人体最強の臓器 皮膚のふしぎ

※読んだ本の一部を紹介します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

はじめに

 皮膚はきわめて身近な存在です。その存在を意識することはありません。

 しかし、皮膚の機能が損なわれると、さまざまな不具合が生じます。アトピー性皮膚炎、擦り傷、切り傷、水虫などの感染症などが起きるとQOL(生活の質)は著しく低下するのです。

 全身火傷によって、皮膚の30%で損傷すると、ヒトは声明を維持するのが難しくなります。

 皮膚は生体維持に必須の臓器です。

書籍情報

タイトル

ブルーバックス B-2220

人体最強の臓器 皮膚のふしぎ

最新科学でわかった万能性

発行者 鈴木章一

発行 (株)講談社

ブックデザイン

印刷 本文:(株)新藤慶昌堂、カバー:信毎書籍印刷(株)

製本 (株)国宝社

著者

糀島健治

京都大学大学院医学研究家皮膚科学教授。

 皮膚の臨床とランニングなどの趣味などに、日夜励んでいます。

出版

講談社

皮膚は免疫器官

12222786によるPixabayからの画像

 私たちのからだの内部環境は、角層やタイトジャンクションなどの皮膚の構造によって、外から病原体や異物が侵入しないように物理的にガードされています。

 角層は20㎛しか厚さがないので、ひっかき傷などで簡単に組織が壊れて、異物が容易に侵入できます。

 そこで次に用意されているのが、「免疫機構」です。

 皮膚には「免疫応答」に関与するたくさんの細胞が存在します。真皮や皮下組織には、樹状細胞、マクロファージ、T細胞、B細胞、肥満細胞、好酸球、好中球、血管、リンパ管などの免疫に関わる役者たちが揃っています。

 真皮には、200億個のT細胞が存在し、全血管に流れる血液中の量の2倍です。

 皮膚は人体最大の臓器で、総重量の16%を占めています。皮膚組織に膨大な数の免疫細胞が存在するのは、必然的になります。

アトピー性皮膚炎の病態

作者: あかり屋

 2006年に、英国ダンディー大学のマクリーンらグループが、フィラグリン遺伝子の異変が、アトピー性皮膚炎と喘息の合併症に関与するをことを示しました。

 たんぱく質のフィラグリンは、アミノ酸に分解されると、角層の水分保持の機能を持つ天然保湿要因になります。乾燥を防ぎ、弱酸性の健常な皮膚を保てるのです。

 日本においても、約20~30%のアトピー性皮膚炎患者にフィラグリン遺伝子の変異が存在することがわかっています。フィラグリン遺伝子の変異がなくとも、アトピー性皮膚炎患者のほぼ全ての患者で、フィラグリンたんぱく質の発言量が減少しているのです。

 角層のバリア機能が低下をもたらすのは、遺伝子によるフィラグリンの欠損ばかりではありません。

 毎日お風呂に入って、ボディーソープや石鹸をつけたタオルでからだをごしごし洗うと、皮膚が酷く傷つきます。乾布摩擦も皮膚にはよくありません。エアコンから送り出される空気は、冷暖房を問わず渇いているため、バリア機能を低下させてしまうこともあります。

 適度に汗をかくこと、入浴後に保湿ケアをすることが好ましいです。

皮膚は衰える

PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像

 皮膚は、加齢以外に紫外線を浴びることによっても老化が進みます。紫外線によってできた老化では、皮膚の防御反応として、厚く濃くなるのです。それが、シミ、シワとなって現れます。

 ご高齢の方の皮膚ですと、真皮のハリを保つ弾性線維が紫外線によって破壊され、形を保てない塊になってしまいます。多かれ少なかれ、このような変化が生じているのです。

 残念ながら、最新の皮膚医学をもってしても、加齢による皮膚の老化を止めることはできません。ですが、紫外線による老化ならば対策ができるでしょう。

 海水浴、スキー、高原でのテニスなど、平地よりも強い紫外線を浴びるシチュエーションのときには、日焼け止めを使用することもあると思います。それを、散歩やスポーツ活動などの日常生活で使用することで、紫外線のダメージを減らすことができるはずです。

皮膚と腸

Lakshmiraman OzaによるPixabayからの画像

 近年の免疫学では、皮膚と腸内の免疫が相互にはたす役割に注目が集まっています。

 皮膚免疫と腸内免疫の基本的性格は対照的です。外部からの侵入を許さない皮膚免疫に対して、腸内免疫は外来異物に対して比較的寛容になります。

 接点がないようにみえる双方の免疫の性質は、アレルギー反応と関わりがあるんです。

 皮膚表面から侵入した異物で感作が生じ、食物摂取を通じて食物アレルギーを起こします。目に見えない繋がりが存在するのです。

 今のところ詳細なメカニズムはわかっていません。

 しかし、腸内に棲む共棲細菌の違いによって、代謝産物の構成や量に違いが生じた結果、アレルギー反応を誘発する炎症性のT細胞が増えて、わずかな刺激でもアトピー性皮膚炎が発症しやすくなる可能性が考えられるようになりました。

 研究が進めば、常識を覆すような知見が次々にあがってきそうです。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 化粧品などに興味があっても、皮膚のことを直接考えたことある人は少ないのではないでしょうか。

 頻繁に外にでる方は、日常的に日焼け止めクリームを塗っておくと美容によさそうです。日常の犬の散歩前に、日焼け止めクリームという習慣が新たに追加されるかもしれません。

 乾燥と紫外線が、大敵になるとわかったうえで、化粧品を選ぶとよさそうです。

 皮膚の健康について、これだけ日常において間違ったことをしているのです。本当に健康について美容について考えたいのであれば、皮膚の知識に触れてみてはいかがでしょうか。

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