※読んだ本の一部を紹介します。
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
はじめに
2022年8月、京セラ名誉会長の稲盛和夫氏が逝去されました。享年90歳です。謹んでご冥福をお祈りいたします。
稲盛氏は、企業の経営者に直接助言し、多数の「稲盛チルドレン」を生み出してきました。
稲盛氏の言う「誰にも負けない努力」を試みる盛和塾生の姿には、ときおり感動を覚えます。そんな彼らの奮闘を通して、頑張っている中小企業に元気になってもらいたいと思うのです。
目次
書籍情報
タイトル
経営者とは
稲盛和夫とその門下生たち
編者
日経トップリーダー
出版
日経ビジネス人文庫
やり残したこと
坂本孝
2022年1月26日、肺疾患のため逝去されました。享年81歳です。
東京・銀座で「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」などの人気レストランを設立しました。「ブックオフコーポレーション」の創設者です。
1990年に神奈川県相模原市で中古書籍を販売するブックオフを創業しました。東証一部に上場を果たすも、週刊文春に社内の不祥事を載せられ辞任することになります。人を信じられなくなり、救いを求めるように通ったのが盛和塾でした。
坂本がブックオフでやり残したのは、個人の力を青天井に伸ばせる、社員独立の仕組みだといいます。
従業員が経営者のマインドを持ち、自分の裁量で仕事ができる新しいビジネスモデルを目指していたのです。
坂本は料理人の境遇を見聞きしていました。どんなに修行を重ねても、料理長にならなければ自由に料理を作れません。給与水準が低いため開業資金もままらなず、志反場で料理の世界から離れてしまう人が多いといいます。そのことに着目して、小さな個人店が魅力ある料理を提供すれば、巨大資本のチェーンと戦えるのではないかと考えたのです。
そうして着想したのが「ミシュランクラスの料理人が作る、立ち飲み点」になります。
心まで病みますまい
栗屋野盛一郎
パートを含めて従業員37人の小さな町工場で、産業用の油圧制御装置で高いシェアをもつ盛和工業の社長です。製鉄・製紙工場をはじめ、国内の大企業を解く先に抱えています。
盛和塾に入塾したのは30歳のとき、1993年、盛和塾横浜の解説を手伝った父ともに入塾しました。
妻は以前から従業員として会社の仕事も手伝っており、栗屋野を支えてきました。その妻が前日まで元気にしていたのに、急に立ち上げれなくなってしまったのです。脊髄内の静脈が腫れる難病と宣告されました。車椅子生活を余儀なくされ、強いショックを受けて妻は「死んだ方がよかったかもしれない」と何度も口にしたのです。
稲盛が師事していた思想家、中村天風のことを思い出し、書店で購入し、病室で落ち込んでいる妻とページを開きました。
たとえ身に病があっても、心まで病みますまい
そんな一説を見つけ、妻と目を見合わせ、心の持ち方を考えました。心の持ちようで、幸せにも不幸せにもなるのです。
大好きだった妻と結婚し、当然のように子供が生まれました。それがどれだけ恵まれている事なのでしょう。妻の病気をきっかけに生と死を自覚し、力を合わせて前に進もうと2人は吹っ切れました。
日本人も中国人も関係ない
曹岫雲
中国での塾生は12年末時点で1335人でした。日本では約6300人です。
中国で盛和塾をリードしているのが曹岫雲になります。企業と政府機関に勤めたのち、92年に起業し、6つの経営に関わっているのです。
曹岫雲は、稲盛の言葉を中国語に翻訳し、それをミニブログ(中国版ツイッター)に毎日挙げました。
日中関係から心配する声もあったと言いますが、実際に何も起きていないとのことです。
稲盛の著書『生き方』などを中国語に翻訳した『活法』シリーズも売れており、この翻訳をしたのは曹岫雲です。日本語から中国語に翻訳するには、文化の違いや曖昧な言語、スピリチュアルなものが多いため、かなり時間がかかるといいます。
中国の稲盛信者にとって『生き方』は経典ような位置づけになっているようです。
利益率を高めてこそ
事業の社会意義が大きいだけでは不十分です。利益率を一生懸命に高めて経営を安定させてこそ、従業員を守ることができ、世の中に役立つ事業も続けられます。それこそが経営者が歩む利他の道です。
道徳と経済の両立こそ稲盛の真骨頂になります。部門ごとのミーティングに必ず出席して、仕事の精度を高めるなどの、経営者が組織の着火点となることを、稲盛は説き続けていました。
スパルタで尻をたたいたり、高額報酬をニンジンの代わりに目の前にぶら下げたりするものではないのです。
感想
サイト管理人
塾生のストーリーが読めて、楽しく経営者について学べるのではないでしょうか。文庫本になり、気軽に手にできるようになりました。
背中を押してくれるような物語がつづられているので、もうひと頑張りしたい方にお勧めできる書籍になっています。