日本有事

※読んだ本の一部を紹介します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

はじめに

 中国は、2022年8月10日、22年ぶりに「台湾問題と新時代の中国の統一事業」と題した白書を発表し、平和的な統一のために最大限の努力を続けると主張しました。

 しかし、中国が考える平和の意味は、日本人とは異なるようです。2022年10月16日の党大会では「台湾問題を解決するのは中国人であり、中国人が決める」と述べています。

 台湾では「黒熊学院」をはじめとする民間団体が、有事に備えた講座を開きました。住民に避難の仕方、情報の見極め方、中国軍と台湾軍の見分け方を教えています。そして、その活動を企業が後押しをしているのです。

 日本政府は、ようやく「シェルター」の設備を検討し始めました。

書籍情報

タイトル

日本有事

発行者 岩瀬朗

発行 (株)集英社インターナショナル

発売 (株)集英社

装幀 アルビレオ

図版作成 タナカデザイン

印刷 大日本印刷(株)

製本 加藤製本(株)

著者

清水克彦

政治・教育ジャーナリスト。大妻女子大学非常勤講師。ニュースキャスター、報道ワイド番組チーフプロデューサーを歴任しています。

出版

インターナショナル新書

日本はすでに戦時下

UnsplashKonstantin Dyadyunが撮影した写真

 ロシアによるクリミア半島併合やウクライナ侵攻を見ても、実際に空爆や砲撃を始める前の段階「グレーゾーン」の期間が存在します。

 電話もインターネットも使えなくなり、正体不明の武装勢力が、議会、行政施設、メディア、通信施設などを占拠し、ロシアはこれといった戦闘をすることなく、クリミア半島と手中に収めました。

 中国軍が台湾や尖閣諸島に侵攻する場合、空爆や上陸作戦を開始する前に、貿易や金融、外交や情報戦、サイバー攻撃といった、目に見えにくい手法で揺さぶりをかけてくると想定されます。

 日本としては、この「グレーゾーン」を防御するための対策に、コストをかけなければならないという安倍元首相の考えには同調できるのです。

独立しない台湾

Timo VolzによるPixabayからの画像

 台湾の大半の人たちは、独立や中国統一を支持するのではなく、「現状維持」を支持しているのです。

 民主化が進んだ1990年代以降に教育を受けた世代が中心となり、「生まれながらにして中国からは独立している」と感じる人が増えています。

 あえて、独立運動をするようなことは考えにくいでしょう。

 中国からの情報操作に対策を、企業が講義などを通して行っていますが、統一支持を扇動する恐れもあります。

手が出せなかったオバマ政権

Welcome to All ! ツによるPixabayからの画像

 オバマ政権は「リバランス」制作を打ち出していました。中国との経済的関係を緊密に保ちつつも、近隣諸国への中国の圧力を最小限とするために、日本、韓国、オーストラリアなどと軍事的同盟関係を強化していこうとするものです。

 就任して3年経過した2011年11月のことで、結果的に施策を立てたのが遅くなってしまいました。

 リーマン・ショック後の景気対策と医療保険改革の実現、イラクとアフガニスタンの紛争やシリア情勢に時間を奪われた結果です。

 中国は、フィリピンとベトナムの間の海域、南シナ買いの南沙諸島に7つの人工島を作りました。海上交通や軍事戦略の要所となり、エネルギー資源にあふれた魅力があります。

 中国をけん制する「航行の自由作戦」が精いっぱいに終わりました。

2027年からがヤマ場

Peggy und Marco Lachmann-AnkeによるPixabayからの画像

 中国軍建軍100周年を迎える2027年以降、2035年までの間に台湾統一に動くのではないかとみています。

 じわりじわりとグレーゾーンの情報戦などから着手するのではないでしょうか。

 すでに台北と180キロの距離にある福州では高速道路の建設が本格化しています。台湾に対し、揺さぶりをかけているのも明らかです。

 2024年の選挙でバイデンが出馬して勝利し、2028年まで政権が続くのかどうかで、対中政策に変化が生じる可能性があります。2022年の中間選挙ではバイデンの人気のなさをさらけ出し、再選する可能性は高くありません。

 これから2024年までの数年間で、東アジア情勢は大きく動くと思われます。日本政府はもとより、個人や企業も、「有事は起きる」を前提にした備えをしておきたいものです。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 これだけ好き勝手して、暗殺されないのだろうかと思うところです。結構な暴動などもあるし、内陸で上手くいっていないのに、海の占拠に力を入れて潰れないのでしょうか。中国の夢は壮大で大変過ぎると思います。

 ネガティブな方の未来予測を「有事」として伝えてくれる書籍です。中国にとって都合の良い方向に進んだ未来が思考できます。

 状況は変わるものと捉えて、あらゆる「有事」に備えたほうがよいではないか。とのことです。一読して考えてみてはいかがでしょうか。

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