※ 毎朝、5分ほどで読める書籍の紹介記事を公開します。
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
目次
はじめに
最近、比較的学歴の高い親御さんが以前に増して相談に来られます。そうした方は研究熱心であり、でも一度迷いが生じると、どんどん深く悩んでしまって八方塞がりになる傾向があるようです。
私は多くの実例に接して、そこにはいくつかの理由と傾向があると突き止めました。アクシスでは、崩壊寸前だった家族が元通り元気になっています。
私自身のそうした経験と知見を踏まえて、子育てに悩む高学歴の親御さんたちにアドバイスを届けるために書いたのが、本書です。
書籍情報
高学歴親という病
第1刷 2023年1月18日
発行者 鈴木章一
発行 (株)講談社
デザイン 鈴木成一デザイン室
カバー印刷 共同印刷(株)
印刷 (株)新藤慶昌堂
製本 牧製本印刷(株)
ISBN 978-4-06-530212-5
総ページ数 183p
成田奈緒子
医学博士。文教大学教育学部特別支援教育専修教授。「子育て科学アクシス」代表。
小児科の医師であり、子どもの脳の発達を研究する研究者です。発達障害の支援センターなどを務め、「子供の早起きをすすめる会」などの活動にも関わっています。
講談社+α新書
「干渉・矛盾」のベースになる「溺愛」
見分けはとても難しいのですが、干渉がない「甘やかし」はネガティブなものではありません。溺愛の問題は、干渉につながりやすいことです。
高学歴親がわが子を溺愛する際の特徴は「聡明な先回り」だと考えます。皆さん、知識があって頭脳明晰なので、子どもを見ていると「このままではきっと失敗する」といった近い未来を見通せます。優れているあまり、転ばぬ先の杖を用意してしまうのです。
娘が成績が芳しくないからと、小学3年生になると夜10時、11時まで塾に通わせ、夫婦ともにフルタイムで多忙にかかわらず、塾への送り迎えなどを手分けして行っていたのです。
「少しやりすぎでは?」と伝えましたが、「ちゃんと学歴をつけないと幸せになれない」というのが母親の持論でした。
本人は気づいていませんが、差別意識があります。ダメな子にはさせないと奮闘するのです。
考えて見通しを立てると、担任に対して口出しをしてしまうこともあります。自分でも気づかないうちにモンスターペアレントになってしまうのです。
最終的に嫌な思いをするのは子どもになります。親が口出しをしたことを察した子供たちから、責められることがあるのです。
また、高学歴親は高齢出産が多い傾向があります。出遅れている感覚を感じると、焦ってしまうのでしょう。
脳には育つ順番がある
人間が生きていく機能の大部分は、脳が担っています。首がすわる前に、言葉を話す子はいません。脳の発達には段階を踏まなければならないのです。
0~5歳「からだの脳」が育つ
寝て、起きて、ごはんを食べて、体を動かす脳のことです。
子どもが生まれてから5歳くらいまでに、まず「からだの脳」を育てなくてはなりません。寝る、起きる、食べる、からだをうまく動かすことをつかさどる脳です。内臓の動きや自律神経の調節を行う視床下部などの間脳や脳幹部を含む部位を指します。
1~18歳「おりこうさんの脳」が育つ
言語能力や思考、スポーツの技術的なものを担う大脳新皮質のことです。小中学校での学習を中心に発達します。
人によって個人差があります。人間らしさを表現する脳です。
10~18歳「こころの脳」が育つ
大脳新皮質のなかでも最も高度な働きを持つ前頭葉を用いて、人間的な論理的思考を行う問題能力を指します。社会での成功や幸せを考える脳です。
多くの親たちが「からだの脳」を育てずに「おりこうさんの脳」と「こころの脳」の機能を求めてしまいます。高学歴親が子育てでつまずく大きな要因です。
親に合わせた生活習慣をしていると、夕飯の時間が20過ぎで、お風呂や布団に入るのが22時以降になっている人がいます。これでは「からだの脳」は育ちません。
それから、子どもは親の言動を見て育ちます。早寝早起き朝ごはんを大切にしているかどうか、その生活によって価値観が刷り込まれていくのです。
物事のとらえ方、発する言葉の内容、子どもに見せる表情、子どものとの遊び方ひとつひとつ、子どもへの影響は計り知れません。
幼児にスマホを与えない
パソコン・スマホ・タブレットの電子機器に週に10時間以上使用する10代の若者は「幸福感を感じていない」割合が高いという結果が出ています。なんらかの精神面に悪影響を及ぼしているのでしょう。
特に0~5歳の「からだの脳」が発達する時期は、事前に湧き出る好奇心と注意分散を胎児にしなくてはいけません。それなのに、好奇心を人工的に刺激するこれらのツールを与えるのは危険です。
「からだの脳」の発達には、大人が「与えない」選択をすることが正解になります。代わりに与える刺激は運動、遊び、睡眠、食事です。
幼児が食事中に椅子から降りて遊び始めるなど、気が散る様子が見られますが、この時期は原始的な感情をそのままに出しているだけなので見守ってください。
6歳からはスマホなどの情報も、収集ツールとして利用することは推奨されます。しかし、VR体験では感じられない、SLの蒸気の臭いだとか、楽器を触った感触などの、主観的に知覚する「環世界」のオプションを広げることも忘れないでください。
もちろん、寝れないほど長時間のスマホ利用は禁物です。どの脳の成長にも、睡眠は何よりも大切なものになります。
子供には失敗談を語る
子どもには、自分の武勇伝を言ってしまいがちです。しかし、能ある鷹は爪を隠しましょう。
子どもは「お前は努力が足りない。お父さんが子ども頃は…」説教をされると、意欲が湧きません。子どもたちの人生は始まったばかりで、努力に向かい前の段階です。
何かに向かって努力する楽しさを、自ら発見できない子どもは増えています。
周りが、お父さんの努力を聞かせてしまったりして、子どもが親に対して自然とコンプレックスを感じてしまう場合もあります。そんなコンプレックスを抱えた子どもには、昔ダメだった失敗談を聞かせてあげることによって、自分にも伸びしろがあると気づかてあげることが効果的です。
具体的には、目の前の子どもと同じころ、同じ年齢のときの失敗談を話してあげるとよいでしょう。子どもが落ち着きを取り戻したり、自分なりに努力を重ねるようになるかもしれません。
あとがき
「高学歴親」を散々批判してきましたが、悪いことばかりではありません。
理解力が高く、努力家で、なにより経済的に恵まれていることが多いのです。
なぜ子育てがうまくいかないかと言えば、それは「子ども」という未知なる存在に向き合う必要があり、幼少期は論理より感情の動物だからです。いままでの成功体験が、まるで通用しません。
子どもには子どもの人格があり、決して親の所有物ではないのです。違う人である以上は価値観が異なります。自分の価値観を押し付けることをはやってはいけません。
子どもが親にいちばんしてほしいことは信じてもらうことです。子育ては、心配を信用に変える旅だと思ってください。
感想
サイト管理人
父も母も、子育てをしたことはなく、子どもには子どもの価値観があるという意味を完全には理解できていないものです。努力が実ってきた人は、なおさら何とかしようと、試みてしまうのではないでしょうか。
子どもは、予想の斜め上をいく行動をするので、親戚の子どもなど見ていると飽きることが無かったりします。それが、育てるとなると話が変わってくるのでしょう。
幼少期にみる奇怪な行動は、見守ることが重要なのだそうです。止めてはならないもので、好奇心を伸ばす方が先だと、親になったばかりの人が気が付く方が無理だと思います。
子育てで知っておきたい情報が書かれています。子どもに対して「~して欲しい」と期待を持っている人ほど、読んでいただきたい書籍です。
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