※サイト管理人が興味をもった部分を紹介します。
はじめに
地球環境問題、グローバル金融・経済の中での日本経済の過去、現在、未来を論じました。
日本経済を歴史的な視点、政治的な視点など多角的な視点から書きたかったという理由で本書籍を執筆しています。
目次
書籍情報
タイトル
成長の臨界
「飽和資本主義」はどこへ向かうのか
著者
河野龍太郎
BNPパリバ証券、経済調査本部長。
日系ヴェリタスのエコノミスト人気調査で2022年までに9回、首位に選ばれています。
出版
慶応義塾大学出版会
なぜ「寝そべり族」が出現したのか
中国人民も子弟の教育に血眼になっています。当たらにテイクオフした新興国は、先進国に比べて、よりいっそう能力主義が重んじられるのです。
大学受験だけでなく、少額受験、就学前教育と競争はますます低年齢化し、教育費の高騰が出生数の低迷に拍車をかけています。
自分の能力では出世も高い所得も得られそうになく、住宅取得や子育ての費用が負担できそうにないと考える若者が出てきました。恋愛も婚活も諦め、最低限の生活で生きていく「寝そべり族」を選択するのです。
古代ギリシャの経済格差問題
米国のように経済格差が大きく広がると、経済成長の桎梏となると同時に民主主義そのものへの大きな脅威ともなります。歴史を振り返ると、古代ギリシャのアテナイにおいても、それは大きな問題となっていきました。
当時、アテナイの成人男性は、奴隷を使って農地を耕作して生計を立てていました。内政の危機は、経済格差が広がって、農地を失い債務奴隷となる市民が増えたことです。富裕層からの借金が重なり、返済不能となりました。
現代においても、選挙は有力者が当選しやすく世襲となりかねません。比較的、最近まで貴族的な制度とみなされることが多かったのです。事実日本でも有力政治家には2代目、3代目、4代目という世襲議員が存在します。
円安でも増えなくなった輸出
2011年の東日本大震災やタイの大洪水の発生によって、日本企業の間では生産工程を海外に分散させる動きが広がりました。
以前は円安が進むと外貨建ての輸出価格が引き下げられ、輸出数量と国内生産が増加し、雇用増などを通じて、内需への波及も観測されていました。
2010年代以降、日本企業は円安が進んでも外貨建ての輸出価格を引き下げなくなっています。円安は輸出企業の利益を押し上げはしますが、輸出や国内生産の数量拡大にはつながらず、国内への波及は限定的となっているようです。
円換算額が膨らむため、株高をもたらすものの、海外で増えた利益はそのまま海外で再投資されるため、国内でも支出増に繋がっていません。
円安によってインバウンド消費を刺激するのが果たして望ましいのか、大いに疑問です。
地域コミュニティに根差した仕事
グローバリゼーションの時代においては、国内で残る仕事は地域コミュニティに根差したものになるでしょう。新興国のリモートワーカーは、顔と顔を突き合わせた仕事が苦手だからです。
リモートワークなどが増えて、水平分散型社会へ移行すると、二兎人が地域で暮らす時間が長くなり、地域コミュニティが復活する可能性があります。
社会保障の再生という観点からも不可欠です。家族形態は多様化し、地域コミュニティが希薄しました。企業は雇用の非正規化を進めたことで、社会保障の主たる担い手になれていません。
自立した個人が主体的に自らの生き方を追求する条件整備の制度を作り、個人の自立のための支援と位置付けるべきです。
また、生活困窮者の就労支援についても同様であり、地域での社会福祉士をはじめとする専門職の相談支援や、住民も関わる支え合いの充実が決め手となります。同時に、地域コミュニティの再生が鍵になるのです。こうしたコミュニケーションは、ロボティクスでは代用できません。
感想
サイト管理人
もの凄く堅苦しい語句で書かれているだけで、内容は難しい、理解できないということはないはずです。上記の文章が読めた方は、普段絶対に使わない漢字が当てられていても、なんとなく推測できると思います。
自給自足もできなくもないけれど、これだけ物が豊かな現代において輸入を減らすというのはできないかもしれません。輸出量も需要がなければ変わらないのです。
疑問に思う点もあるにはあります。例えば、日本のものを安く買えるという点で輸出増えないの?などです。高くても買ってもらえるから、高価な果物が頻繁に海外のプロの窃盗犯に盗まれるてしまうし、ドラックストアのコスメ品もそういった窃盗があるわけです。
日本企業が為替リスクを恐れて外貨建て輸出を避けるからといって輸出が増えないという根拠は、頭の悪い私では理解できませんでした。受注生産であれば、国内生産も増えると思うのです。ただ、思いのほか世界的に物の需要が減ってきているのかもしれないとは思うところです。
感想なので変なことも書きましたが、いろいろな視点からいまの経済状況を大局的にみるに、オススメの書籍となっています。
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