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目次
書籍情報
老舗工場の働き方大改革!
100年企業の ものづくりは人づくり
~5代目女性社長の奮闘記
発刊 2023年11月3日
ISBN 978-4-86667-648-7
総ページ数 262p
田野井優美
株式会社田野井製作所代表取締役。
2002年に入社し、2013年から現職。
殿井製作所は、1923年創業のタップ・ダイスメーカー。専業ならではの他界技術に支えられた商品は、トラブルが少なく、コスト削減につながると好評。
あさ出版
- はじめに
- 元気印の5代目女性社長が会社を改革
- 第1章 なぜTANOIは100年続いてきたのか
- ものづくりに欠かせない工具、タップとダイスとは?
- オンリーワン商品で競合と差別化
- 商社との関係強化が成長の鍵に
- ドクターセールスでお客様の真の課題を解決
- お客様を元気にする主治医になりたい
- 第2章 100年企業の歴史はジェットコースター⁉
- 長く続くにはレジリエンスが必要
- 農家の次男が「技術」で立身出世を目指す
- 企業に失敗して実家の財産を食いつぶす
- タップ・ダイスの専門メーカーとして創業
- 戦争に翻弄された日本のものづくり
- トップメーカーとして君臨
- 時代の変化についていけずに倒産寸前
- 付加価値路線にシフトして復活
- 創業者が伝えた「ものづくりの醍醐味」
- 第3章 おてんば娘が5代目社長になったワケ
- 小娘はいかにして社長になったのか
- 目立ちたがり屋で男勝り
- ヘリ操縦士に憧れてアメリカに⁉
- 取引先倒産で気づいた家業のありがたさ
- 不正会計を指摘して社期の見る目が変わった
- 家族会議で後継者候補に決定
- リーマンショックが副社長就任のきっかけに
- 「おはよう」を返してくれない社員たち
- 銀行のサポートで本社移転が実現
- 赤字転落は株を主役させるチャンス⁉
- 母の死を経験して人生観が変わった
- クビ寸前から5代目社長に就任!
- 第4章 TANOIの工場が進化した理由
- 工場改革派「5S活動」から始まった
- 社員が5S活動に前向きなワケ
- 業務改善は「1秒1円」でお金に換算
- 点検で社員の異常に気づく
- 被災した社員たちが自主的に工場へ
- 品質向上への挑戦は終わらない
- 不良品撲滅活動を始めたら不良品が増えた⁉
- デジタル化で間接業務は生産性が倍に!
- 社員からのボトムアップでデジタル化が加速
- 中小でもデータドリブン経営ができる
- 営業改革で粗利益率は大幅アップ
- 目指すは「実質」無借金経営!
- 第5章 ものづくりは人づくりから始める
- 「ものづくり×人づくり」が会社
- 人の新陳代謝が会社を元気にする
- 必要な人材の条件は「明るさ」「元気」「素直」
- 親からの手紙をサプライズで読む理由
- 中途採用から幹部になった社員
- 出戻り社員でも実力しだいで昇進
- 製造は多能工、営業はドクターセールスに
- 経営方針書を教科書にして価値観を共有
- 経営方針合宿は毎年、白熱した議論に
- 外部研修は社員の刺激になる
- 神速社員は最短10年で課長職に
- 月イチの評価面接で「行動」や「実績」を評価
- 〝縁の下の力持ち〟も表彰制度で光を当てる
- 第6章 働きやすい職場が会社を成長させる
- TANOIが働きやすい会社になった理由
- オフィスは残業ゼロ、工場は残業激減
- 有給取得率は71%を達成!
- 福利厚生の一番人気は中華弁当⁉
- コミュニケーションが多い職場は働きやすい
- 社員は交流の場を求めている
- 飲みにケーションはルールを決めておく
- EGやサンクスカードでこにゅにケーションを活性化
- 第7章 次の100年に伝えたいこと
- 100周年目前に大ピンチ!
- チームTANOIを加速させる「蓮田合意」
- 100周年で伝えたいこと
- TANOIブランドを世界へ
- 新規事業はスナック経営⁉
- ものづくりのおもしろさを感じられる未来へ
- おわりに
はじめに
東京から車で約1時間。TANOIの埼玉工場は、埼玉県白岡市の田園地帯に位置しています。トタンに覆われた工場の外観は古く、お世辞にもきれいとは言えません。
TANOIは、この地に本社を置く株式会社田野井製作所とそのグループ会社である株式会社ミヤギタノイの総称です。2023年に創業100周年を迎えました。
工場の設備は最新のものばかりではありませんが、長年5S活動をしているおかげで、どれも手入れが行き届いています。油を使う工場にもかかわらず床や機械はピカピカです。
工場改革は「5S活動」
築50年と46年なのに、キレイで働きやすそうに見えるのはなぜか。前述したように5S活動を毎日欠かさず行っているからです。
5Sのうちの整理・整頓・清潔が中心です。整理は、いるものといらないものを明確にして、いるものを必要最小限度まで絞り込み、それ以外は捨てることを指します。
悪気があっていらない物や使わない物をため込んでいるわけではありません。しかし、棚には使わない物ばかりが置いてあります。思い切って棚ごと処分したところ、スペースが広がって作業しやすくなり、陽も差し込んで明るくなりました。
整頓は、「常時」「随時」「一時」で決め、名前を表示したり数字をつけて管理すること言います。使うときに、決められた場所に道具が揃っていれば取りやすいし、紛失や故障など何か異常があればすぐわかるのです。生産性を高める整頓でなければなりません。
清潔は、仕事がしやすいように、掃除することです。トイレ、床、機械などを20分間設けて、キレイにします。
外部研修は社員の刺激になる
研修費用は年によって違いますが、多い時は1000万円を超えます。中小メーカーとして多く注ぎ込んでいるでしょう。
外部研修を取り入れているのは、外部の目が必要だからです。創業以来引き継がれてきた技術や考え方がありますが、世間とズレていくおそれもあります。
自分たちの力を定期的に見つめ直す必要があるのです。「自分たちは井の中の蛙だった」と刺激を受けて帰ってくる社員も少なくありません。
コミュニケーション
福利厚生以上に働きやすい環境に影響するのが、職場の人間関係です。
福利厚生が整っていても、職場の人間関係がうまくいかなければ、社員はあっさりと辞めていきます。
相性のいい人同士を組み合わせること、社員間のコミュニケーションを増やすこと、中小企業で効果的なのはこの2つです。
同じ趣味をプライベートで持っていたとなれば、なんとなく憎めなくなるというのが人間です。
自分の前工程や後工程の人とコミュニケーションを取れるようになると、仕事の効率や商品の品質が向上します。残業も減るので経費も下がります。
コミュニケーションの活性化は、働きやすさ向上の特効薬です。
ものづくりのおもしろさを感じる
今後のものづくりのかなりの部分が機械で自動化されていきますが、クリエイティブのところはそう簡単に代替されません。100年先には、ものづくり本来の面白さにより焦点が当たる時代になるでしょう。
髪の毛一本に満たないほどのわずかな差でねじの品質が左右されます。最終製品の頑丈さや寿命にも影響を与えてしまいます。だからこそ、そのおもしろさも日々実感できるのです。
私の役目は、ものづくりのおもしろさを次世代に伝えることです。仲間を募り、人を育て、素晴らしい人と人との良縁をつないでいきたいと思います。
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