※読んだ本の一部を紹介します。
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
はじめに
駅の周辺は寂れ、「シャッター商店街」を生みだし、一方で駅から離れた国道沿いは賑わい、多くのロードサイド店舗や大きな駐車場を備えたショッピングモールがあります。
公共交通機関の需要が減り、地方創生にも関わる国家的な問題です。
まさにいま、公共交通機関としての鉄道の在り方が問われています。
目次
書籍情報
タイトル
鉄道会社 データが警告する未来図
著者
鐵坊主
鉄道アナリスト、鉄道解説系YouTuber。
出版
KAWADE夢新書
JR北海道に勝算はあるか
新幹線の札幌延伸
2030年度に開業が予定されている北海道新幹線の札幌延伸の需要について考えてみます。
東京~札幌間では日本でもっとも需要の多い空路です。新幹線でも所要時間が4時間を切ることができれば、空路との競争に勝てると言われています。
札幌への航空路は、航空会社にとってドル箱であり、やはりこの客層のシェアがJR北海道の勝敗をわけます。
しかし、新車両を投入し、最高速度時速360km運転を開始し、青函トンネルを時速200kmまで向上させたとしても4時間を切るのは現実的ではありません。
仮に所要時間を4時間半だとすると、羽田・成田~新千歳間における新幹線のシェアは40%ほどだと考えます。
東京~函館間ですら20%のシェアを獲得し、航空機にない冬季運行の安定性があることが根拠です。東北地方からの需要であれば、70%以上のシェアは固いでしょう。
次世代の新幹線像
発表されている令和2年度の調査結果
●効果的・効率的な新幹線の整備方法
●新幹線整備後の在来線の将来像
●新幹線開業後のメリット
効率的な整備の調査では、トンネルや高架を減らし、盛り土の上に路線を敷けば、一番コストが下がるということが指摘されていました。最近の新幹線はトンネルばかりだから、それに逆行する手法です。
フル規格新幹線よりもコストが低い路線を整備し、鉄道の高速化を図り、100km~500km圏内にある都市へのシェアを増やすことが検討されました。考えられるのは、標準軌ミニ新幹線方式と一部高速新線の狭軌(スーパー特急)方式です。
ミニ新幹線方式では、新幹線ネットワークとダイレクトに繋がれ、時速260km運転が可能になります。
スーパー特急方式では、在来線の乗り入れが可能なので、汎用性が高いのがメリットです。
鉄道貨物への期待
JR貨物の利益
2015~1019年年度で、2018年度のみ58億円の黒字にとどまっていますが、毎年100億円前後の利益を上げてきました。
JR貨物は、自社で保有する路線がほとんどありません。貨物輸送ルートが被災した場合、路線が復旧されるのを待つのみとなります。こうした状況について荷主からも苦言が呈されているのです。
JR貨物の収益をけん引しているのは不動産業です。社宅があった場所や操車場の跡地などを整備して、分譲マンションや商業施設の建設にも取り組んでいます。こうした不動産販売やビル管理事業を中心に102億円の黒字を計上しているのです。
コロナ禍によって2021年度は2億円まで黒字が縮小しています。業務ベースでの大口需要が激減しているのが原因です。
JR貨物は国鉄民営化の際の鶏家目である「アボイダブルコストルール」による路線使用料を前提として経営されており、第三セクターへの貨物調整金と合わせ、これらなしにJR貨物の事業は成立しません。このルールによりJRの旅客各社は、コロナ禍により大きな赤字を計上しました。すでに見直しを要望されています。
全国の鉄道網を維持する
国鉄分割民営化のゴールは、JR前者の完全民営化です。JR四国、JR北海道、JR貨物は、鉄道事業では黒字化できていないため、事業を拡大することに対しては消極的になります。
また、自然災害の影響で路線が被災すると、長期運休に追い込まれます。基幹路線では災害に強い高規格路線への転換が進められていくでしょう。
政府が発表した「カーボンニュートラル2050」に対して、鉄道が果たす役割は大きいです。現在会議がとまったままである函館本線、函館~長万部間を貨物路線として維持するための打開策となりえます。
電気自動車や自動運転が普及し鉄道の重要度が低下する未来が訪れたとしても、都心部などの大量の輸送が必要になるので、路線、新幹線、リニアといった長距離高速輸送が中心となっていくでしょう。
もし、日本全国の鉄道網を維持していくのであれば、地方の人口を増やすことです。ローカル線は観光に特化したものや、「そこでしか乗れない」列車などの体験を売る以外には生き残れないのではないでしょうか。
感想
サイト管理人
鉄道の衰退と進化の考察を得ることができたような気がしました。鉄道視点でいろいろ考えることができたので、文章にするとこんなにも面白いものなのかと感じました。
鉄道が抱える問題が知れると、電車の見方が変わります。電車に詳しい人の話を読んでみてはいかがでしょうか。