※読んだ本の一部を紹介します。
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
はじめに
心理士の世界には、ある程度「聞く技術」が蓄積されています。クライアントがしゃべりやすいように、ちょっとした技術があるのです。案外、本には書かれていなかったりします。
誰しも、心が狭まり、耳がふさがってしまって、聞くことが出来なくなるときがあります。そんなときは、あなたの話を聞いてもらうから始めましょう。
「聞く」は「聞いてもらう」に支えられています。
目次
書籍情報
タイトル
聞く技術 聞いてもらう技術
著者
東畑開人
出版
ちくま新書
社会に欠けているもの
「本当に」に要注意!
誰かが「本当に」と言い出したら要注意です。それはあなたの自信を奪うための術策かもしれません。
聞く技術の書籍で「本当に聞けていますか?」と脅したあとに、魔法のようなテクニックを教えてくれて、奇跡のようにして人間関係が改善すると語られます。
実際は、「聞く」という行為は平凡な日常生活で交わされるやり取りです。傾聴がうまくいっているとき、ぼくらはがんばって聞こうとして、ようやく成功しているわけじゃありません。
僕らの社会に今、もっとも欠けているのは「聞く」だと思うのです。
「聞く」が問題になるのは、伝えたいことがあるのに、聞いてもらえない時になると思います。聞いている方は、きっと言葉の暴力か何かだと思ってしまって、結局、心に入っていません。
余裕がない社会は、「聞く」不全に陥っています。
ポイントは孤独です。孤独になってしまうと、人は聞くことが出来なくなります。
「聞いてもらう」から始める、これが孤独の処方箋になるのです。
安心とはなにか
安心とは?
予想外のことが起きないことです。
孤独をケアするためには、具体的に何が役に立つのでしょうか。
実は、ソリッドなものを提供することが孤立対策になります。
ホームレス支援における個室の提供は孤立対策です。子ども食堂での食事提供も孤立対策になります。そして何より、お金です。
お金には孤立をやわらげる力があります。それらは安心をつくってくれるからです。
3か月後も、同じように暮らしているだろうと感じることが、安心をもたらします。お金は一度にもらうよりも、定期的に同じ額を貰う方が健康によいのです。
理解がエイリアンを人間に変える
心の変化は弱火でとろとろと煮込むように、ゆっくりと起こります。
不登校の少年は、はじめにカウンセリングにやってきた時点ではエイリアンのようです。周りは理解できません。励ますつもりで、刺激を与えようとし、彼を傷つけてしまいます。
カウンセリングが始まると、少しずつ彼の理解がなされていくのです。学校に行きたい気持ちはあるけれど、それでも学校にいけない自分を酷い人間だと思って責めていることがわかります。
学校の教師や両親に、彼の切ない思いを伝えると、彼の見る目が少しだけ変わります。
「おなかが痛い」という言葉はサボるための言い訳だと思われていたけれど、彼なりの気持ちを理解すると、少年はエイリアンではなく、「人間」に見えてくるのです。
「話せばわかる」が通用しないとき
対話が成立しなくなるのは、お互いが悪魔化して見えてしまうからです。相手が悪魔になっているときは「いつもの自分」ではありません。
他者は絶対的な敵になっているから、「話せばわかる」どころか「言葉で切られる」となってしまうので、とても対話になりません。
また、相手が悪魔化して見えるときに、過去の敵が思い出されて「トラウマ」が蘇るのが特徴です。
スターリンとかポルポトのような独裁者も、相手が悪魔に見えていたのではないでしょうか。身内に裏切者がでると、トラウマが刺激され、敵に囲まれた記憶が蘇っていたと考えられるのです。
そんなときに必要なのは、敵じゃない人をみつけることでしょう。1人見つければ、2人3人とわかってくれる人が見えてくるはずです。
感想
サイト管理人
各章で、いろいろな角度の話を聞いてもらう重要性が語られていました。
ノウハウ的なことも書かれていたので、色々なコミュニケーションの需要に答えられる書籍なのではないでしょうか。