じて平和と敬意を勝ち取れるようにしなければならない。新時代には、人民解放軍は戦いを止めさせるために、武力を行使しなければならない。・・・わが軍は戦闘能力が高く、強い投資を持っていることで知られる。雑穀とライフルだけで、アメリカの兵器で装備した国民党軍を打倒し、朝鮮半島の戦場でも、完全武装をした世界ナンバーワンの敵を倒し、力強く雄大な戦闘を繰り広げて、世界に衝撃を与えた
この論文が発表される前から、中国の指導者が紛争に備える兆候はありました。
習近平の施策である「軍民融合」を強化し、民間企業や民間機関が、中国の軍事的近代化努力に貢献することも求めています。2022年10月の中国軍幹部をマイにした習近平の演説を率いて、アメリカをあからさまに避難しているのです。
どう捉えるか
習近平が汚職、民間企業、金融機関、不動産、積極的なキャンペーンを開始したとき、短命に終わると期待していました。しかし、習政権が誕生して10年が経過しています。
彼は、夢のためならば武力行使も辞さないつもりのようです。
リスクまで考えているかどうかはわかりません。
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