※読んだ本の一部を紹介します。
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
はじめに
消費者が抱えるクレジットカード細部は膨れ上がっています。実際、高額の利用残高を維持するには高いコストがかかり、簡単なステップでそれを減らすことができるのに、多くの人はそうしません。住宅ローン、保険、医療保険プランでも、明らかにマズい選択をするのです。
こうした領域では多くのお金を節約できるはずであり、あなたもその1人かもしれません。われわれの議論をきっかけに、ほかのさまざまな領域でも、行動科学の知見を活用して政策が変更されるようになることを願っています。
目次
書籍情報
タイトル
NEDGE
実践 行動経済学 完全版
訳者 遠藤真美
編者 宮本沙織、幸田華子
発行者 村上広樹
発行 (株)日経BP
ブックデザイン 三森健太(JUNGLE)
制作 キャップス
印刷・製本 図書印刷(株)
著者
リチャード・セイラー
米シカゴ大学経営大学院教授。
行動経済学の研究で2017年にノーベル経済学賞を受賞しています。
キャス・サンスティーン
ハーバード大学ロースクール教授。専門は憲法、法哲学、行動経済学など多岐におよびます。
オバマ政権では行政管理予算局の情報政策及び規制政策担当官を務めています。18年にノルウェーの文化賞、ホルベア賞を受賞しました。
出版
日経BP
ドーナツは欲しいけれど、支払いは後
日常生活では「青いシャツを着るか、白いシャツを着るか」という選択をします。セルフコントロールの問題が生じやすいのは、選択と結果にタイムラグがあるときです。
運動する、歯をフロスする、健康的な食生活を送るなどの生活習慣の要素の効果は結果が出るのが遅くれます。投資財の場合、コストはすぐに発生しますが、便益は遅れてやってくるのです。投資財のほとんどは、量が少なすぎて失敗します。
もう1つは「誘惑財」です。タバコを吸う、お酒を飲む、懐かしのドラマ『フレンズ』を一気見する、ドーナツを食べることなどが例になります。
快感を今得て、そのツケを後で払うのです。
「来年は歯のフロスを一切せず、ドーナツの食べる量を増やそう」と誓う人はいません。
スウェーデンの年金プランから教訓を得る
アルラの不正疑惑
アルラの不正疑惑を追及する一連の記事が掲載され、数週間後にスウェーデン年金庁はアルラのファンドへの乗り換えを禁止することを決定しました。このときアルラからの他のファンドに拠出金を移すのは手数料なしで、できたのです。
不正疑惑が報道され大多数は資産をひきあげたかというと、そうはなりませんでした。アルラのファンドを売却した投資家はわずか1.4%、他のファンドに移す選択をしたのは16.5%だけです。
政府と広告にほだされ、スウェーデンの人は年金資産のポートフォリオを自分で組むようになりました。かたくなに守られた前向きな姿勢は、広告がなくなると受け身な姿勢に変わったのです。
ファンド会社をめぐるスキャンダルが報じられても動くことはなく、デフォルトファンドに投資していた人は、ファンドの組み入れ資産が大幅に変更されたことに気づきませんでした。
われわれは「リスタート」という仕組みを、加入者が運用を指図する投資プランのすべてに共通するものとして強く勧めます。20年に1度で十分かもしれませんが、投資家にポートフォリオをもう一度組み直すようにうながすのは健全なことでしょう。
行動経済学で良いとされる(ナッジ)効果が、どれだけ持続するかは経験的な問題を含みます。集団や文脈によって変化すると考えるべきでしょう。
みんなで協力できるか
大企業は利益をあげなければなりません。汚染を減らすことは、利益を生む弊害となりえるのです。
事業主も従業員も気候変動の影響を受けることは確かでしょう。それでも地球環境より利益を優先する結果がでることもあります。
それでも、数多くの企業が排出を減らす対策をとっています。良心からくる行動で、それにより従業員や投資家、顧客などに広く伝えることもできるのです。
誰が、どの国が、どれだけ公共財ポットに拠出するのでしょうか。いずれにして、何が正しいかを判断するときには「自己奉仕バイアス」がかかることがわかっています。
自分の、自国の都合のよいように判断する傾向がみられるのです。
ノーベル賞受賞者の提案
参加者が協力しない人に自分自身もコストを負担して罰を与えることができると、協力行動が増えるという実験結果があります。
気候変動に対して拠出していない人を発見すると、その発見した人は自分もコストを支払うことで、拠出していない人に対して罰を与えることができるルールが有効です。
自分の信じる正義を下し、人に罰を与える協力行動は増える傾向にあります。
各国に約束を守らせるにはどうするべきなのでしょうか。金銭的インセンティブを正しく設定し、取り組んでいただきたいと思います。
ナッジは姑息か
たとえば、カフェテリア方式の食堂で、健康によい食品が目につきやすいところに置かれていたら、カフェテリアを利用する人の選択肢に影響を与える可能性ががあるのです。
設計そのものは隠されていません。むしろよく見える状態にあります。しかし、設計されている理由がわからないのです。
ナッジは人を操作するものなのでしょうか。大半はあてはまりません。次の木曜日に病院の予約が入っているとマインドされるときには、誰もその人を操作していないのです。ある食品に貝やナッツが含まれているなどの表記もそれにあたるでしょう。
デフォルトルールをあえて記載せず、私利私欲のために良くない行動を起こさせることをスラッジと呼んだりします。スラッジは人を操作することがありえるのです。
感想
サイト管理人
どうして、こういう行動に出るのかを解説する書籍です。
購買意欲などをうながす「しかけ」は、かなり溢れています。それが一概に悪いとは言いません。ですが、よく考えると要らない商品だったりするのも事実です。
ただ、チョコのかかった旨そうなホイップサンドなどが、レジ前に置いてあったとします。グルテンがどうのだとか、これはお店側の戦略だとかいって、食べたいのに必要以上に我慢することもないと思います。
いろいろなナッジを読める本なので、色々な消費行動や保守的な行動などについて目を通してみてはいかがでしょうか。
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